6月の株価はどうなる? 日銀会合にW杯、スペースX上場で恩恵を受ける銘柄とは

岡田禎子
2026年5月23日 9時00分

《6月相場の「お決まりパターン」とは? 日米の金融政策で株価はどう動くのか? 超大型IPOやサッカーW杯から広がる物色にも期待。重要イベントと注目銘柄、そして今年の傾向と対策を解説》

6月は「前半波乱・後半堅調」になりやすい月です。メジャーSQを前後に乱高下しやすく、後半は「配当再投資」や「ボーナス買い」が下支えします。今年は日米の金融政策の動向が焦点となるほか、米スペースXの上場を追い風にした宇宙・AI関連株への資金流入も期待されます。

5月相場は、3月期決算や米エヌビディア決算を受けて「AI投資は続くのか?」がテーマでした。それを受けた6月相場は、「では、実際にどの分野へ投資家資金は向かうのか?」が試される局面となりそうです。

  • 重要イベント:メジャーSQは6月12日。最大の山場は15・16日の日銀会合。追加利上げは行われるのか? 日程が重なる米FOMC (16・17日)は、FRB新議長になって初開催。
  • 注目銘柄:AIインフラとして「味の素」「アドバンテスト」、スペースX上場では「三菱重工業」、W杯関連の「アシックス」のほか、日銀の利上げで「三菱UFJフィナンシャル・グループ」など。

6月相場の特徴──アノマリーと恒例イベント

3月期決算企業の本決算発表も一巡し、相場物色の手がかりが難しい6月。前半はメジャーSQへの警戒感が高まりますが、後半にかけては配当再投資の買いが相場を支えるほか、株主総会シーズンに入ることで堅調になりやすい傾向があります。

日経平均株価の騰落率は過去20年の平均がプラス0.8%で、一年を通じて突出して強い月ではありません。ただ、株価チャートを見てみると、やはり月後半に偏った上昇傾向が見られます。

日経平均株価の月別騰落率のグラフ 6月は+0.8%

・メジャーSQから配当再投資へ

6月前半は、第2金曜日に控える「メジャーSQ」(今年は6月12日)に向けて、先物・オプション絡みの売買が膨らみやすくなります。特にその前後で乱高下しやすく、指数主導で相場が不安定になる傾向があります(参考記事:「メジャーSQ」で株価が上昇? 現物株への影響も理解する)。

一方、下旬には3月期決算企業の配当金が支払われ、再投資の資金として株式市場に流入します。そのため、「前半は不安定、後半は需給改善」というのが6月相場の典型的なパターンです。

・株主総会シーズンの注目は「高還元株」

6月後半には、3月期決算企業の株主総会が集中します。近年は、東証のPBR改善要請やアクティビスト対応もあって、増配や自社株買い、DOE導入、累進配当強化といった株主還元策に力を入れる企業が増えています。こうしたことから、6月は「高還元株」が物色されやすくなります。

・夏相場入りに向け消費関連を物色

夏相場入りを意識した物色も6月後半から始まります。猛暑関連や飲料・外食・レジャーといった夏消費関連が動きやすく、近年は「体験型消費」へのシフトも追い風です。夏のボーナスシーズンも重なって、個人消費関連への期待が高まりそうです。

2026年の6月相場はどうなる?

5月まで相場を牽引してきたAI関連に加えて、6月は宇宙・防衛・スポーツ、さらに高還元株へと物色が広がる可能性があります。ただし、日銀会合や米FOMCを前に指数全体は方向感に欠けやすく、「何でも上がる相場」ではなくなりつつあります。

テーマと業績が噛み合う銘柄を選別する視点が、より重要になるでしょう。

・日米の金融政策の視点

今年の6月は、日米の金融政策による資金シフトが最大のテーマです。

6月15・16日に開催される日銀の金融政策決定会合では、現状の0.75%から1.0%へ追加利上げされることが有力視されています。実施されれば金融株には追い風となる一方、円高進行への警戒から輸出株には逆風となりやすいです。仮に据え置きなら、逆の動きとなります。

アメリカでは、FRBウォルシュ新議長が就任してから初開催となるFOMCが16・17日に開催されます。「利下げを急がないタカ派姿勢」が意識されており、アメリカ金利の高止まり観測が強まれば、AI・半導体といったPERの高いグロース株には逆風となる可能性があります。

・スペースX、いよいよナスダック上場へ

イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業、ス​ペースX<SPCX>が、6月にナスダック市場へ新規株式公開(IPO)する予定です。時価総額は最大2兆ドル規模にもなると言われ、史上最大級のIPOとなります。

市場では、単なる宇宙関連に留まらず、AIや衛星通信、防衛、半導体、データセンターまで含めた次世代インフラ相場として位置付けられ始めています。また、スペースXに出資しているアステリア<3853>にも、膨らんだ含み益への期待から注目が集まっています。

当初は6月下旬の上場と見られていましたが、証券取引委員会の審査が想定より早く進んだことから、12日に前倒し上場……との報道も。市場の期待感の強さを感じさせる動きとなっています。

・FIFAワールドカップ2026

6月11日には、サッカーFIFAワールドカップ2026が開幕します。今大会は、アメリカ・カナダ・メキシコの3か国による共同開催です。

スポーツ用品のほか、飲料・外食、パブリックビューイング関連などに短期資金が向かいやすく、日本代表の成績によってテーマの勢いが変わります。特に近年は「体験型消費」へのシフトも強まっており、「みんなで観戦する需要」そのものが消費テーマ化しつつあります。

日本代表はグループF(オランダ・チュニジア・スウェーデン)。初戦のオランダ戦は、日本時間15日(月)朝5時キッフオフです。

・「骨太の方針2026」閣議決定へ

高市内閣では初となる「骨太の方針2026」は、例年通りであれば6月中に閣議決定される見通しです。4月の経済財政諮問会議では「責任ある積極財政」を掲げ、従来の財政健全化重視から、成長投資を軸にした政策運営への転換が示されました。

市場では、官民投資が拡大→設備投資が増加→企業収益を押し上げ……という連想が働きやすく、AIや半導体のほか、宇宙、防衛、インフラ関連など「政策と結びつくテーマ株」への資金流入が強まりやすい局面となりそうです。

2026年6月のイチオシ銘柄5選

そんな2026年の6月相場で注目すべき銘柄を5つご紹介します。

・味の素<2802>

食品メーカーの味の素<2802>ですが、実はAI関連としても注目されています。

生成AI向け半導体では、高性能化に伴って高密度実装技術の重要性が増しており、それを支える重要素材の一つとなっているのが、味の素が圧倒的な世界シェアを持つ半導体材料「ABF(味の素ビルドアップフィルム)」なのです。高単価のABFによる貢献拡大で、業績の伸長が期待されます。

食品株というディフェンシブ性も持ち、AI関連の「出遅れ銘柄」として再評価される可能性があります。

味の素の株価チャート

・三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>

日銀の追加利上げが実現されれば、預貸金利ざやの拡大で恩恵を受ける銀行株。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>は2026年3月期の純利益が2.4兆円で過去最高を更新し、株主還元強化の姿勢も鮮明です。株主総会を控え、追加の自社株買いや増配への期待も高まります。

アメリカ金利の高止まりが海外事業の収益を下支えするといった期待もあり、金利正常化局面での代表的な銘柄として注目したいです。

三菱UFJフィナンシャル・グループの株価チャート

・三菱重工業<7011>

スペースX上場による宇宙関連物色の有力候補となるのが三菱重工業<7011>です。スペースXは現在、衛星インターネットサービス「スターリンク」を含めた「宇宙防衛インフラ企業」としての色合いを強めており、日本では「H3ロケット」や防衛装備を担う三菱重工業に連想買いが向かいやすいのです。

また、政府の「防衛費GDP2%目標(2027年度)」に向けた国内最大の防衛・宇宙企業としても受注拡大が加速しており、「H3ロケット」の量産化や衛星コンステレーション関連での中長期の成長ストーリーも明確です。さらに、中東情勢による防衛需要の増加も追い風となっています。

三菱重工業の株価チャート

・アシックス<7936>

スポーツイベントの前後は、スポーツ用品株に短期資金が向かいやすい傾向があります。FIFAワールドカップ2026関連の有力銘柄はアシックス<7936>。近年は欧米での「ONITSUKA TIGER」ブランドも好調で、海外売上高比率は約8割に達しています。

5月に発表した今期(2026年12月期)の第1四半期決算では全カテゴリー・全地域で増収となっており、営業利益も過去最高でした。W杯をきっかけにスポーツ株への関心が高まれば、グローバルでブランド力を高めるアシックスにも恩恵がありそうです。

アシックスの株価チャート

・アドバンテスト<6857>

AI半導体テスタ(検査装置)の世界最大手として、生成AI向け投資拡大の恩恵を受ける中核銘柄、アドバンテスト<6857>にも注目です。

今期(2027年3月期)の会社計画は、売上高1.42兆円(前期比+26%増)という高成長の見通しながら、市場の期待と比べるとやや慎重な印象。スペースXの上場をきっかけとしたAIインフラ関連の物色の流れを追い風にできるか期待されます。

アドバンテストの株価チャート

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[執筆者]岡田禎子
岡田禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP) note:https://note.com/okapirecipe_555
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