【株の失敗談】人には言えない恥ずかしいミス10連発

岡田禎子
2021年1月16日 8時10分

《人は、他人には「うまくいった話」を自慢したいものです。そのため「こんなミスをやらかしました……」という赤裸々な体験談はなかなか聞けません。大好評だった前回の記事に続き、またまた個人投資家のみなさんの「恥ずかしい過去」を一挙にご紹介いたします》

卵はひとつの籠に盛ってはいけません。

1銘柄に全額投資して300万円の損

Kさんはインバウンドで資生堂<4911>が好調と知り、運用資金の全額を同銘柄に注ぎ込んでしまいました。その額、300万円也。

しばらくすると株価が3,000円から2,500円を割り込み、50万円の含み損になったため、Kさんは慌てて売却。ところがその後、株価は大幅に上昇します。しかしながら、もはやKさんには再度買う勇気も余裕も残っていませんでした。

運用資金に対して1銘柄の投資額が大きいと平常心が保てないことを知り、高い授業料だったとため息をつくKさんなのでした。

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バリュー株という名の万年割安株

「バリュー株投資はリスクが小さい」と聞いたLさんは、早速スクリーニングをして、数銘柄のバリュー株を購入しました。しかし、どれも株価が下落したままテコでも動かない「万年割安株」となってしまい、我慢し切れなかったLさんはすべて損切りしたそうです。

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PBR1倍割れは本当にバーゲン価格? 見方を変えて「万年割安株」を回避する

IPOだけを追いかけた人の末路

新規公開株式(IPO)は、上場直後に株価が大幅に上がり、初値で売るだけで利益を上げられる例も多くあります。「これは儲かる!」と思ったMさんは、片っ端から抽選に申し込み、見事、中小型液晶パネルのジャパンディスプレイ<6740>の抽選に当選しました。

しかしMさんの期待とは裏腹に、同社株は900円の公募価格(つまりMさんの購入価格)に対して、ついた初値は769円。実に14.6%も下回ってしまいました。

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優待株投資だから大丈夫ってほんと?

優待タダ取りのはずが逆日歩発生!

株主優待をタダ取りしようと、Nさんは伊藤ハム<2284>(現在は上場廃止→伊藤ハム米久HLD<2296>へ)を「クロス取引」で購入しました。

ところが、予想もしていなかった「逆日歩」が発生。しかも米久との合併の影響で、逆日歩は1株あたり36円もつき、1,000株で5,000円相当だったはずの優待商品のハムが、実に3万6,000円という御歳暮並みの高級ハムになってしまいました。

[そんなNさんに読んでほしい]

株主優待狙いの裏技&注意点 「1泊2日の甘い夢」は悲劇の始まりかも?(「クロス取引」および「逆日歩」についても、こちらの記事をご参照ください)

権利確定後に優待廃止の悪夢!

Oさんは、カタログ通販大手のニッセンHD<8248>(現在は上場廃止)を優待目当てで持っていました。ところが2015年2月、同社は業績悪化を理由に、前年12月に遡って株主優待を廃止することを発表。当然のように、株価も急落しました。

株主優待の内容の変更は、取締役会の決議だけで決定することができます。そのため、株主からすると突然変更されたり、廃止されたりすることがあり得るのです。業績の確認もせずに優待目当てだけで買ってしまったことを、Oさんはいまも後悔しています。

[そんなOさんに読んでほしい]

おいしい株主優待に隠された「思惑」を、企業の視点で考える

優待改悪、減配、株価下落のトリプルパンチ!

テレビでKeyHolder<4712(旧:アドアーズ)>の株主優待を観たPさん。2,000株以上の保有で高級リラクゼーションサロンのチケットなどがもらえるというもので、加えて配当利回りも20%以上あり、これはお得♪と喜び勇んで2,000株を購入しました。

その矢先、同社は株主優待に必要な株数を2,000株から3,500株に変更。Pさんの保有数では優待を受けられないことになりました。悪いことは続き、配当金を2円から1円に減配するとの発表が。これを受けて株価は10%以上も急落。Pさんにとっては、非常に高い買い物となったわけです。

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優待条件を勘違いして……涙

優待目当てでトランザクション<7818>に投資しようと考えたQさんは、とりあえず100株を発注し、めでたく約定しました。

がしかし、同社の株主優待は200株以上を保有(現在は100株)している株主が対象だったのです。Qさんが自分の勘違いに気づいたときには株価が高騰しており、もう手を出せない価格に。もちろん優待の権利は得られず、Qさんは誤発注した自分を責めることしかできませんでした。

[そんなQさんへの朗報]

今回、周りの個人投資家たちに取材してみて、意外と多かったのが発注ミスです。ベテランでも「実はやったことがある」という声が多く聞かれました。ということで、最後に誤発注ネタを集めてみました。

人の振り見て我が振り直しましょう。

「100株」と「200株」でクロスできず、の巻

Rさんは株主優待をタダ取りできる「クロス取引」をしようと、ある銘柄で「信用売り」「現物買い」を同時に行いました(「クロス取引」についてはこの記事をご参照のこと)。

……はずが、100株を現物買いしたのに対して信用売りしたのは200株だったことが判明。慌てて100株を買い戻したものの、その間に株価が上昇し、結果的にRさんは損失を出すはめになってしまいました。

「指値」と「逆指値」に惑わされる、の巻

Sさんが保有していた某株はストップ高を続けていました。Sさんは暴落を恐れて、購入金額を下回ったら売却できるよう、指値で売り注文を出しておきました。

しかしSさんの心配をよそに、株価はさらに上昇。「さらに儲かって良かった」と喜んだSさんでしたが、注文状況を確認してみると、同社株がすでに「売却済み」となっているではありませんか。

そうです、売りの「指値」は「〇円以上なら売却」という注文。このときのSさんの場合、本来は「〇円以下で売却」という「逆指値」で発注すべきだったのです。

落とし穴は「売」と「買」の間に……の巻

株デビューしたばかりのTさん。トヨタ自動車<7203>を保有していましたが、含み益が出たので売却しようと思い、インターネットで発注しました。

ところが後日確認してみると、保有している株数が倍になっていました。まさかの「売」を「買」と間違えて発注ミスしていたのです。「こんな落とし穴があったとは……」と、いまだにショックを隠せないTさんなのでした。


「自分はこんなミスは犯さない」と思う方かもしれませんが、今回お話しを聞かせてくださった方々も、きっと同じように思っていたはずです。あり得ない(はずの)自分のミスについて話すときの、みなさんの悔しそうな表情がとても印象的でした。

くれぐれも注文は慎重に。

【耳が痛くなったすべての個人投資家に読んでほしい】

【みんなの株の失敗談】あるある10選 耳が痛くなった人のための処方箋つき

[執筆者]岡田禎子
岡田禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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