3月の株価はどうなる? 春の配当・優待ラッシュとお花見で急騰する銘柄とは

岡田禎子 2020/02/26

最も株価が上昇しやすい3月

3月は12か月の中で最も株価が上昇しやすい月と言われています。配当・株主優待が最多の月となるため、権利取りのための買いが入りやすい傾向にあることが、その背景にあります。

機関投資家の決算月でもあり、利益確定売りが出やすい一方で、運用成績を良く見せるために「ドレッシング買い(期末にかけて自ら株を買って株価を上げる)」に動くなど、神経質な展開になりやすい場合もあります。

季節のテーマは、やはりお花見。今年は一体どんな関連銘柄に注目が集まるのか、気になるところです。

月末にかけて相場は盛り上がる

3月相場の特徴として、前半は外部要因で日経平均株価が上下にブレやすいものの、後半は月末の配当・優待取りに向けて徐々にしっかりとした基調になっていく、という傾向があります。

上旬は、アメリカの「スーパーチューズデー」や中国の「全人代」など、今後のマーケットを左右しかねない政治イベントが控えています。場合によっては株価の波乱要因となるため、注意深く見守る必要があります。

  • スーパーチューズデー……アメリカ大統領選挙に向けた各党の予備選挙が、複数の州で同時に開催される日のことを言います(日本と違って、アメリカでは伝統的に火曜日が投票日なのだそうです)。2020年は3月3日。本選挙でトランプ大統領と闘うのは誰になるのか、注目が集まります。
  • 全人代全国人民代表大会)……中国の国会に当たる議会で、年に一度、3月5日から10日間ほど開催。約3000人が集まって、法律の制定や予算案など国の重要方針が審議されます。2020年は新型コロナウイルスの影響で延期されることが決定されましたが、その影響も注目されます。

中旬には、年明け初の「メジャーSQ」が控えており、波乱要因として意識される動きとなります。

  • メジャーSQ……先物取引やオプション取引の清算価格(SQ)を算出する決済期日のうち、両者の期日が重なる3・6・9・12月の第2金曜日のこと。2020年最初のメジャーSQは3月13日(金)。

また、3月末の本決算を迎えるにあたり、輸出企業が外貨ベースの売上を円に戻すために円高になりやすく、株式市場でも、企業の運用担当者が、利益確定や損失確定を行ってキャッシュポジションを増やす傾向にあるため、株価は下落しやすくなります。

しかしその後、下旬にかけて配当・優待の権利取りの動きが活発になると、株価は堅調な動きとなる傾向があります(詳しくは後述)。

過去3年はアメリカの動きに右往左往

2017年は、3月14日に米FRBの利上げ発表があったものの、トランプ政権の景気浮揚策への期待感が後退したことから、中旬から月末にかけて下落となりました。

2018年は、アメリカが中国に対する制裁措置(鉄鋼やアルミニウムの輸入制限など)を発動したことで調整色を強めましたが、月末にかけては、3月末決算企業への権利確定狙いの買いなどが入って上昇しました。

2019年は、世界経済減速への懸念やリスク回避姿勢などから円高・ドル安が進行し、下落となりました。

こうして見てみると、「最も株価が上昇しやすい月」と言われてはいるものの、必ずしも平穏な月というわけではないということがよくわかります。

配当・優待ラッシュ到来

東証1部上場企業の約7割が3月期決算とあって、3月は、月末の配当・株主優待の権利取りに向けた動きが活発化します。

配当や株主優待をもらうには「権利確定日」にその銘柄を保有していることが条件ですが、株の売買は、約定日から起算して3営業日目が受け渡しとなります。したがって、権利確定日の2営業日前(=権利付き最終日)までに買い付けておく必要があります。

2020年は、3月27日(金)が権利付き最終日、30日(月)が権利落ち日(この日に買っても権利はもらえない)、31日(火)が権利確定日となります。

もっとお得にゲットする裏技とは

3月の優待銘柄は800社以上ありますが、オリックス<8591>、KDDI<9433>など、配当利回り3%を超える高配当で、なおかつ優待ももらえる銘柄が、個人投資家の人気を集めています。

また、権利付き最終日から権利落ち日にかけて、現物の買いと信用の売りを同時に行う「クロス取引」を使って、〝タダ〟で優待品を手に入れる方法も人気です。ただし、逆日歩(信用売りが増えすぎて株が不足した場合に追加でかかる費用)が発生する場合がありますので、取引の際は慎重に。

配当や優待で人気のある銘柄ほど、権利付き最終日に向かって株価が上昇しやすくなる一方、権利落ち日以降には大きく下がる傾向にあります。配当・優待狙いで買った投資家が、権利を得るとすぐに手放すためですが、長期的な視点で見れば、押し目買いのチャンスとなるかもしれません。

なお、配当が低いために売られていた好業績の銘柄に対しては、買い戻しが入りやすくなります。

お花見相場で酒が進む?

初桜 折しも今日は よき日なり(松尾芭蕉)

春、親しい人と酒を酌み交わしつつ、桜を眺める──最近では映像を使った「エア花見」など花見も多様化していますが、花を愛する心は同じ。これぞ、日本人の心の風景と言えます。

ある調査によれば、3月から5月にかけての花見の経済効果は6500億円に及ぶそうです。その規模はクリスマスに匹敵し、春のシーズンストック銘柄として、株式相場でもお花見関連銘柄が注目を集めます。

酒の消費量が拡大することから、ビールメーカーなど酒メーカー、飲料メーカーなど、また酒のお供としておつまみメーカーや、コンビニ関連、デパ地下関連などが注目されます。

・キリンホールディングス<2503>

お花見と言えばビール。お花見関連銘柄でも、やはり代表格はビールメーカー。

「一番搾り」や「のどごし<生>」を有するキリンホールディングス<2503>は、2019年の3月上旬には2,400円台だった株価が、4月2日には2,702円と10%以上も上昇。2月発表の本決算では営業減益予想だったものの、同時に、プラス12円(51円→ 63円)の増配を発表したことも後押ししたのでしょう。

【その他のお花見関連銘柄】
  • アサヒグループホールディングス<2502>……ビール最大手。アサヒ飲料、カルピス、ニッカなども傘下。
  • 亀田製菓<2220>……米菓で首位。主力商品は「柿の種」「ハッピーターン」など。
  • 伊藤園<2593>……茶葉製品の最大手。緑茶飲料に強いほか、傘下に「ターリーズコーヒー」。
  • イオン<8267>……総合小売大手。

春を待ちわびて

啓蟄(けいちつ)の頃 相場は上昇

啓蟄は二十四節気のひとつで、「冬ごもりしていた虫が地上に這い出る」という意味。旧暦2月の前半を指し、 2020年は3月5日です。新年の株式相場が波乱のスタートであっても、2月には底を打ち、3月は権利取りや次年度への期待から株価は徐々に上昇していく……というパターンを表した相場格言です。

2020年は、新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大している影響で、相場の先行き不透明感が日々増し、不安を抱えている人も多いかもしれません。

しかしながら、どのような状況下であってもチャンスがあるのが株式相場です。冬のあとには必ず春が訪れるように、必ずやってくるチャンスを見逃さないよう、日々の動きに注視しつつ相場に臨みましょう。

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[執筆者]岡田禎子
岡田禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)【株窓アワード2019大賞】 →この執筆者の記事一覧へ

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