証券アナリストってどんな人? 立場の違いを知ればコメントの裏側がわかる

投資判断を下す際に「証券アナリスト」と呼ばれる人たちのコメントやレポートを参考する人も多いでしょう。実は「証券アナリスト」には立場や役割によって様々な違いあり、それによって発言内容が変わってくることもあります。

マーケット関係者の正体を知る

株式市場には、個人投資家の他にも、様々な立場の人が関わっていますが、一般に「マーケット関係者」と呼ばれるのは、一体どのような人たちなのでしょうか。また、「市場参加者」とはどう違うのかについても解説します。

「証券アナリスト」とは?

新聞やテレビなどでコメントしている「マーケット関係者」のうち、最も有名なのは「証券アナリスト」でしょう。資格がなくてもできますが、日本証券アナリスト協会の資格CMA(証券アナリスト)を保有しているのが一般的です。

証券アナリストは、証券投資の分野において、高度な専門知識と分析技術を応用し、情報分析や株価などの投資価値の評価を行い、投資助言や資産運用を行うプロフェッショナル、とされています。

セルサイド vs. バイサイド

証券アナリストは、立場によって「セルサイド」と「バイサイド」に分けられます。

セルサイドとは、主に証券会社やシンクタンクなど、売買はせず、投資助言を行って市場に影響を及ぼす人たちです。一般にテレビや新聞での解説を行っているのは、このセルサイドに所属するアナリスト、「セルサイド・アナリスト」です。

一方、バイサイドとは、投資信託会社や信託銀行、保険会社など、実際に運用を行う機関を指します。このバイサイドのことを一般に「機関投資家」と呼び、所属するアナリストが「バイサイド・アナリスト」となります。

近年、証券アナリストは、営業やIT部門、財務部門など活躍の場を広げています。日本証券アナリスト協会のホームページによると、所属の内訳は以下のようになっています。

6つに分かれる証券アナリスト

証券アナリストは、具体的にどのような役割を担うかによって、6つに分類することができます。

・リサーチアナリスト(セルサイド/バイサイド)

最も一般的なのが、個別企業の調査・分析を行う「リサーチアナリスト」です。企業の決算や財状況析を分析して、投資家に判断材料を提供します。

自動車、電機、通信といった業種ごとに担当するのが通常で、決算説明会や個別企業への訪問など、独自の分析を加えながら、今後の収益予想と投資判断をまとめます。

アナリストの投資判断として各銘柄について「強気」や「弱気」を公表しているのは、証券会社に所属する(つまり、セルサイドの)リサーチアナリストです。一方、バイサイドのリサーチアナリストは、所属機関で実際に運用を行う「ファンドマネージャー」に対して情報の提供を行います。

・エコノミスト(セルサイド/バイサイド)

エコノミストは、経済の動向を調査・分析・予測することが主な仕事です。リサーチアナリストが個別企業の分析というミクロの視点から分析するのに対し、エコノミストは日本経済や世界経済などマクロ的な視点から分析を行います。特定の資格はないものの、証券アナリスト資格の他に、大学の経済学部を卒業し、大学院で経済学を専攻している専門家が多いです。

・ストラテジスト(セルサイド/バイサイド)

投資戦略を立案し、投資家に相場観やポートフォリオ(資産配分)の提案をするなど、投資戦略を立てるのがストラテジストです。証券会社などのセルサイドだけでなく、投資信託会社、投資顧問会社といったバイサイドでも、ストラテジストを配置しています。株式・債券・為替など取り扱う商品を戦略別に分けている場合がほとんどです。

・ファンドマネージャー(バイサイド)

金融資産を運用する専門家で、投資家から預かった資金を、エコノミストやリサーチアナリストの分析をもとに運用計画を立て、実行します。投資信託運用会社や信託銀行、保険会社などバイサイドに所属しています。

・クオンツアナリスト(セルサイド/バイサイド)

近年、活躍の場を広げているのがクオンツアナリストです。高度な数学を駆使する金融工学のスペシャリストで、統計的・計量的手法で、投資対象となる株式などの各種金融商品を分析します。AI(人工知能)の発達とともに、これからもクオンツ的な手法や考え方は広がっていくと考えられます。

・マーケットアナリスト(セルサイド)

マーケット情報をテレビや新聞などで直接発信するアナリストです。リサーチアナリストやエコノミストの分析をもとに、投資家にわかりやすく解説するのが仕事です。セルサイドの主に証券会社に所属し、マーケットの見通しや個別銘柄の動向を解説します。

売買しているプレーヤーは?

このように、証券アナリストの仕事は、株や債券などの金融商品の分析や投資戦略を決めることです。では、実際に市場で売買しているのは誰かと言えば、それは「トレーダー」や「ディーラー」と呼ばれる人たちです。

証券トレーダー

トレーダーとは、機関投資家のファンドマネージャーからの注文を取り次いだり、約定させたりする人たちです。具体的には、証券会社や銀行などの金融機関で、株価や債券の動向を把握し、売り時・買い時の情報を提供したり、顧客から注文を受けて直接売買を行ったりします。

証券ディーラー

証券会社や運用会社が自己の資金で取引を行うことを「ディーリング」や「プロップ(自己)トレーディング」といいます。そのような自己売買部門に関わっている人々をディーラーと呼びます。通常は短期取引がメインで、「日計り」と呼ばれる1日で決済する取引がほとんどです。

関係者を知ればマーケットがわかる

一般に「証券アナリスト」と呼ばれる人たちも、セルサイドとバイサイドでは立場は全く異なります。さらに、「リサーチアナリスト」「エコノミスト」「クオンツアナリスト」など複数の分野に分かれています。

テレビや雑誌などで紹介されるコメントを参考にする際には、その人物がどのような立場でマーケットに携わっているのかを把握しておきたいものです。立場の違いによる発言内容の相違を読み解いていくと、マーケットの深読みにも大いに役立つでしょう。

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2019/04/03
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[筆者]山下 耕太郎
山下 耕太郎
[やました・こうたろう]一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴20年以上。現在は、日経225先物・オプションを中心に、現物株・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。趣味は、ウィンドサーフィン。ツイッター@yanta2011 先物オプション奮闘日誌
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