個人投資家の8割近くが波乱の相場でもプラスの結果に。では今後の注目は?

株の学校ドットコム
2023年2月22日 17時00分

写真はイメージです。Nattakorn / Adobe Stock

ウクライナショックにインフレ加速、アメリカの金利上昇に円安……。波乱の2022年相場を耐え抜いた個人投資家たちの成績は、どんな結果だったのでしょうか。そして、そんな彼らが2023年相場で注目するのは? 意外な個人投資家の「声」をお届けします。

波乱の相場を生き延びた個人投資家たち

アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)は、2022月に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)でゼロ金利を解除し、政策金利の引き上げを決定。その後も連続して大幅な利上げが実施され、予測困難な乱高下が引き起こされました。

背景にあるのはインフレです。2022年はロシアのウクライナ侵攻に端を発するエネルギー危機で、世界的に物価が急上昇しました。各国の急速な金融引き締めを受け、暗号資産(仮想通貨)など高リスク資産が急落。株式と債券は28年ぶりの同時安を記録し、投資家に大きなダメージを与えました。

12月には日銀が唐突に金融緩和案を修正。長期金利の上限を0.5%程度に引き上げることになり、市場では事実上の利上げと受け止められました。

2022年相場の成績は「プラス」が75%

そんな波乱に満ちた2022年でしたが、個人投資家はどのような手応えを感じていたのでしょうか。生の声を聞いてみましょう。

オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」では、20代~70代の男女550人に2022年の成績と2023年の展望に関するアンケート調査を実施。その結果、2022年の損益(含み益・含み損をふくむ)については、実に75.1%の人が「プラス」と回答したそうです。

さらに、50万円未満の利益を出した人は45.6%なのに対して50万円未満の損失を出したのが13.3%。50万〜300万円の利益を出した人は19.1%で、利益が1000万円を超えた人も3.3%(18人)いました。

個人投資家のみなさんは、波乱相場でもしっかりと利益を出したようです。

値動きのストレスで常にピリピリムード

とはいえ、もちろんストレスと無縁だったわけではないようで……。

ストレスが「全くない」から「極めて大きい」までの間を10段階に分けて聞いたところ、最高値の10(ストレスが極めて大きい)と回答した人は全体の7.45%。7以上の数値で見ても29%と、多くの人が比較的強いストレスを感じていたようです。

ストレスの理由としては、次のような回答がありました。

ウクライナ紛争で株価が半減した」(71歳女性)
円安で海外案件がめちゃくちゃ」(54歳男性)
為替が大きく動いたので、それに伴う値動きでのストレスは常に感じていました」(70歳女性)
株主優待などの企業による株主還元の見直しなどが多く、投資環境が難しかった」(43歳男性)
どんな銘柄も軒並み下落、こんなことは初めて」(71歳男性)

やはり、不透明な世界情勢に不安を募らせていた方が多かった様子。ただし、「ストレスは全くない」と回答した人も12%(66人)にのぼり、相場やニュースに振り回されずに自身のスタイルを貫くことができた投資家は、ストレスなく、満足のいく成果を出せたのかもしれません。

なお、「株の学校ドットコム」のアンケート結果の詳細は、こちらからご覧になれます。
<株式投資2023年の展望調査>2022年の株式投資の損益は75.1%の人がプラス 2023年の日本株は、上昇より下落と考える人が多い(PDF)

個人投資家たちの今後の注目は?

日経平均株価は9か月半ぶりの安値という冴えないスタートを切った2023年相場。卯年にちなんで株価も「跳ねる」といきたいところですが、明るい兆しはあるのでしょうか。

2023年の株式市場を展望する上で焦点になるのは、アメリカのインフレと金融政策の行方。もちろん、ウクライナ情勢や中国の経済再開なども注視しつつ、引き続き、FRBをはじめとする各国中央銀行の動向から目が離せないでしょう。

国内では、10年ぶりとなる日銀総裁の交代が4月に予定されています。過去にも総裁が交代するタイミングで金融政策が変わってきたため、春先にかけて注目度はうなぎ上り。さらに、防衛費増額の財源を賄う増税策も、市場に大きなインパクトを与えるかもしれません。

2023年相場は「下がる」が25%

先の「株の学校ドットコム」のアンケート結果によると、2023年の日本株が「上昇する」「大きく上昇する」と回答した個人投資家は20.91%。それに対して、「下落する」「大きく下落する」と回答した投資家は25.27%でした。

2023年の日本株は下落する、と考えている人のほうがやや多い結果に。その理由としては、社会情勢の不安定化に伴う物価高や深刻な円安などの要因が挙がっています。

円安が続くし、エネルギーの海外依存が極めて大きいから」(74歳男性)
アメリカ経済および、中国経済減速の影響を受けるため」(57歳男性)
人口減少で産業の空洞化が今後どんどん拡大していくと思うから」(29歳女性)

グローバル化が進んだ現代では、日本株もまた世界経済の影響を免れることはできません。また、不透明感が漂う状況下では、中長期的な視点で市場の動向を見守る必要がありそうです。

日本株の上昇に期待する声も

それに対して、「上昇する」「大きく上昇する」と回答した理由については、次のような意見が寄せられました。

最悪な時期は脱しつつあると感じるから」(29歳男性)
インフレが収まり、米国が選挙前の年なので景気刺激策で上昇が期待できる」(56歳男性)
コロナもひと段落して、外国人がたくさん来日すれば必ず上昇すると思う」(69歳女性)
円安による輸出関連株上昇と訪日客のインバウンド需要」(61歳男性)

新型コロナウイルス感染症の水際対策が大きく緩和されたことを受けて、インバウンド需要に対する期待が高まっているようです。

さらに、2023年の日本株は「横這い」であると回答した理由にも注目してみましょう。

ヨーロッパやアメリカに比べれば、成長見通しはプラスだが為替やインフレの影響は長引きそうだから」(43歳男性)
米国株に影響される形で上下動の繰り返しが続くと思うから」(58歳男性)
先送りされたとはいえ、増税の話もあり、前向きになり辛いから」(44歳女性)

冷静な意見もある一方で、なかなか明るいニュースの少ない日本では、簡単には希望を見出しづらい、というのが本音かもしれません。

相場の「転機」を見逃すな!

2023年の日本株に対する個人投資家の意見としては、やや強気な見方が優勢のようですが、世界経済は不透明なままであり、コロナ禍からのリオープン(経済再開)にも大きく左右されるでしょう。

利上げの行方、ロシア・ウクライナ戦争の行方、日銀の金融政策の行方……と、今後、相場の転機を探るような局面が度々訪れそうです。状況を注意深く観察し、新たな展開に入るタイミングを見逃さないようにしたいものですね。

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