2018年に最も読まれた記事 知らずに慌てる人続出で第2位に

かぶまど編集部
2018年12月18日 8時00分

 

「かぶまど」で今年最も読まれた記事をランキングでご紹介しています。株を長年やっている方でも意外と知らない場合が多い「株式併合」の記事が第2位になりました。

急増する株式併合 その目的は? 株価と株主への影響は?

(※編集部注:本記事のもとになっている記事は2017年10月に掲載されたものです)

2017年9月27日の朝、シャープ<6753>の株価が10倍になっていた! 「あのシャープが、まさかのテンバガー?」とびっくりした方もいるかもしれません。もちろん、違います。株価が10倍になったのは、10株を1株にする「株式併合」が行われたからです。

2018年10月までに、株式の取引単位は100株に統一されます。現在1000株単位の銘柄も、すべて100株に変更になります。すでに各社が変更を進めており、シャープと同じ9月27日には、計357銘柄が単元株の変更を行いました。そして、その全銘柄で同時に実施されたのが、株式併合です。

一般的に、株式併合は株価にマイナスの影響があるといわれていますが、それは本当でしょうか?

株式併合とは

企業が「発行済株式数を減らすために、複数の株式を1株に統一する」ことが株式併合です。

たとえば「2株→1株」の株式併合ならば、株主の保有株数は半分になります。1000株保有していたのであれば、「2株→1株」の併合によって500株保有となります。

一方で、理論上の株価は上昇します。1株500円の株価が「2株→1株」で株式併合されたら、500円×2で1000円に、「10株→1株」の併合ならば、500円×10で5000円に上昇します。シャープの場合、まさにこの計算によって株価が10倍になりました。

株式併合しても資産価値は変わらない

株価は上昇しますが、その企業の株を保有している投資家の保有資産は変わりません。なぜなら併合により、投資家が保有している株式数が減少するからです。

  • 併合前の保有資産(2株を保有):500円×2株=1000円
  • 併合後の保有資産(2株→1株):1000円×1株=1000円

企業価値という点でも、併合前と併合後では変更はありません。企業価値を表す「時価総額」は「株価×発行済株数」で算出されます。併合によって「株価」は上昇しますが、「発行済株数」は減少するため、両者をかけて算出される時価総額=企業価値は変わらないことになります。

企業が株式併合を行う目的

このように理論上は、株式併合では株式の価値には影響を及ぼしません。では、企業が株式併合を行う目的は何でしょう?

ひとつめの目的としては、「株価の引き上げ効果」があげられます。長期間にわたり業績低迷が続く企業は、株価も下落し、株価が200円以下のいわゆる「低位株」となります。そうなると、投機の対象になりやすくなります。

そこで企業は株式併合を実施して、株価の引き上げを図ります。1株50円の銘柄を「10株→1株」で併合して、株価を500円にするのです。このように、いわば「見せかけの株価」を上昇させるための手段として、これまで株式併合は多く使われてきました。

最近増えている株式併合の目的

しかし最近の株式併合の急増は、冒頭に述べたように、東京証券取引所や全国の取引所における「売買単位の統一」に伴うものです。そして、「売買単位100株統一」の推進と同時に、東京証券取引所では、必要最低投資金額を「5万円以上50万円未満」にすることを推奨しています。

この基準をクリアするには、株価は最低でも500円以上(500円×100株=5万円)で、かつ5000円以下(5000円×100株=50万円)に収める必要があります。そのため、売買単位の変更と同時に株式併合を活用して、必要最低投資金額の調整を行う企業が増えているのです。

経営再建やM&Aの調整という目的も

その他の目的としては、過去に実施した第三者割り当て増資や大幅な株式分割などにより、過剰に膨れ上がった発行済株式数を、適正な水準に戻すために株式併合を実施する場合があります。

また、業績不振の企業が、経営再建のために欠損金を埋める目的で、減資とセットで株主併合を実施することもあります。その場合、減資とほぼ同時期に第三者割当増資も実施します。結果的に、1株あたりの利益が低下することから、既存株主にとってはマイナスとなる場合が多くあります。

合併などを行う際には、合併比率を調整する目的で株式併合が行われることがあります。また、株式併合を実施することで、企業は株主の管理コストを大幅に圧縮することができます。

ネガティブなイメージがある理由

2001年の商法改正以前は、原則として株式併合は禁止されており、例外的に資本減少など一定の場合でのみ認められていました。

商法改正後も、減資を伴う株式併合が多かったこと、業績が低迷している企業が、株価水準を高めるためや株主管理コストの低減化のために行っていたことなどから、一般的に、株式併合はネガティブなイメージがあります。

しかしながら、現在、株式併合の目的は多様化してきています。

株式併合が株主に与える影響

では、株主に与える影響はどうでしょうか?

株主併合は、株主総会の特別決議によって決まります。特別決議は出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。普通決議で決まる「株式分割」より厳格な手続きが規定されています。

……この続きはこちらから。

急増する株式併合 その目的は? 株価と株主への影響は?

[執筆者]かぶまど編集部
かぶまど編集部
無防備なまま株式市場に参加して大切なお金をなくしてしまう人をひとりでも減らしたい──そんな思いから、未来の株価や相場を予測するのではなく、過去の事例やデータといった「普遍的な事実」に焦点を当てた記事を発信します。同時に、株初心者の方や、これから株を本気で始めようとしている方にもわかりやすい解説を心がけています。
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