二極化する相場で上がる株・下がり続ける株 気になるのはやっぱり…

窪田 剛
2020年7月9日 12時00分

コロナショックによる下落分を、ほぼ取り戻した株式市場。そんな6月相場を、株の学校ドットコム講師の窪田剛氏が振り返ります。プロトレーダーも気になるのはやっぱりあの銘柄──

横ばいの6月相場で上がった株・下がった株

2020年3月、新型コロナウイルス感染症の影響で株価が大きく下落しましたが、6月までに株価は大幅に戻りました。株価だけを見れば、コロナの影響は過去のものになったと言ってもいい状況になっています。

日経平均全体で見れば、4月と5月に大きく上昇し、6月はほぼ横ばいでした。

そんななか、コロナ後の世界で成長を期待されるITやDX(デジタルを利用した改革)関連の銘柄は6月も大きく買われました。そこで、全体としてみれば横ばいだった6月に大きく動いた銘柄をランキングを元に振り返ってみたいと思います。

【2020年6月 売買代金ランキングTOP20】

順位 証券コード 銘柄 売買代金
1 9984 ソフトバンクグループ 3.1兆円
2 9983 ファーストリテイリング 1.5兆円
3 7974 任天堂 1.2兆円
4 6758 ソニー 1.0兆円
5 7203 トヨタ自動車 8615億円
6 8035 東京エレクトロン 8098億円
7 4563 アンジェス 8002億円
8 8306 三菱UFJフィナンシャルグループ 7021億円
9 6920 レーザーテック 5848億円
10 6861 キーエンス 5547億円
11 8316 三井住友フィナンシャルグループ 5192億円
12 4502 武田薬品工業 4844億円
13 6098 リクルートホールディングス 4659億円
14 6954 ファナック 4219億円
15 6857 アドバンテスト 3840億円
16 2191 テラ 3780億円
17 9433 KDDI 3677億円
18 4519 中外製薬 3532億円
19 9201 日本航空 3433億円
20 6981 村田製作所 3325億円

【2020年6月 値上がり率TOP20】

順位 証券コード 銘柄 値上がり率
1 1757 クレアホールディングス +446%
2 3189 ANAP +369%
3 3686 ディー・エル・イー +212%
4 9973 小僧寿し +165%
5 6026 GMO TECH +161%
6 6897 ツインバード工業 +153%
7 3849 日本テクノ・ラボ +150%
8 2586 フルッタフルッタ +130%
9 3970 イノベーション +128%
10 6937 古河電池 +119%
11 3998 すららネット +116%
12 7095 Macbee Planet +112%
13 3491 GA technologies +106%
14 7610 テイツー +103%
15 4588 オンコリスバイオファーマ +92%
16 4571 ナノキャリア +90%
17 6112 小島鐵工所 +82%
18 4784 GMOアドパートナーズ +80%
19 6573 アジャイルメディア・ネットワーク +77%
20 7068 フィードフォース +77%

【2020年6月 値下がり率TOP20】

順位 証券コード 銘柄 値上がり率
1 7687 ミクリード −35%
2 6628 オンキヨー −33%
3 7003 三井E&Sホールディングス −31%
4 7074 トゥエンティーフォーセブン −31%
5 3802 エコミック −31%
6 3929 ソーシャルワイヤー −30%
7 9308 乾汽船 −30%
8 7048 ベルトラ −29%
9 4696 ワタベウェディング −29%
10 9318 アジア開発キャピタル −29%
11 7238 曙ブレーキ工業 −28%
12 3960 バリューデザイン −28%
13 3927 フーバーブレイン −28%
14 6946 日本アビオニクス −28%
15 5704 JMC −27%
16 3624 アクセルマーク −27%
17 8746 第一商品 −27%
18 7086 きずなホールディングス −27%
19 7093 アディッシュ −26%
20 4443 Sansan −26%

気になる銘柄をピックアップ

この中から、気になる銘柄をピックアップしてみます。

・売買代金ランキング

  • 1位:ソフトバンクグループ<9984>

新型コロナウイルスの影響で投資先が破綻したり価値が毀損したりして大きな減損を出しましたが、その後の自社株買いや資産売却など矢継ぎ早に対策を繰り出し、その結果、バブル後の高値まで上昇するほど活発に売買されました。孫さんすごい!

  • 7位:アンジェス<4563>
  • 16位:テラ<2191>

ともに新型コロナウイルスに対するワクチン開発で期待されて注目を浴びています。バイオ関連銘柄は乱高下が激しいため手掛けるには慎重さも必要ですが、世の中の注目を集めたということでピックアップしました。

・値上がり率

  • 5位:GMO TECH<6026>
  • 18位:GMOアドパートナーズ<4784>

1月末に早々と出社を禁止にし、コロナ対応に先進的なイメージのあるGMOグループ。GMOと名の付く銘柄は軒並み大幅高する日もあるなど、株式市場でも目立っていました。グループとしては証券会社やDX(脱ハンコ)など、もともとIT関連で買われやすかったところにコロナ関連として注目の多かった企業もあり大きく上昇しました。

・値下がり率

  • 4位:トゥエンティーフォーセブン<7074>
  • 8位:ベルトラ<7048>
  • 10位:ワタベウエディング<4696>

上から、ジム(運動)の運営、旅行、結婚式場運営と、コロナによって壊滅もしくは消滅してしまった業種に属する企業が、6月になっても下落を続けました。

来たるチャンスに備えよう

コロナ後にどんどん上昇する銘柄も多く見られます。多くはITやDXなどコロナを追い風にして業績が伸びている企業が中心です。アメリカのナスダックも史上最高値を更新していますし、日経平均も大きく上昇しました。

ただ、大きく上昇する銘柄がある一方、下げ止まらない銘柄もあり、マーケットの二極化が顕著に現れたのが2020年6月の特徴でした。

日経平均のチャートを見ても三角持ち合いが詰まってきて、今後は上下どちらかに大きく動く可能性もあります。チャンスにしっかりと備えて、トレードの勉強と準備をしておきましょう。

(株の学校ドットコム講師 窪田剛)

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[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
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