AIの恩恵は半導体株よりも電線株へ 2024年相場で注目を集めた銘柄たち
《日経平均株価が史上初めて4万円の大台を突破し、新たな領域に足を踏み入れた2024年。夏の急落はあったものの、今年も多くの銘柄が相場をにぎわせました。2024年相場を振り返って、かぶまど執筆陣の注目銘柄をご紹介します》
生成AI隆盛の恩恵を受けた銘柄たち
世界中で生成AIの普及と活用が拡大した2024年は、それに伴う需要拡大が見込まれる各業種にも株価上昇の恩恵が見られました。AIの要である半導体関連銘柄よりも注目を集めたのは、電線株でした。
大相場を演じた電線株
・古河電気工業<5801>、住友電気工業<5802>
2024年にかけて市場関係者の関心をもっとも集めた銘柄のひとつに電線株が挙げられます。日本の電線メーカー大手としては、古河電気工業<5801>、住友電気工業<5802>、 フジクラ<5803>の3社が有名です(※フジクラは後述あり)。
牽引役となったのは光ファイバーです。生成AIの活用が広がる中、米グーグルやマイクロソフト、アマゾン・ドットコムなどIT大手はこぞってデータセンターの新設に乗り出しました。
新型のデータセンターでは、AIの学習や推論にこれまでよりも多くの光ファイバー網が使われるため、高品質の光ファイバーを提供する日本の電線大手メーカーに需要が殺到したのです
AI関連というと、並列計算に用いるGPUメーカーの米エヌビディア<NVDA>が連想されますが、今年は新たなAI・データセンター関連銘柄として電線株などに投資家の関心が集中し、大相場を演じました。
AIの拡大はさらに加速すると見られ、来年はどのような銘柄に資金が向かうのか注目となりそうです。
生成AI需要と核融合エネルギーへの挑戦
・フジクラ<5803>
生成AI向けデータセンターの電線需要が急増する中、フジクラ<5803>の業績が飛躍的に成長しています。
2024年3月期には売上高7998億円、純利益510億円と、過去最高益を3期連続で更新。2025年3月期の第1四半期も、前年同期比で売上高15%増、営業利益は倍増し、純利益予想を600億円に上方修正しています。
12月には株価が6000円を超え、年初来では500%近く上昇しています。生成AI需要の追い風を大いに受けている銘柄だといえるでしょう。
さらにフジクラは、核融合発電向けの超電導線材事業にも注力。京都フュージョニアリング<非上場>やMIT発のベンチャーとの提携により、未来のエネルギー源としての核融合市場でも存在感を示しています。
生成AIと次世代エネルギーという二大市場での活躍が期待される銘柄です。
(選・山下耕太郎)
半導体市場の成長を支える要
・信越化学工業<4063>
AI、自動運転、5Gなどの発展に不可欠な半導体は、引き続き、需要の拡大が期待される分野です。
サプライチェーン危機を克服し、アメリカの中国輸出規制や台湾情勢の影響を受けつつも、信越化学工業<4063>のような大手企業は寡占化の進む市場で安定した成長を遂げています。特にシリコンウェハの分野では高い参入障壁が強みです。
さらにM&A戦略も積極的に展開し、三益半導体工業<上場廃止>を傘下入りさせることを実現しました。半導体の市場規模は2030年には1兆ドルへ成長すると予測され、リスク管理をしつつも成長が見込まれる銘柄として注目されています。
(選・山下耕太郎)
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