いまさら聞けない「ナスダック」 ダウとの違いや金利との関係、おすすめファンド

山下耕太郎
2021年7月9日 12時00分

いまさら聞けない「ナスダック」

ナスダックとは

ナスダックNASDAQ)は、世界最大の新興(ベンチャー)企業向けの株式市場で、日本のマザーズやジャスダックに該当します。ナスダックは、1971年に世界で初めての電子株式市場として設立されました。

ナスダックは新興企業向けとはいえ、成長力のあるIT・ハイテク企業が多く、アマゾン・ドット・コム<AMZN>やマイクロソフト<MSFT>、アップル<AAPL>など世界的な大企業が数多く上場しています。

・ナスダックの時価総額と上場企業数

世界最大の証券取引所は、同じアメリカのニューヨーク証券取引所(NYSE)。そして、ニューヨーク証券取引所とナスダックに上場している30銘柄をもとに算出されているのが「ダウ工業30種平均ダウ平均株価)」です。

ニューヨーク証券取引所とナスダック、そして日本の東京証券取引所、マザーズ、ジャスダックの上場企業数と時価総額、売買代金を比較すると、以下のようになります(野村資本市場研究所調べ、2021年2月末時点)。

ナスダックは世界第2位の時価総額を誇り、その規模は東京証券取引所の約3倍あります。ナスダックが、いかに大きな市場であるかがわかります。

〈参考記事〉いまさら聞けない「ダウ平均株価」 世界の相場を動かす30銘柄を注視せよ

ナスダック総合指数とは

ナスダック総合指数とは、ナスダック市場に上場しているすべての銘柄を対象に、1971年2月5日の値を100として算出される時価総額加重平均型の株価指数です。

2021年5月上旬、ナスダック総合指数が14,000ポイント台から13,000ポイントまで急落しました。主な原因は、アメリカの長期金利の上昇です。金利が上昇すると、ハイテク株は売られやすくなるのです。

ナスダック総合指数に多く組み入れられているハイテク株などのグロース株(成長株)は、PER(株価収益率)が高い傾向にあり、それと同時に、PERの逆数である益回りは低くなります。

  • PER=株価÷1株あたり利益(EPS)
  • 益回り=1株あたり利益(EPS)÷株価

益回りでは、金利と比較して値が小さいほど割高、値が大きいほど割高と判断します。そのため、金利上昇局面においては、PERの高いハイテク株は、金利と比較した益回りの低さから相対的な投資対象としての魅力が低下し、売られやすくなるのです。

こうしたことから、ナスダック総合指数の動きを見る際には、長期金利(米10年債利回り)の動向に注意することが必要です。

ナスダック100指数とは

ナスダックに上場する企業を対象にした株価指数には、ナスダック総合指数以外にも「ナスダック100指数」があります。

ナスダック100指数は、ナスダックに上場している金融セクター以外の銘柄のうち、時価総額の大きい上位100銘柄で構成される株価指数です。金融株を除いているため、マイクロソフトやアップルなどのハイテク・IT株の動向を、ナスダック総合指数よりも判断しやすくなります。

ナスダックに投資するには

ナスダック総合指数やナスダック100指数に連動するインデックスファンドを購入すれば、ナスダックに投資することができます(いずれも基準価額と純資産総額は2021年7月8日現在のもの)。

・米国NASDAQオープンBコース

  • 基準価額  :25,344円
  • 純資産総額 :212.8億円
  • 信託報酬  :1.694%(税込)

ナスダック総合指数(円換算ベース)をベンチマークとし、ナスダックの上場株式に投資するファンド。為替ヘッジあり(Aコース)と為替ヘッジなし(Bコース)の2種類がありますが、円安・ドル高になると為替差益が狙えることから、Bコースのほうが人気があります。

組入上位銘柄は以下の通り(2021年5月31日時点)。

  • マイクロソフト     :7.7%
  • アマゾン・ドット・コム :7.4%
  • フェイスブック     :6.6%
  • アドビ         :3.8%
  • アルファベット     :3.6%

また、5月末時点の騰落率は次のようになっています。

  • 1カ月 :−2.6%
  • 3カ月 : 4.2%
  • 6カ月 :7.9%
  • 1年  :36.4%

金利上昇からハイテク株比率の高いナスダック総合指数は冴えない展開になりましたが、1年間では36.4%上昇しており、ハイテク株の人気は衰えていません。今後も、長期金利の動向を睨みながらの動きになるでしょう。

(参照)米国NASDAQオープン Bコース_野村アセットマネジメント

・iFreeNEXT NASDAQ100インデックス

  • 基準価額  :19,381円
  • 純資産総額 :311.8億円
  • 信託報酬  :0.495%(税込)

ナスダック100指数(円ベース)に連動した投資成果を目指すファンド。5月末時点の組入上位銘柄は以下の通り。

  • アップル        :10.2%
  • マイクロソフト     :9.2%
  • アマゾン・ドット・コム :7.9%
  • フェイスブック     :3.9%
  • アルファベット     :3.9%

こちらも、5月末時点の騰落率を見ておきましょう。

  • 1カ月 :−1.2%
  • 3カ月 :10.3%
  • 6カ月 :18.0%
  • 1年  :48.4%

直近は、長期金利上昇の影響を受けて、ナスダック100指数の動きも冴えませんでした。それでもやはり、1年間では48.4%と高いリターンを出しているため、今後も強い関心を集めると考えられます。

(参照)iFreeNEXT NASDAQ100インデックス_大和アセットマネジメント株式会社

ダウとナスダックで世界を読む

アメリカに限らず世界をリードするハイテク株が多く上場しているナスダック。

その動向を知ることができるナスダック総合指数やナスダック100指数は、景気敏感株が多いダウ平均株価とは異なった動きをすることも多くあります。アメリカ、そして世界の株価の行方を占う際には、ダウ平均株価とあわせてナスダックにも目を向けたほうがいいでしょう。

ただし、ハイテク株は高PER銘柄が多いので、ナスダック総合指数などに投資する際には、長期金利の動向に対する注意が必要です。

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[執筆者]山下耕太郎
山下耕太郎
[やました・こうたろう]一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴20年以上。現在は、日経225先物・オプションを中心に、現物株・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。趣味は、ウィンドサーフィン。ツイッター@yanta2011 先物オプション奮闘日誌
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