日経平均株価はあれから4倍に。プロが驚く銘柄、悔しがる銘柄とは

窪田 剛
2021年2月2日 8時00分

1月相場を振り返って

最終営業日に日経平均株価は大きく下落してしまいましたが、前半は勢いよく上昇を続け、日経平均が28,000円を突破しました。私(窪田)が株を始めたのが2001年で、その後、日経平均は約7,000円まで下落していたことを考えると、約4倍。なんだか不思議な気分です。

  • 日経平均株価:27,444円→27,663円(+0.80%)
  • TOPIX:1,801ポイント→1,808ポイント(+0.39%)
  • マザーズ指数:1,196ポイント→1,208ポイント(+1.00%)

最後に下落はしましたが、良い調整になって今後の上昇につながっていく可能性もまだまだあるので、今後も目が離せません。

・2021年1月の日経平均株価の推移

1月相場で上がった株・下がった株

そんな2021年1月の相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(データ提供:CMBトレード塾)。

・2021年1月の売買代金トップ20

順位 証券コード 銘柄 売買代金
1 9984 ソフトバンクグループ 2.37兆円
2 7974 任天堂 1.29兆円
3 9983 ファーストリテイリング 9954億円
4 8035 東京エレクトロン 9611億円
5 7203 トヨタ自動車 9004億円
6 6758 ソニー 8572億円
7 6861 キーエンス 7512億円
8 2413 エムスリー 7360億円
9 6594 日本電産 6649億円
10 6920 レーザーテック 6168億円
11 8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ 5702億円
12 9432 日本電信電話 5089億円
13 6981 村田製作所 5080億円
14 4063 信越化学工業 4858億円
15 6954 ファナック 4822億円
16 8316 三井住友フィナンシャルグループ 4610億円
17 4502 武田薬品工業 4358億円
18 6612 バルミューダ 4042億円
19 9433 KDDI 3673億円
20 4477 BASE 3549億円

・2021年1月の値上がり率トップ20

順位 証券コード 銘柄 売買代金
1 6907 ジオマテック +206.70%
2 3004 神栄 +103.20%
3 2586 フルッタフルッタ +97.70%
4 4582 シンバイオ製薬 +82.00%
5 7863 平賀 +75.80%
6 5939 大谷工業 +74.50%
7 5981 東京製綱 +70.30%
8 7049 識学 +69.40%
9 6612 バルミューダ +68.30%
10 8257 山陽百貨店 +66.20%
11 2804 ブルドックソース +64.60%
12 7043 アルー +62.50%
13 6840 AKIBAホールディングス +61.60%
14 7928 旭化学工業 +59.40%
15 6627 テラプローブ +58.20%
16 4764 Nexus Bank +55.20%
17 3751 日本アジアグループ +55.00%
18 2927 AFC−HDアムスライフサイエンス +53.30%
19 6347 プラコー +50.00%
20 8143 ラピーヌ +49.10%

・2021年1月の値下がり率トップ20

順位 証券コード 銘柄 売買代金
1 6195 ホープ −41.4%
2 9610 ウィルソン・ラーニング ワールドワイド −35.8%
3 3150 グリムス −31.9%
4 9376 ユーラシア旅行社 −31.8%
5 3328 BEENOS −27.3%
6 6734 ニューテック −26.1%
7 3663 アートスパークホールディングス −25.6%
8 6199 セラク −24.9%
9 3390 INEST −24.7%
10 4274 細谷火工 −24.6%
11 5491 日本金属 −24.5%
12 6184 鎌倉新書 −24.4%
13 4015 アララ −24.0%
14 3760 ケイブ −23.6%
15 3496 アズーム −23.2%
16 7065 ユーピーアール −22.8%
17 1418 インターライフホールディングス −22.7%
18 2375 ギグワークス −22.3%
19 3777 FHTホールディングス −22.2%
20 3683 サイバーリンクス −22.2%

1月相場で気になった銘柄たち

この中から、気になる銘柄をピックアップしてみます。

⬆️東京エレクトロン<8035>──売買代金4位

半導体関連銘柄は2016年から大きく上昇を始めて(2018年は下落)、まだまだ相場の主役の一角を担っています。AIや自動運転、ゲームやビットコインのマイニングまで、世界が進化すればするほど必要になる半導体関連銘柄の中でも、この東京エレクトロン<8035>は必ず注目しておいてほしい銘柄の一つです。

⬆️バルミューダ<6612>──値上がり率9位、売買代金18位

IPOしたばかりの銘柄が値上がりランキングに入ることはあっても、売買代金ランキングに入ることはあまり多くありません。消費者向けの商品を扱っていて、家電という大きなマーケットでチャレンジしているバルミューダ<6612>は「わかりやすい」ためか、大きく上昇し、また、たくさんの人が参加しました。この流れはもうしばらく続くかもしれません。

でも、大事なのは、この銘柄でいまから売買することではなく、「わかりやすい」「でもまだ時価総額が小さい」「大きなマーケットに挑戦している」そして「そこそこ有名」な銘柄は今後も同じような注目を集める可能性がある、ということ。そういう銘柄はなかなかありませんが、こういった出来事を一つ一つ消化していくことで今後もしチャンスが来たときには掴むことができます。

え、私ですか? IPOはやらないって決めているので触っていません(涙)。悔しいです!

でも、自分の売買ルールは守れたし、相場の中心であった半導体関連のトレードで大きな利益をあげられたので、よしとさせてください。

⬇️ユーラシア旅行社<9376>──値下がり率4位

この銘柄のチャートを3年スパンくらいの週足チャートを見て、どんなことを思いつくでしょうか。

私が感じたのは以下の3つです。

  • 旅行会社だからコロナで株価が下がっているかも → 実はコロナ前と株価水準は変わらない
  • GoToトラベルの時期とチャートの関係は? → わかりやすくニュースに沿った値動き
  • GoToトラベルの時期と出来高の関係は? → わかりやすく注目を浴びている(=出来高が増加)

GoToトラベルという「政策」ではあっても、このユーラシア旅行社<9376>ような値動きは、わかりやすく手掛けてはいけない部類のものになります。

時価総額が小さい、売買代金が小さいといった「トレードには不向き」というフィルターはあるものの、やはりニュースを見て売買してしまった人は多いと思います。でも、このチャートを肝に銘じて、しっかりと自分の売買ルール、自分のやり方を確立していってほしいと思います。

⬇️ホープ<6195>:値下がり率1位
⬆️東京電力ホールディングス<9501>:売買代金29位、値上がり率39位[番外]

2021年1月の出来事として、電力逼迫がありました。寒波の影響による暖房需要の増加で、日本中で電力不足になった結果、電力会社の株が大幅に上昇。東京電力ホールディングス<9501>のような大型株が272円から一時444円と+63%も上昇(終値でも+47%)するほど注目を浴びました(それでも売買代金で29位だったのは驚き)。

反対に、値下がり率1位のホープ<6195>のような電力の小売に参入していた企業は、仕入れの電気代が「想定以上の高騰」となり、業績にネガティブに働くということで大きく売られました。

株式市場と一緒で、「常に想定外のことを想定しておく」=「全てのことは想定内」というようにしておくことで、株式トレードも事業も安定してくるんですね。

2月は本当に株価が「ぶっ飛ぶ」?

激動の2020年が終わり、そのままの激動が2021年も続いています。「節分天井」なんて言葉もあるくらいですから、いったん調整してもおかしくない水準でありますが、まだまだぶっ飛んでいくことも「想定内」にしておく必要があります。

いったん調整するのか、それとも、このまま高値を更新していくのか。

テレビやYou Tubeでは株の番組や特集が増えてきました。NISAの検索数も過去最高を突破したようです。こういうときって、だいたいピークをつけるんですよねぇ。。。

さて、今回はどうなりますか。2月も楽しみで仕方がありません。

(株の学校ドットコム講師・窪田 剛

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[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
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