7月の株価はどうなる? 夏枯れ相場でも上がる株と、五輪&新紙幣への期待

岡田禎子
2024年7月1日 8時00分

《7月といえば七夕、8月は花火、9月はお月見……と、月によって誰もが思い浮かべる共通のイメージがあるように、実は、株式投資にも「◎月といえば▲▲▲株」といったお決まりの銘柄があります。では、7月に恒例の上昇しやすい銘柄とは?【今月の株価はどうなる?2024】》

7月に上昇しやすい銘柄は?

7月は「夏枯れ相場」の始まりで、材料に乏しく、投資家が積極的に手を出しにくい月です。

前半はETFの分配金捻出売りによる需給の悪化懸念、後半には3月期決算企業の第1四半期の決算発表がスタートすることなどがあって、積極的な売買に乗り出すのが難しく、その結果、相場が寂しくなる傾向にあるのです。

そんな7月相場で株価が上昇しやすいのは、どのような銘柄でしょうか? 過去10年で、7月の勝率が高かった銘柄を調べてみました。6勝4敗という成績だった日経平均株価よりも好成績を残した銘柄の顔ぶれをみると、道路、建設、小売、非鉄金属などが並んでいます。

7月特有のアノマリーで上がる株

7月に強い銘柄としてマーケットに広く知られているのが、コスモス薬品<3349>です。九州地盤でドラッグストアを展開しており、郊外型大型店舗で、食品や低価格戦略が強みの会社です。

過去10年では驚きの9勝1敗で、目下のところ8連勝中。前月比の騰落率は、2021年が+14.05%、2022年が+9.82%、2023年が+12.77%と、いずれも好成績となっています。

この株価上昇のポイントとしては、同社の本決算発表と7月特有のムードが挙げられます。

コスモス薬品は5月期決算企業のため、7月に決算発表があります。さらに、23期連続の増収を記録した2021年までは14期連続で最高益を更新するなど、着実な増収益による好決算を受けての株価上昇となっているようです。

また、7月後半からは3月期決算企業の第1四半期決算がスタートすることから、マーケットは投資家が積極的に手を出しにくいムードとなります。そこで、本決算を終えたばかりの5月期決算企業や第1四半期発表を終えたばかりの2月期決算企業に、物色の目が向かうのです。

なかでもコスモス薬品のように好決算を出した銘柄は、安心感から人気が出やすい、というわけです。ランキング入りしているE・Jホールディングス<2153>(5月期決算)やクリーク・アンド・リバー社<4763>(2月期決算)なども同様と考えられます。

なお、3月期決算企業の決算発表で注目したいのは、上方修正した銘柄です。第1四半期で早くも上方修正をするということは、その業績好調が年間を通じて続く可能性が高いです。こうした企業は中間決算で再び上方修正するケースも多く、強い株価上昇が期待できます。

パリ五輪で上がる株

7月26日〜8月11日の日程で「パリ2024オリンピック」が、さらに8月28日〜9月8日には「パラリンピック」が開催されます。パリでの五輪開催は1924年以来、実に100年ぶり。開催期間中は1500万人もの観光客がパリを訪れると予想されています。

オリンピック期間中に株価上昇が期待できる銘柄としては、次のようなものがあります。

  • オリンピックのスポンサー企業
  • メダル期待の選手が所属している企業やスポンサー企業
  • 選手の活躍によって連想される銘柄

今大会のスポンサー企業については、テレビ等でCMが繰り返し流され、他のさまざまなメディアでも露出が増えるために、その企業への関心が高まり、商品の需要増が期待できます。

スポンサー最上位のワールドワイドパートナーには、トヨタ自動車<7203>、ブリヂストン<5108>、パナソニックホールディングス<6752>が名を連ねています。

また、こうした国際大会の期間中は、メダル獲得など選手の活躍があれば、その直後から関連企業の株価が急騰する、いわゆる「ご祝儀相場」がよく見られます。選手への憧れからウェアや道具などのグッズが売れたり、スポーツクラブなど関連銘柄の人気が高まったりすることが期待できるからです。

メダルの期待がかかる選手の側から注目銘柄を見てみると、柔道の阿部一二三&阿部詩選手の兄妹が所属するパーク24<4666>、体操では橋本大輝選手所属のセントラルスポーツ<4801>、陸上やり投げの北口榛花選手は日本航空<9201>所属のアスリート社員です。

パリ大会の新競技「ブレイキン」の半井重幸(シゲキックス)選手とパートナー契約を結んだ味の素<2802>や、大坂なおみ選手や錦織圭選手が出場するテニスでは、ヨネックス<7906>やファーストリテイリング<9983>なども注目されそうです。

関連グッズでは、スポーツシューズ大手のアシックス<7936>が筆頭でしょうか。「アシックス」ブランドのほか、海外で高い人気の「オニツカタイガー」ブランドの製造・販売をしています。他には、ABCマート<2670>やミズノ<8022>、スポーツウエアでは海外ブランドに強いデサント<8114>など。

さらには、大会を観戦できるスポーツバーに人が集まることから、英国風パブを展開するハブ<3030>も、オリンピック銘柄としてお馴染みです。

この夏、オリンピックでも、マーケットでも、心に残るようなドラマを期待したいものです。

諭吉から栄一へ。新紙幣発行で上がる株

7月3日、20年ぶりに新紙幣が発行されます。一万円札の顔は「福沢諭吉」から「渋沢栄一」に、五千円札は「樋口一葉」から「津田梅子」、千円札は「野口英世」から「北里柴三郎」に、それぞれ変更になります。

新紙幣の発行は、発行に伴う直接的なコストほか、ATMやCD(現金自動支払機)、自動販売機、自動券売機などの改修や買い替えコストなど、ソフト面・ハード面で特需が期待できます。その規模は1兆円以上と言われ、関連企業の好業績に伴う株価上昇が期待されています。

その一方で、小規模の小売や外食では、券売機などの改修費用に20万〜100万円かかる、一時的な特需で納期が間に合わないなどの理由から、更新を行わずにQRコードを導入するなど、キャッシュレス決済が進むとの見方もあります。

さらに、この機会に〝タンス預金〟されていた現金が預けられることで、銀行などにも恩恵がある可能性があります。

関連銘柄としては、貨幣処理・決済機器のグローリー<6457>や日本金銭機械<6418>、駅の自動券売機などの製造・販売を行う高見沢サイバネティックス<6424>、POSレジ首位の東芝テック<6588>、決済代行業のGMOファイナンシャルゲート<4051>などが挙げられます。

1984年から40年にわたり使い続けた「諭吉」にサヨナラするのは少し寂しいですが、われわれ投資家のお金を増やすゲームは「栄一」に顔を変えて、これからも続いていきます。

7月の日本株はどう動く?

個別株に投資するには、相場全体の流れもしっかり掴んでおきましょう。

過去の相場から、7月の日本株はレンジ(一定の変動幅)内で動きつつも、上下どちらか一方向にトレンドが出ると、それが続く傾向にあります。市場全体のボラティリティ(変動幅)が小さいために、何か重要なイベントや日米の中央銀行の政策にサプライズがあると、トレンドが出やすいのです。

2024年も米FOMCが25日・26日に、日銀の金融政策決定会合が27日・28日に開催されます。

米FRBは6月の会合で、年内の利下げ予想を1回に修正しました。ただ、「データ次第で会合ごとに判断する」という姿勢を示しており、会合の結果や議長の発言に注目が集まります。一方の日銀も、この7月の会合で利上げと長期国債の買い入れ減額が同時に決定されるのか、が焦点となっています。

それぞれの結果によっては、為替・株式ともに大きなトレンド転換が起こる可能性もあるため、注視したいところです。

決算をチェックしつつ後半戦に備えよう

7月に株価が上昇しやすい株をご紹介しましたが、「恒例」だからといって今年も必ず上がるとは限りません。ただ、「夏枯れ」と言われて軟調になりやすい7月相場であっても、局地戦で勝てる銘柄はある、ということです。

それとともに、7月は一年の相場における後半戦のスタートです。

日米の金融政策や11月の米大統領選、地政学的リスクなど、まだまだ年末まで不透明要素はたくさんありますが、投資の世界は「事前準備がすべて」。まずは7月の決算発表で、上方修正や進捗率の高い銘柄をチェックして、後半戦に向けてしっかり備えましょう。

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[執筆者]岡田禎子
岡田禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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