株式投資を始めるベストの場所 正しい「ロマンの追いかけ方」とは?

朋川雅紀
2026年7月11日 12時00分

《株で勝てる人と勝てない人は一体どこが違うのか? 30年以上の実績をもつファンドマネージャーが「一流の投資家」の条件を明かす【情熱の株式投資論】》

初心者への助言として何よりも最初に伝えたいことは、本格的な投資は、生活に必要な資金を差し引いて残った「余裕資金」で行うべきだということです。生活に必要な資金を確保した上で何がしかのお金が残ってはじめて、それを自分のために働かせること(投資)を考えましょう。

言い方を変えれば、あなたが余裕資金から何らかの見返りを得ようとした瞬間から、投資は始まっています。

住宅購入も、ある意味では投資と言っていいかもしれません。ただし、投資として厳密に考えた場合、住宅購入はかなり非効率と言えます。住宅を購入した後に、住宅ローンの金利、税金、維持費がかかります。そして、家の売却にはかなりのストレスが伴います。とりわけ現金化を急いだ時には、期待通りの結果にならないことが多くあります。

そう考えると、投資の中心はやはり株式投資ということになります。企業が上げる利益や成長の分け前にあずかること、これこそが本当の意味で、あなたのお金が成長するチャンスとなります。株式は、一般の人がお金を増やせる可能性が一番高い商品です。

自分が好きで応援したい企業に投資するのも一つのやり方ですが、初心者であれば、世界で活躍する大企業に投資するほうがいいでしょう。これこそが多くの投資家たちに人気のある方法です。世界的な大企業に投資するということは、あなたの資金がプロの経営者の手に委ねられるということです。

・株式投資を始めるベストの場所

株式投資で大儲けできる銘柄は存在しますが、初心者がそういう状況に遭遇することはめったにありません。経験を重ね、時を経るにつれて、投資結果は向上していくものです。短期間で大きく稼げるのは、一部の経験豊富な人々です。彼らは、相当な時間を研究や勉強に費やし、強靭な精神も兼ね備えています。

長期投資であれば、多くの優良企業は魅力的な投資対象となります。もちろん、優良企業といえども、一時的に大きく株価が下がることは必ずあります。しかしながら、長期的に見れば、世界経済は成長を続けるでしょうから、株価は穏やかには上昇を続けます。

株式投資を始めるベストの場所は、上場投資信託(ETF)を中心とした投資信託だと私は考えています。投資信託は、あなたがヘマをやらかす危険性を回避することができますし、独り立ちするまでの学習の場にもなります。学びながら、お金儲けができるということです。

・成功するために特別なものを買う必要ない

初心者というのは決まって、ハイハイや歩くことができるようになる前に、走り出したがる傾向があります。初めて投資するなら、インデックス型のETFや優良企業の株が望ましいと伝えても、どこか不服そうな顔をよく見かけます。

どういうわけか、株式投資の初心者は、最も優秀な機関投資家を満足させる最良の企業と言われる株に、あまり興味を示しません。その主な理由は、初心者がありふれたものを軽視しがちだからです。投資で成功するためには、何か新しいもの、特別なものを買わなければならないという誤った考えを持っているのです。

実際には、優良株だけを買う以外に、初心者が成功する見込みはありません。優良企業の中にこそ、十分な投資利益や明るい見通しはあります。

重要なポイントは、企業の規模や過去の実績があるということは、多くの初心者が懸念するように、今後はこれまでの成功や成長は続かないということではありません。弱い、あるいは悪い企業が良くなるよりも、強い企業が強いままでいるほうがはるかに容易です。

・どうしてもロマンを追いかけたいなら

それにもかかわらず、次のような投資家がいます。                

ETFで最初の経験を積み、そこを卒業してから自分自身で様々な投資先の企業を調べるようになり、誰もが知っている優良企業をいくつか選んで利益を出せるようになったとします。すると、「特別な銘柄」を買いたいと思うようになるのです。

彼らは、成長スピードが早い小型株など、いわゆる「ロマン(夢)のある銘柄」にこそ特別なチャンスがあると思ってしまいます。あまり知られていない銘柄こそ多くの利益を提供してくれる、という強い思い込みを持ってしまうわけです。

この手の発想で失敗した人は、文字通りゴマンといます。こうした株は、原野商法を行う悪徳不動産業者が、「将来は近くに駅ができて栄える」と偽って売りつける空き地のようなものです。投資経験を積んだ人ならば、極めてまれな特殊な状況において儲けられることもあるかもしれません。しかし、初心者の行く末は明らかです。

どうしてもロマンを追い求めて、人にあまり知られていない小さな企業に投資したいのでれば、優れた運用成績を残している投資信託を探して、そこが保有している銘柄の中から、なじみのない会社を調べてみるのはどうでしょうか。

聞いたことがない企業の購入を誰かに勧められた時も、その会社がどこかの投資信託で保有されていないかどうか調べてみるのも有効な利用法かもしれません。どこも買っていなければ、投資しないほうが無難でしょう。

そして、たとえそのお目当ての株を保有している投資信託が見つかったとしても、成功する何の保証にならないことは肝に銘じておくべきです。

[執筆者]朋川雅紀
朋川雅紀
[ともかわ・まさき]大手信託銀行やグローバル展開するアメリカ系資産運用会社等で、30年以上にわたり資産運用業務に従事。株式ファンドマネージャーとして、年金基金や投資信託の運用にあたる。その経験を生かし、株価サイクル分析と業種・銘柄分析を融合させた独自の投資スタイルを確立。現在は投資信託のファンドマネージャーを務めるかたわら、個人投資家の教育・育成にも精力的に取り組んでいる。ニューヨーク駐在経験があり、特にアメリカ株式投資に強み。慶応義塾大学経済学部卒業。海外MBAのほか、国際的な投資プロフェッショナル資格であるCFA協会認定証券アナリストを取得。著書に『みんなが勝てる株式投資』(パンローリング)がある。
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