投資に王道はない。では、成功する投資家が持っているものとは?

朋川雅紀
2025年3月18日 12時30分
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《株で勝てる人と勝てない人は一体どこが違うのか? 実は、どちらにも「共通点」があります。30年以上の実績をもつファンドマネージャーが「一流の投資家」の条件を明かす【情熱の株式投資論】》

投資に王道はない

残念ながら、株式投資で成功するための〝唯一絶対的な手法〟は存在しません。したがって、自分自身をしっかり理解し、自分に合った投資手法を見つけなければなりません。十人十色で、投資手法は多岐にわたります。

しかし、その一方で、成功している投資家が共通で持っている特質があるのも事実です。

・計画の実行

成功する投資家は、効果的な投資戦略を立てると同時に、あらゆる不測の事態に備えた計画も立てています。そして、誤りを正すなどの然るべき例外も当然ありますが、その計画を確実に実行に移しています。

戦略がどれほど素晴らしいものでも、成功は、それがいかに「実行」されるかにかかっています。

・強さと向上心

投資で大失敗を犯したことがあったとしても、最終的に素晴らしい成功を収めることのできる投資家は、個々の取引結果に翻弄されない「精神的な強さ」と手法に修正を加える「向上心」を持っています。

・経験

他の職業と同じく、投資で成功するためには必ず経験が必要です。そして、経験を得るには長い間リアルタイムでマーケットに取り組むしかありません。信頼される医者や弁護士になるためには長い年月が必要なように、一流の投資家になるためには長い月日が必要なのです。

・柔軟性

マーケットで成功するためには、「変わりゆく状況」と「すでに変わってしまった現実」に適応する能力が要求されます。優れた投資家は、先入観を捨てて、現実を見極めることができます。

・投資哲学 

マーケットにおける経験に基づき、自分の性格に合った独自の「哲学(マーケットの概念と手法を統合させたもの)」を作り上げることが必要です。そのプロセスに終わりはありません。知識と経験を積むほどに、それに応じて既存の哲学を修正していかなければなりません。

・自分の強み

他人が持っていない自分独自の強みを持っていないと、なかなかマーケットで成功し続けるのは難しいので、時間をかけてでも強みを作り出すべきです。

・ハードワーク

皮肉なことに、「手っ取り早く一攫千金を狙える」という理由で株式投資に惹かれる人は多いと思いますが、そこで成功できるのは、ハードワークに耐えられる一部の投資家だけです。努力なくして成功なし、です。

・リスク管理

どんな投資戦略を使おうが、株式投資で勝つために必要なことは、大きな損失を抑えることです。いかに儲けるかの前に、いかに大損しないかをまず考える必要があります。相場が自分の思惑と逆に動いたと感じたら、ポジションの削減を検討しなければなりません。

株式初心者の多くは、いつ何を買うことばかり考えてしまい、買った後の資金管理をおろそかにしてしまいます。

・リスクテイク

リスクを管理することとリスクを恐れることは似て非なるものです。リスクを取る気概は、おそらく投資家に不可欠な資質でしょう。ある程度のリスクは進んで負う勇気は必要です。

・売り抜けるタイミング

ポジションをいつ閉じるかということは、いつ買うかと同じくらい重要です。買いを実行する時点で売りの計画や株価のシナリオを持ち、「こうなったら、こうする」というイメージを頭に描いておくべきでしょう。

・忍耐

私自身は、よさそうな投資アイデアが生まれると、すぐにそれを実行に移したくなってしまい、数えきれないほどの失敗を繰り返して来ました。だからこそ、待つことの重要性を身に沁みて感じています。

株の銘柄選択とその購入価格について、どのような基準を用いるにしろ、その条件が揃うまで待つ忍耐力が必要です。

・記録に残す

大急ぎで経験を積むことはできませんが、記憶に頼らず気づいたことを記録に残すことによって、色々なアイデアを整理することができ、新たな戦略が生み出されることもあります。

・予測

予測と周知の情報を分析することは全く違うものです。必要なのは、そのときの事実を常識をもって分析できる能力と、確信したことを行動に移せる勇気だけです。

・他人の意見への姿勢

マーケットで成功するためには、自分自身で判断を下す必要があります。他人の意見に振り回されてはいけません。他人の意見を受け入れることは、失敗したときに他人のせいにして言い訳できるかもしれませんが、全ての意思決定の責任は自分で取るという覚悟が必要です。

・過去の取引の分析

自分の過去の取引を振り返って反省することによって、将来のパフォーマンスを向上させるために何をすべきかかがわかることがあります。

・適切なポジションサイズ

素晴らしいパフォーマンスを実現するためには、高い確率で成功の可能性を秘めていると感じられるときは、大きなサイズで取引を行うという信念を持たなければなりません。ここぞというときは、いつもよりも大きいサイズでトライすべきでしょう。

・迷った時の判断

含み益を抱えたポジションの利食いをいつするかどうか迷ったときは、一部のポジションだけ売っても構いません。いつも完璧であろうとするのではなく、自信が持てないときは、時間分散を活用すべきです。


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[執筆者]朋川雅紀
朋川雅紀
[ともかわ・まさき]大手信託銀行やグローバル展開するアメリカ系資産運用会社等で、30年以上にわたり資産運用業務に従事。株式ファンドマネージャーとして、年金基金や投資信託の運用にあたる。その経験を生かし、株価サイクル分析と業種・銘柄分析を融合させた独自の投資スタイルを確立。現在は投資信託のファンドマネージャーを務めるかたわら、個人投資家の教育・育成にも精力的に取り組んでいる。ニューヨーク駐在経験があり、特にアメリカ株式投資に強み。慶応義塾大学経済学部卒業。海外MBAのほか、国際的な投資プロフェッショナル資格であるCFA協会認定証券アナリストを取得。著書に『みんなが勝てる株式投資』(パンローリング)がある。
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