2月・3月の相場はどうなる? 経験則から見えてくる要警戒ポイントとは
過去の経験則に学ぶ「相場のパターン」
株式市場には「アノマリー」と呼ばれるものがあります。経済学やマーケット理論では説明できない、経験則で観測できるマーケットの規則性のことです。
例えば、1月の相場には「1月効果」というアノマリーがあります。株式市場では1月の収益率が他の月よりも高くなりやすい現象のことをいいます。これは、年末に税金対策として売りが出る一方、年明けには新規資金が流入しやすいことが原因だといわれています。
それでは、実際に近年の値動きはどうなっているのでしょうか。過去5年間の日経平均株価の動きを確認してみましょう。
【1月効果】1月最初の営業日の始値で買い、最終営業日の終値で売却した場合の騰落率
平均では−0.59%となり、ここ5年では1月効果は見られませんでした。
このように、かつては効果があったものの、最近では顕著な傾向は見られないアノマリーも多くあります。そうは言ってもアノマリーは過去の経験則であり、何の手がかりもないよりは参考になるかもしれません。
今年も何かが起こる? 2月相場に要警戒
2月相場のアノマリーとしては、「節分天井・彼岸底」がよく知られています。これは、新年からの強い相場が節分の時期(2月3日ごろ)まで続き、その後は彼岸(3月20日前後)の時期まで下落するというアノマリーです。
しかし、このアノマリーは昔の米(コメ)相場からきているものです。果たして、現代の株式相場でも当てはまるのでしょうか。過去5年の日経平均株価の値動きはどうだったのかを見てみましょう。
【節分天井・彼岸底】2月3日の始値で買い、3月20日の終値で売却した場合の騰落率
5年平均では−5.86%の下落で、たしかに下がっています。ただ、上昇と下落の割合は2:3となっており、アノマリーどおりとはいえません。
その一方で、2018年2月にはVIXショックと呼ばれる世界同時株安、2020年3月にはコロナショックが起こっており、2月から3月にかけては警戒が必要だといえるでしょう。
株主優待の権利取りで賑わう業種も
日本企業の決算は3月に集中しますが、小売や流通、外食系では2月決算企業が多いのが特徴です。これらの中には株主優待が魅力の銘柄が多く、決算日をめがけて優待狙いでの買いが集まりやすい傾向があります。
2月決算企業で株主優待が魅力の銘柄には、以下のようなものがあります。
- イオン<8267>:株主優待カード、自社グループ優待券
- 吉野家ホールディングス<9861>:買物優待券
- ビックカメラ<3048>:買物優待券
- 西松屋チェーン<7545>:プリペイド式お買物カード
- エービーシー・マート<2670>:買物優待券
(参考記事)株主優待狙いの裏技&注意点 「1泊2日の甘い夢」は悲劇の始まりかも?
年度の締めくくり。3月相場の特徴
3月は、機関投資家が運用しているファンドの利回りを引き上げることを目的とした「ドレッシング買い」が入りやすい時期といわれています。また、日本では3月末が決算となる企業が多いので、個人投資家も株主優待や配当を目的に買いを入れる傾向があります。
ただ、持ち合い解消の売りが出やすい時期でもあります。持ち合い解消とは、金融機関が株価の変動によるリスクを軽減することを目的に、企業との持ち合い株を減らしていく売りのことです。持ち合い解消の売りは3月の第3週までに出やすく、最終週には比較的しっかりとした展開が多くなります。
3月26日から31日までの日経平均株価の騰落率は、以下のようになっています(日経プロフィルより)。年度末の締めくくりは、たしかに上昇して終わることが多いようです。
経験則からパターンが生まれる?
アノマリーはあくまでも過去のデータをもとに傾向を示したものにすぎませんが、そういう傾向がある前提で動く投資家がいることによって、一定のパターンが形成されることも実際には起こります。「絶対」というものではないことを理解したうえで、うまく活用できるといいのではないでしょうか。