いま注目の「CRB指数」とは? インフレの指標が日本株に影響する理由

山下耕太郎
最終更新日:2021-08-12 公開日:2021-06-15

《コロナショック後の金融緩和が続くアメリカでは、急速な経済回復とともにインフレへの懸念が生じています。こうした状況で注目されるのが、コモディティの値動きを数値化した「CRB指数」。インフレの先行指標とも言われる「CRB指数」の活用法と、日本株との関連性とは》

コロナ後に注目される「CRB指数」

コロナショックによる株価急落の後、複数の指数のレートは急速に回復し、アメリカの株価指数などはコロナショック前の水準を上抜けしました。そんななかで「CRB指数」も同様に上昇しています。

CRB指数とは、1957年にアメリカのCRB社(Commodity Research Bureau)により開発された指数で、正式名称を「リフィニティブ/コアコモディティCRB指数」といいます。

CRB指数は、原油や金など複数の商品=コモディティ(Commodity)の値動きを指数化したもので、世界の物価や景気動向の指標として使われています。

なお、CRB社は2005年9月にロイター社に買収され、2018年10月以降はロイター社から分離したリフィニティブ社がCRB指数を提供しています。

CRB指数の構成は当初28品目でしたが、現在は次の4グループ19品目から構成されています。

ご覧の通り、原油の比率が23%と突出しています。原油価格の物価に対する影響度を加味した上での構成比率ですが、これによりCRB指数は原油価格の影響を大きく受けるのです。

インフレ動向の先行き予測に役立つ

CRB指数はエネルギーを中心に幅広い商品で構成されていますが、なかでも製品原料として使用される商品を多く含むのが特徴です。製品原料価格の上昇は最終的に製品価格の上昇に直結するため、CRB指数は「インフレの先行指標」として注目されています。

アメリカはコロナ禍で多大な感染被害を出し、経済も大きく落ち込みました。しかし大型の経済対策と急ピッチのワクチン接種によりコロナ感染被害の抑制がなされた結果、急速な景気回復を見せています。そして大幅な金融緩和の継続を背景に、インフレ懸念が生じています。

2021年5月時点のCRB指数はコロナショック前の水準に戻り、トランプ政権の期間(2016~2020年)の最高値水準と同等である200ポイントを超えました。さらに上昇すればトランプ政権時代の水準を超えるため、インフレへの懸念がより増してくることが考えられます。

CRB指数に投資することも可能

CRB指数は物価や景気動向の指標として活用するだけでなく、指数自体の取引も可能です。

ニューヨーク商品取引所(ICE Futures U.S.、旧:NYBOT)で先物およびオプションが取引されているほか、CRB指数に連動するETFが香港証券取引所などに上場されています。また、日本国内でもCRB指数に連動した投資信託が組成されています。

CRB指数に連動する日本株とは

CRB指数は海外の指数ですが、CRB指数に連動する傾向のある銘柄が国内にも複数存在します。代表的な銘柄を紹介しましょう。

・ENEOSホールディングス<5020>

国内石油元売り最大手のENEOSホールディングス<5020>。CRB指数は原油の構成比率が23%を占めているため、ENEOSホールディングスの株価はCRB指数に連動する傾向があります。

・DOWAホールディングス<5714>

鉱山会社を源流とする金属銘柄のDOWAホールディングス<5714>は、コロナショック後のCRB指数の上昇をなぞるような動きを見せています。しかし、2021年5月のCRB指数は高値圏を維持する一方、DOWAホールディングスの株価は下落しており、今後の展開が注目されます。

・丸紅<8002>

総合商社の丸紅<8002>の株価はCRB指数と高い相関関係にあります。

もともと国内総合商社の業績は、エネルギー価格に左右される傾向があります。これに加えて、丸紅は商社の中でも飼料などを扱う食料部門が強いため、農産物の価格も業績に影響するのです。この点が、CRB指数との連動に表れていると考えられます。

エネルギー関連を狙うならCRB指数に注目

CRB指数は日本ではそれほど有名ではありません。しかし、CRB指数自体が先物などで取引可能であり、海外ではよく知られている指数です。

CRB指数は、値動きが相関する銘柄を取引する際の羅針盤的な存在として見ることができます。特にCRB指数自体は原油価格の構成比率が高いため、原油関連銘柄の動向を探る際に有効に機能します。また、原油関連以外にも総合商社の丸紅のように、非常に相関する値動きとなる銘柄もあります。

日本株投資を行う際にも、CRB指数との連動性を確認することで、投資パフォーマンスの向上を期待できます。また、コロナ禍からの経済回復の過程でアメリカでのインフレ懸念が増しており、インフレ先行指標として今後メディアなどでCRB指数に対する言及が増える可能性もあるでしょう。

一足先にCRB指数の動きをチェックしてみてはいかがでしょうか。

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[執筆者]山下耕太郎
[やました・こうたろう]一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴20年以上。現在は、日経225先物・オプションを中心に、現物株・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。趣味は、ウィンドサーフィン。ツイッター@yanta2011 先物オプション奮闘日誌 かぶまどアワード2020大賞
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