円安だって怖くない? 中小型株で大きく稼ぐための3つのポイントとは
《世界情勢や為替動向に大きく揺れる株式市場。でも、そうした影響をあまり受けることなく、着実に、時には一気に、株価を伸ばす銘柄たちがあります。そんな中小型株投資の魅力とは》
中小型株投資でデッカく勝とう!
「どうせ始めるならデッカく勝ちたい!」。そう思って株式投資の世界に足を踏み入れる方は多いでしょう。だからと言って「デッカい株」を狙っていませんか? ファーストリテイリングとか、トヨタ自動車とか、任天堂とか。残念ながら、それでは「デッカく勝つ」ことは、ほとんど無理です。
株で資産を大きく増やしたいなら、狙うべきは「中小型株」。
まだ小さいうちに投資し、中長期的に保有することで、デッカく化けることを狙います。そのためには、その特徴を活かして投資することが重要。特に大きく勝ちたいなら、プライム市場よりもグロース市場の中小型株に注目です。
新しいテーマ・成長市場の中から割安に放置されている銘柄を見つけ出すとともに、機関投資家の動きも逆手にとる──中小型株投資には、個人投資家にしか味わえない醍醐味がつまっています。
そもそも中小型株とは?
中小型株とは時価総額3000億円未満の株のことを言います。
一般的に株式は時価総額をベースとして分類されます。時価総額1000億円未満であれば「小型株」、時価総額が1000億円以上3000億円未満なら「中型株」、時価総額3000億円以上で「大型株」と呼ばれます。そして、小型株と中型株をあわせて「中小型株」と呼びます。
中小型株が日本の株式市場に占める割合はおよそ9割です。誰もが知るトヨタ自動車やソニーグループなど大型株は1割程度に過ぎません。つまり、日本株の大半は中小型株なのです。
ただし、プライム市場(旧・東証1部)にも中小型株はありますが、ここには時価総額の大きい銘柄(大型株)やグローバル企業が顔を揃えているため、莫大な資金力をもつ国内外の機関投資家たちの主戦場となっています。
それよりも、個人投資家が戦いやすい新興市場のグロース市場(旧・東証マザーズ)が狙い目。この中小型株にこそ、株価が何倍にもなる「お宝株」が眠っている、というわけです。
中小型株の特徴とその魅力
中小型株には大型株と比べて異なる特徴があります。
- 海外の景気・為替動向に影響されにくい
- 流動性が低く、値動きが軽い銘柄が多い
- 割安に放置されている銘柄がゴロゴロしている
- 機関投資家が手を出しにくく、競争相手が少ない
グローバル企業の多い大型株に比べて、中小型株は小売やサービス、建設などの内需関連企業が多く、海外投資家の保有比率も低いために、世界景気や為替動向などの影響を受けにくくなっています。
また大型株と異なり、流動性が低く値動きが軽いものが多いために、何か材料があるとポンッ!と株価が跳ね上がることがよくあります。証券会社のアナリストがカバーしていない銘柄も多いために情報が少なく、割安に放置されている銘柄がゴロゴロしています。
時価総額から見ても、大型株がさらに倍以上になるのは難度が高いですが、中小型株には2倍、3倍、なかには10倍になる銘柄も少なくありません。
そして何と言っても、中小型株の売買の主役は個人投資家です。マーケットの世界で圧倒的な力を持つ機関投資家は、大型株中心で取引を行っています。中小型株は流動性が少なく時価総額も小さく、情報も少ないために、機関投資家は手を出しにくいのです。
加えて中小型株は、単一の事業だけを行っている企業が多く、自分でリサーチする際にも大型株に比べて情報量が少なくてすみます。例えば決算説明会資料などを見ても、大型株の場合と比べて「こんなにも単純でわかりやすいなんて!」と感激すらします。
競争相手も少なく経験と知恵を大いに活かせる。言い換えれば「自分の腕次第」であるという点も、中小型株の大きな魅力と言えるでしょう。
中小型株はなぜ株価が10倍になるのか?
中小型株の魅力のひとつとして「株価が何倍(時には10倍)にもなる」ことが挙げられますが、なぜ、中小型株では株価が何倍にもなる可能性があるのでしょうか?
それは、成長余地の大きい中小型株は機敏性に欠ける大型株に比べて利益を大きく伸ばす可能性があるからです。大型株では企業の利益が2倍になるのは難しいですが、中小型株であれば、ちょっとしたきっかけで利益が2倍3倍になることはよくあります。
そうした利益の伸びが株価の伸びにも直結していることから、中小型株では短期間で株価が2倍3倍となることも多いのです。さらに値動きの軽い小型株では、まだ大した利益が出ていなくても「これから利益が伸びるだろう」という投資家の期待感が先行する形で株価が大きく膨れ上がることも。
実際、投資家なら一度はつかみたいと憧れる、夢の「テンバガー(=株価が10倍になる株)」の多くは時価総額50億円未満の小型株からスタートしています。
中小型株投資の3つのポイント
中小型株投資では、その特徴を活かした投資を行うことがコツです。その押さえるべきポイントを3つご紹介します。
ポイント❶ 新しいテーマ・成長市場を探す!
過去に大化けした銘柄には特定の業種に偏る傾向があり、「情報通信」「サービス」が最も多くなっています。続いて「小売」「電気機器」などです。
またテクノロジーの進化によって、「AI」「IoT」「5G」「DX」や「再生可能エネルギー」「EV」「ヘルスケア」など、さまざまな分野で中小型株ならではの新しいサービス、新しい市場が次々に生まれています。
例えば、コロナ相場の追い風を受けて個人・小規模企業向けECプラットフォームが拡大してテンバガーとなったBASE<4477>などは良い例でしょう。
時流に乗ったテーマに目を向け、その中でもより独自の付加価値を提供できる可能性のある企業に絞って投資することで勝てる確率が上がります。
特に新興市場にはユニークな企業がたくさんあります。これまで新興市場には東証マザーズとジャスダックがありましたが、4月の市場再編によって曖昧だった市場区分が明確化し、新たに誕生した「グロース市場」こそが「高い成長可能性を有する企業向けの市場」となりました。
ぜひグロース市場に目を向けて、新しいテーマ・成長市場から勝てる銘柄を見つけましょう。
ポイント❷ 割安に放置された銘柄に注目!
流動性も高く情報も豊富な大型株は適正に近い株価形成がなされます。しかし、中小型株は流動性も低く情報も少ないために、その株価が割安に放置されている場合も多くあります。その特徴を活かしたアプローチが必要になります。
株価が急成長する銘柄では、売上高と利益の飛躍的な成長が伴います。具体的には、「株価が大きく伸びる前に利益の伸びが加速する」という特徴が多くの銘柄で見られます。つまり、利益は伸びているのにまだ株価が動いていない銘柄を狙うのです。
中小型株の成長性はトップライン(売上)に表れます。なぜなら、株価が大きく上昇する要因は、好調な売上に裏打ちされた強い利益の成長だからです。
そこで、直近2〜3四半期前から四半期ベースで業績を見ていき、売上が2ケタ以上の高成長で加速し、かつ、その増収効果で利益も伸びている企業に注目しましょう。
・ケアネット<2150>
医療ウエブサイトを運営するケアネット<2150>の場合、2020年5月の第1四半期決算で前年同期比53%という営業増益となり、上期計画すら超過するというサプライズ決算を発表しました。これにより株価は大きく飛躍します。
その後も強いトップラインと利益の高成長により、2020年5月に200円台だった株価は2021年6月には2,415円まで上昇し、見事テンバガーを達成しました(株価は分割調整後の数字)。
ケアネットの四半期ベースの決算内容を確認してみると、売上が2019年の第3四半期から対前年比20%以上の伸びとなっており、それに伴って利益も第3四半期が前年同期比2.1倍、第4四半期が35%増となるなど、大きく伸びているのがわかります。
このように業績の大きな飛躍がみられる企業は、予想を超える好決算などポジティブサプライズによって認知度が高まり、株価が一段と上昇するのです。
ポイント❸ 機関投資家の動きを知る
中小型株投資では、機関投資家が手を出しにくい、という特徴を逆手にとることができます。
機関投資家は、時価総額が100億円以下の銘柄には手を出しませんが、100億円を超えてくると中小型株ファンドなどの機関投資家も参入してきます。買う人が増えるということは株価も上昇するということ。そこで、これから時価総額100億円を超えそうな勢いのある銘柄を、先回りして買っておくのです。
次の機関投資家の壁は300億円。ここで一気に参加者が増えます。より長期目線なら、次の壁を意識しながら保有するのもいいでしょう。上で紹介したケアネットも、時価総額100億、300億の節目で出来高が大きく増えてジャンプアップしました。
なお、上方修正や好決算が出た際にも、機関投資家は、流動性にインパクトを与えてしまうことを避けるために、一度には買わず数回に分けて購入します。つまり、ポジティブサプライズが出た後で買ったとしても遅くない、というわけです。
このように機関投資家の動きを知ることで、さらに投資チャンスが生まれます。
中小型株投資で注意すべきこと
魅力満点の中小型株投資ですが、注意したいのは流動性の低さです。日常的な取引量が少ないために、何か問題が起きた際には株価の下落幅が大きくなりがちです。また、売りたいときに売れない、買いたいときに買えない、というリスクもあります。
こうしたリスクを回避するために、「これは!」と思う銘柄が見つかったら割安のうちに拾って、なおかつ複数銘柄に分けて分散投資しておくことが大切です。そうすれば、投資した銘柄のうちひとつでも大きく化ければ、その他すべてが損になったとしても、全体では投資に成功したことになります。