日産、スルガ銀、武田薬品… 2018年に投資家を最も慌てさせた銘柄
2018年の株式市場もまもなく終わり。そこで、かぶまど執筆陣に「今年いちばん印象に残った銘柄」を挙げてもらいました。世間をにぎわせたわりに期待外れに終わった大型IPOもありましたが(こちらの記事をご参照)、同時に、企業による不祥事が相次いで発覚した一年でもありました。
不祥事をやらかした3銘柄
・日産自動車<7201>
11月19日、カルロス・ゴーン会長(当時)が逮捕されるという衝撃的なニュースが駆け巡った。東京地検特捜部によると、自らの報酬を過少に申告した疑いがあるとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の容器がかけられた。また、共謀の疑いでグレッグ・ケリー代表取締役(当時)も同時に逮捕された。
ちなみに同社は、2017年9月に完成車を無資格者が検査していた問題が発覚、2018年7月には燃費・排ガスの検査データ改竄が明らかになり、さらに同年12月にも出荷前の完成車検査において新たな不正が見つかっている。
これだけの不祥事にもかかわらず暴落しなかったのは、もともと同社のESG評価が最低で、ESG投資家たちが同社株を保有していなかったために叩き売りに合わなかった、とも見られているようです。ESG投資も2018年の大きなトピックでしたね。(岡田)
・KYB<7242>
油圧機器の大手メーカーであり、自動車の衝撃緩衝器では世界2位のシェアを誇る同社は、10月16日午後、免震・制振装置で性能検査記録データの改竄があったことを発表。信頼性の低下だけでなく巨額損失への懸念から株価は急落。同日は11%安、翌日はストップ安まで売り込まれた。2月1日につけた年初来高値7,280円から12月25日の終値2,459円まで、約3分の1にまで下落している。
不祥事にかこつけて売り注文を出してみたのですが、KYBは得したもののその後戻してビンタを喰らい、日産はさほど下がらず。トータルで見れば、あれこれ相場を見ていたわりに4,000円ほど儲けただけという、近所のスーパーでレジ打ちでもしていたほうがよほど稼げた気がします……。(網代)
・スルガ銀行<8358>
1月、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開していたスマートデイズが、不動産オーナーに賃料を払えないと通告したことに端を発して、スルガ銀行の不正融資が明らかに。背景には、実態を無視した業績目標の設定やパワハラ行為、法令遵守意識の欠如といった問題があったことも指摘され、株価は1月10日の年初来高値2,569円から約7分の1の374円(12月25日)まで下落。時価総額も1,000億円を割り込んだ。
地方銀行の雄として輝き続けてきた同行が、復活することなく下げ続けた年となりました。きっかけはスマートデイズの破綻ですが、そこからずさんな融資が浮き彫りになり、投資家から投げ売りが続いていますね。このショックを受けて、不動産投資全体にも悪影響が。根が深い問題のため、2019年にも持ち越しそうな雰囲気も漂っています。(川島)
不安材料がつきまとう3銘柄
・武田薬品工業<4502>
5月、アイルランドの製薬大手シャイアーを買収することで合意。買収額は約6.8兆円で、日本企業による海外企業の買収としては過去最高額に。世界8位、日本初のメガファーマが誕生する。
売上高2兆円足らず(2018年3月期)の同社が7兆円もの巨額買収に踏み切ったことについて「身の丈を超えた買収なのでは?」という心配の声もありますが、この買収を評価する機関投資家もあるようです。市場は「目先の出費額の大きさ」「長期的に見た財務的パフォーマンス」のどちらで投資判断をするのか、という点で注目しています。(小田)
・安川電機<6506>
米中貿易戦争の影響を受ける中核銘柄。1月18日の年初来高値6,120円から10月30日の2,831円と、昨年は絶好調だった同社が本年は下落の一途に。
株価は悪いが業績は好調。貿易摩擦の落とし所が見えれば買い戻される……と注目していましたが、10月には下方修正が出て業績不振を確認する結果になってしまいました。残念。(岡田)
・ヤフー<4689>
これほど財務ピカピカの優良企業なのに、なぜ下げ続けているのか不思議でなりません。年始に550円近くあった株価は、12月25日にはついに250円に。もちろん不安要素もありますが、個人的には、資金さえあれば買い占めたいくらいです。(小田)