11月の株価はどうなる? 上がる日・下がる日の傾向と最もアツくなりそうな日とは
銘柄よりも大事な「タイミング」
一時は3万円を超えたものの、あわただしい上下動を繰り返す日経平均株価。そんな中、1885年の初代から100代目となる節目の内閣総理大臣に、岸田文雄氏が10月4日に就任しました。
集団免疫が進んだのかな? と思いつつもコロナはまだまだ未知数。さらには衆議院総選挙の投開票も31日に控え、2021年の秋は何かとあわただしいですね。
コロナも政局も一個人ではどうしようもないことですので、投資家・トレーダーたるもの、過去から学んで備えておきましょう。
「騰落率」に見る上がる日・下がる日
株を「いつ」購入すればいいのかという問題は、実は、「どれ」を買うか(銘柄)よりも重要かもしれません。もったいないタイミングで売買してあとから悔しい! と思ったことが一度もないという人も、なかなかいないのでは?
悩ましいタイミングを見極めるひとつの参考になる(かもしれない)のが、一年366日の日経平均株価の「騰落率」です。
「騰落率」とは、戦後に東京証券取引所が再開された1949年5月16日から現在までの、毎日の日経平均株価の日付別の上昇確率を計算したもので、平たく言えば、「この日付の日経平均株価は前日より上がったか、下がったか」を1949年から累計したデータです。
それぞれの日付において、株価が前日より上がった場合を「勝ち」、前日より下がった場合を「負け」として、その勝率(上昇する確率)が算出されています。
《参考記事》その株、いつ買えばいいの? 一年で最も上がる日・下がる日からわかったこと
この騰落率を、先の見えない未来を読み解くヒントのひとつにしましょう。
これが11月の最も上がる日・下がる日
日経平均株価の騰落率は、日経平均株価の様々なデータを紹介するサイト「日経平均プロフィル」で確認することができます。これによると、11月の30日のうちで騰落率が最も高いのは「22日」の68.42%で、最も低いのは「7日」の32.76%(データは2021年10月現在)。
それでは、日別の騰落率を2021年11月のカレンダーに当てはめてみましょう。
11月の騰落率は……ごくスタンダード
今年の4月から毎月、この騰落率について調べてきました。
多くの月で「5日以上の上昇」というトレンドがありましたが(7月・10月以外)、11月も同じように、23日(「勤労感謝の日」で休場のため過去からの騰落率データの蓄積のない日)を除いて考えると、22日から27日の5日間で上昇しています。
また、4〜8月にかけては「月の最後の5日は堅い」という傾向が続いていたのですが、11月の最終5日間も、28日を除けば騰落率は50%以上でした。
ちなみに11月においては、騰落率が30%台(=下がる確率が70〜80%)の「かなり売り優勢な警戒日」は7日の32.76%のみ。これまでは、4月が0日、5月が3日、6月が1日、7月が3日(現時点で最多)、8月は1日、9月は2日、10月は0日でした。
11月は「月末5日のうち4日が騰落率50%以上」「5日連続騰落率50%超えになるタイミングが一度ある(祝日除く)」「騰落率30%台は1日のみ」という、多くの月が持つ特徴を備えているスタンダードな月と言えます。
ただ、その中でもちょっと特筆すべき事項もありました。これについてはのちほど紹介しますね。
過去3年の11月の日経平均株価の推移
騰落率上ではスタンダードな印象の11月相場。日経平均株価のチャートで見るとどうなのでしょうか。過去3年の11月の日経平均株価の推移を振り返ってみましょう。
2020年はきれいな右肩上がり。2019年と2018年は上下動の末、最後の5日は右肩上がり、とやや形が似ています。
この騰落率と実際のチャートを重ねてみる作業も4月から行っていますが、本当に、騰落率からイメージする形と一致することのほうが少ないです。ひとつのデータや情報だけで判断するのではなく、さまざまな角度から見ることの大切さを実感させられます。
11月の最も上がる日・最も下がる日は、どんな日?
11月の「最も上がる日(前日に買っておけばウハウハ?)」と「最も下がる日(前日に売っておけばウハウハ?)」について、もう少し詳しく見てみましょう。
【トップ】11月22日(39勝18負0分)
11月で最も上がる確率が高いのは「22日」。騰落率は68.42%です。「3分の2の確率で上がる」が66.66666%ですから、それを超えるなかなかいい確率です。1949年以降の勝ち負けは39勝18負0分です。
[この日、何の日?]
- 長野県りんごの日……「いい夫婦の日」では予想通りすぎると思って探した結果、見つけた記念日です。JA長野県経済連等が1999年に制定しました。長野県産林檎の主力品種が「ふじ」であることから「いい(11)ふじ(22)」の語呂合せ、さらに1122→いい夫婦→アダムとイヴ→林檎の連想なんだそうです(アダムとイブって、いい夫婦でしたっけ……?)。
【最下位】11月7日(19勝39負0分)
11月で最も上がる確率が低い(=下がる確率が高い)のは「7日」の騰落率32.76%です。つまりは約67%の確率で下がるということになり、3回に2回は下がる(66.66666%以上)をわずかですが超えています。戦後に取引のあった計58日分の勝敗は19勝39負0分。
[この日、何の日?]
- 立冬(2021年は)……季節の変わり目を示す二十四節気のひとつ。二十四節気は太陽がこの位置を通ったらコレと呼ぶ、というように定められているため、年によって日が若干ずれることもあります。2021年は11月7日が立冬。もう冬なんですね。
11月の一番上がる日・下がる日を見てきましたが、どちらもその確率は3分の2(66.66666%以上))以上で高い(高く上がる、高く下がる)ことがわかります。これが、本稿前半でもったいぶった「特筆すべき内容」でした。
残念ながら(?)2021年の11月7日は日曜日で相場はお休みですが、22日は月曜日。データどおりに高く上がってくれるでしょうか。
秋の電撃発表にご注意を
騰落率という観点から11月相場を見てきましたが、「それ以外」の特徴も見ておきましょう。
まず、多くの日本の上場企業は3月期決算ですから、11月の上旬~中旬にかけて中間決算発表のピークを迎えます。個別銘柄の株価にインパクトを与える材料になることも当然あるでしょう。もちろん、いい方向だけでなく悪い方向でも。
そして、相場においては日本ばかり見ていては間に合いません。11月第4木曜日(今年は11月25日)は、アメリカでは秋の収穫を感謝する祝日・感謝祭(サンクスギビング・デー)です。そんな感謝祭の前後は相場が高くなりやすい、というアノマリー(ジンクスのようなもの)があるんですね。
奇しくも、騰落率データから11月で最も上がる日も、サンクスギビング・デーの直前にあたる11月22日です。11月22日、「アツい」かもしれません。
《参考記事》11月・12月の相場はどうなる? トレーダーが年の瀬に心配していること
深まる秋は、年末に向けた正念場?
秋も深まる11月。迫る冬の気配に、「一年は早いなぁ〜」なんて思うころですが、年末に一年の成績を振り返ったときに笑顔になれるか、それとも遠い目になるかは、自分次第。11月の傾向を踏まえたうえで、先生も走り出す師走に備えましょう。