意外とわかっていない!? 「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の違い

岡田禎子 2016/08/29 8:00

キャピタルゲイン vs. インカムゲイン

株式投資で得られる儲け(利益)には2つの種類があります。それが「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」です。どちらの利益を狙うかによって、投資方法がまったく違ってきますので、それぞれの特徴と留意点を理解した上で、自分の目的に合った株式を選ぶ必要があります。

わかっているようで実はわかっていない人も多い、「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」について、その違いとメリット・デメリットを見ていきましょう。

大きな利益も狙える「キャピタルゲイン」

まずはキャピタルゲインから解説しましょう。「キャピタルゲイン(capital gain)」とは「株式の売買によって得られる利益」のことで、「株で儲けた」と聞けば多くの人がこれをイメージするでしょう。購入したときよりも売却するときのほうが株価が高ければ、その差額が利益になります。これがキャピタルゲインです。

たとえば、スマートフォンのゲームアプリ「ポケモンGO」が米国で爆発的な人気になっていると聞いたSさんは、「よし! 任天堂<7974>の株を買おう!」とひらめきます。そして、20,000円の株価で100株、合計200万円で購入しました。その後、狙いどおりに株価は急上昇、Sさんは25,000円ですべての株を売りに出し(25,000円×100株=250万円)、250万円−200万円=50万円の利益を手にしました。

このように、株価が安い時点で購入し、値上がりした時点で売却すれば、利益を確定することができます。Sさんが手にした50万円の儲け(利益)がキャピタルゲインです。株価の値上がりによって大きな値幅で利益を狙うことができる点が、最大の特徴と言えます。当然、株価が値下がりすれば、購入時よりも安く売却しなければならず、その場合に出た損失のことを「キャピタルロス(capital loss)」と言います。

「キャピタル(capital)」とは「資本、資産」という意味ですので、その価値の上下によって生じる利益(あるいは損失)ということになります。したがって、株式の信用取引を活用して空売りで利益を得た場合もキャピタルゲインに該当します。

持っているだけで利益になる「インカムゲイン」

一方の「インカムゲイン」は、「株式を保有することで得られる、配当や優待による利益」のことです。株式を保有するだけで発生する収入(=インカム〔income〕)ということになりますので、まさに不労所得だと言えます。

インカムゲインのひとつである「配当」とは、企業が稼いだ利益の中から、株主に対して支払う(還元する)お金のことです。配当をするかしないか、どのくらいの配当にするかなどは、企業の経営方針で決まります。たとえ利益があっても、そのお金を設備投資などに回して配当はしない企業もあれば、利益がなくても配当金を支払う企業もあります。

【参考記事】ソフトバンク孫社長は年間94億円! 配当金で儲ける投資方法

海外では、インカムゲインというと配当を指しますが、日本では「株主優待」もインカムゲインに含まれます。企業が配当とは別に、自社製品やサービスなどを株主に提供するもので、株式を保有することに対する感謝の気持ちを表す、いわば「企業からのプレゼント」です。配当と同じく、経営方針によって決められますので、配当はないけれど株主優待を手厚くする企業などもあります。

さて、「キャピタルゲイン」「インカムゲイン」それぞれの特徴を確認できたところで、実際に株式投資する上での留意点を見ていきましょう。

「キャピタルゲイン」は不確定な利益と心得る

キャピタルゲイン狙いの投資家は、当然のことながら、配当の有無や株主優待よりも、株価の値上がりを重視します。「ポケモンGO」の大ヒットによる任天堂株の値上がり益を狙おうというときに、配当金や株主優待を気にした投資家がいたでしょうか。キャピタルゲインを狙う投資家にとっては、配当や株主優待などは、言ってみれば「おまけ程度」なのかもしれません。

たしかに、キャピタルゲイン狙いの投資は、インカムゲイン狙いの投資に比べて大きな収益が見込めます。株価が10倍になる「テンバーガー」株などは、投資家なら誰もが憧れますよね。しかし、株価が本当に値上がりするかどうかは誰にもわかりません。

万が一、保有している株が大きく値下がりした場合は、そのまま持ち続けてインカムゲイン(配当)をもらいながら、株価の回復を待つことになります。でも結局、何年たっても株価は戻らず、配当だけでは損失を埋めることもできず、大抵は上手くいきません。あきらめて売却した場合には、当然キャピタルロスが発生してしまいます。

このように、キャピタルゲイン狙いの投資は、安定的な収入を見込めるインカムゲイン狙いの投資に比べて、不確定な投資方法なのです。

「インカムゲイン」を狙うなら将来性を考える

一方、インカムゲイン狙いの投資家は、配当や株主優待を重視します。キャピタルゲイン狙いの投資より収益性は低くなりますが、保有し続けることで、継続的に配当収入や株主優待を得ることができますし、長期で保有し続ければ大きな利益にもなります。インカムゲインを狙うデイトレーダーなどいないように、長期投資に向いている投資方法です。

ただし、この「保有すればもらえる」部分だけを偏重してしまうと、思わぬ落とし穴があります。たとえば、配当を狙った投資で重要なポイントとなるのが、「配当利回り」です。株式を保有したら年間でいくら儲かるのかを具体的な数値で表したものです。

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超低金利の影響で、最近では、銀行預金と比べて遥かに高い利回りとなる高配当銘柄に注目が集まっています。しかし、この配当利回りだけを見て投資をしてしまうと、思わぬ損をしてしまうことがあります。

というのも、上の算出式からわかるとおり、株価が安ければ配当利回りが高くなるからです。株価が安いということは、業績が急激に悪化しているか、あるいは不祥事などで株価が下がっている可能性もあります。業績悪化から減配(配当金が減ること)や無配(配当がなくなること)になり、さらに株価が大きく値崩れすることも考えられます。配当がもらえないばかりか、損失が大きすぎて売るに売れない……なんて本当に困りますよね。

株主優待狙いの投資も同じです。「この優待が欲しい」という理由で銘柄を選ぶ方も多く、それも株式投資のひとつの楽しみ方ではありますが、業績の芳しくない企業の株を掴んでしまい、思わぬ大損をする可能性があることは肝に銘じておかなくてはなりません。

つまり、インカムゲイン狙いの投資をする際には、インカムゲイン以外の要素にも目を向ける必要があるのです。特に株式投資の場合は、その企業の持つ経営方針、業績、成長性など「将来性」が大切だと言われます。

思わぬ損をしないためには、配当や株主優待だけに気をとられず、その企業が持っている個別の「将来性(市場や差別化ポイント含む)」にも目を向けてみましょう。

配当狙いであれば、「配当利回りが高いから」だけでなく、「この会社は配当利回りも高くて、過去5年間で業績も伸びているし、連続増配で、株主還元にも積極的。さらに社会のテーマである市場(マーケット)において中心的な存在になりそう」というふうに、具体的に将来性やストーリーをイメージすることが大切です。

株主優待狙いの場合も同様に「優待がお得」にプラスして、「個人投資家の保有比率も高いし、株価も安定的に推移している。かつ、利益率も業界平均よりも高く、収益の柱の分散もできている」など、一歩踏み込んで見てみましょう(ファンダメンタルズ分析の要素が長期投資にはよく用いられます)。

当然ですが、配当であれば「配当利回り」や「配当性向」、「DOE(純資産配当率)」を、優待であれば「優待利回り」などを、各指標でチェックすることが「インカムゲイン狙いの投資家」にとっては大前提であることをお忘れなく。

株も柔軟性が大事

「キャピタルゲインを狙う投資」と「インカムゲインを狙う投資」は、タイプのまったく異なる投資方法です。両者の特徴と留意点を考慮しながら、ご自身の投資スタイルに合わせて、柔軟に利益を狙いましょう。

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2016/08/29
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[執筆者]岡田禎子
岡田禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)【株窓アワード2019大賞】 →この執筆者の記事一覧へ

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