11月・12月の相場はどうなる? トレーダーが年の瀬に心配していること

山下耕太郎 2020/11/02

転換点となりやすい11月相場

11月は、相場の転換点になりやすい月です。上旬から中旬は弱めでも、第4木曜日のサンクスギビング・デー前後が転機となり、12月の強気相場へと突入することが多い傾向にあるからです。

・勝率1位は22日、いちばん負けるのは……

日本経済新聞社が提供する指数公式サイト「日経平均プロフィル」では、終戦後(1949年5月16日)から現在までの日経平均株価の日別上昇率(騰落率)をカレンダーで見ることができます。11月を確認してみると、22日が68.42%ともっとも高く、もっとも低いのは7日の32.76%となっています。

(「日経平均プロフィル」より)

注意すべき「45日ルール」

11月は、ヘッジファンドの「45日ルール」に注意が必要だといわれています。ヘッジファンドの決算は6月と12月に多いからです。そして、ファンドの出資者(顧客)は、決算日の45日前までに、解約を申し出ないといけないという取り決めがあります。これを「45日ルール」といいます。

たとえば決算日が12月末なら、45日前は11月15日になります。そこで、ヘッジファンドが、顧客の解約に備えて11月中旬ごろまでにポジションの一部を手仕舞うことで、マーケットが乱高下する傾向にあるといわれているのです。

ただし、最近のヘッジファンドの解約は年に2回だけでなく、日次で解約できたり、毎週解約できたりするので、45日ルールの影響は限定的になってきています。

それでも、このようなアノマリーを利用して仕掛け的な売りを出してくる投資家・トレーダーがいるので、不安定な環境のときは、11月中旬ごろの45日ルールには注意が必要です。

アメリカ大統領選と株価

2020年は、4年に一度のアメリカ大統領選挙の年です。

これまでの大統領選後の株価の傾向を確認しておくと、通常、選挙直後の株価は不透明感の解消を理由に上昇しやすく、翌年の株価も新大統領への期待から上昇しやすい傾向にあります。選挙前は戦局に応じて株価は不安定になりがちですが、選挙後は不透明感が解消して上昇しやすいのです。

(参考記事)アメリカ大統領選で株価はどうなる? これまでの選挙からわかったこと

また、大統領選挙後の1~2年後の上昇率を見ると、民主党候補が勝利した場合のほうが上昇率は高い傾向にあります。

感謝祭前後は株価が上昇しやすい?

11月第4木曜日は、アメリカの感謝祭サンクスギビング・デー)です。秋の収穫を感謝するための祝日で、翌金曜日の株式相場は半日立会日になります。2020年は11月26日。

そんな感謝祭の前後は相場が高くなりやすい、というアノマリーがアメリカ市場にあります。11月下旬まで弱気に推移していた株式市場が、サンクスギビング・デー前後で折り返し、12月は強い相場になりやすい傾向があるのです。

過去3年の11月の株価推移

・2019年11月の日経平均株価とダウ平均株価

・2018年11月の日経平均株価とダウ平均株価

・2017年11月の日経平均株価とダウ平均株価

12月相場は利益を出しやすい

一年を締めくくる12月は相場が強くなりやすく、利益を出しやすい月として有名。年末にかけて、株価は上昇しやすい傾向があるのです。

その要因のひとつは、12月上旬はヘッジファンドの11月決算が通過し、新規資金の流入が期待されるからです。ただし、最近は12月や1月など他の月に決算があるヘッジファンドも多いため、この傾向は薄れつつあります。

・26日は勝率7割超、一方5日は……

日別の騰落率を見ると、クリスマス休暇明けの26日が72.41%ともっとも高い勝率で、5日が41.38%ともっとも低くなっています(「日経平均プロフィル」より)。

(「日経平均プロフィル」より)

クリスマス入りで新興市場が賑わう

12月中旬からはクリスマス休暇に入る投資家・トレーダーが多くなります。そのため、とくに第2週のメジャーSQ後は先物で仕掛け的な売りが出にくくなるので、日本の株式市場はしっかりの展開になる傾向があります。

そうした中では個人投資家の動きが目立つようになり、マザーズやジャスダックなどの新興市場は買われやすくなります。

新年に向けて株価は上がる?

また、12月下旬には「サンタクロース・ラリー」と呼ばれるアノマリーがあります。アメリカの株式市場では、12月になると節税対策の売りが出やすいのですが、クリスマスから翌年1月にかけて買い戻しが入るので、上昇する傾向があるのです。

日本にも「掉尾の一振(とうびのいっしん)」という相場格言があります。「掉尾」は物事が最後になって盛り上がることで、年末に期末を迎える機関投資家のお化粧買い(ドレッシング買い)や、新年度相場への期待などが要因です。

過去3年の12月の株価推移

・2019年12月の日経平均株価とダウ平均株価

・2018年12月の日経平均株価とダウ平均株価

・2017年12月の日経平均株価とダウ平均株価

良い新年を迎えるために

11月下旬から12月は、株式市場は比較的しっかりしているという傾向があります。ただし、これはあくまでも過去の傾向にすぎないので、アノマリーを過信せず、つねにリスク管理をきちんとしておく必要があります。

筆者がディーラー時代、稼いでいるディーラーは12月中頃から休みを取ったり、ポジションを落とした取引をしたりしていました。稼いでいないときは年末まで必死に取引していたことも、今となってはいい思い出です。

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[執筆者]山下耕太郎
山下耕太郎
[やました・こうたろう]一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴20年以上。現在は、日経225先物・オプションを中心に、現物株・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。趣味は、ウィンドサーフィン。ツイッター@yanta2011 先物オプション奮闘日誌
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