確定申告していますか? 実は、納税しなくてもいい場合もあるんです

国民3大義務のひとつ「納税」。株式取引で得た所得も例外ではありません。「源泉徴収」や「確定申告」「計算」「書類提出」……これらの単語を聞くだけで眩暈がする人から、こういうの嫌いじゃないぜ!という人まで、さまざまでしょうが、まずは押さえておきたい基本の「き」をまとめてみました。実は、ケースによっては納税しなくていい人もいるんですよ。

譲渡益20万円と21万円で税金はこんなに違う!

株式取引によって得る所得は、1,000円で買った株が1,500円になって売ったというときに生じる「譲渡益」と、企業からの「配当金」に分けられます。このうち配当金は原則として、会社の給与と同様に源泉徴収(支払者が事前に税金を差し引いて払う)されるため、私たちがやることは特にありません。

その一方で大変なのが、譲渡益です。

まず覚えておいてほしいのが、「2,000万円以下の給与所得者」で、かつ「給与・退職所得以外の所得(譲渡益含む)が年間20万円以下」の人なら、そもそも所得税の確定申告をする必要がない、という大特典があります(主婦や自営業、無職の方は対象外。また、医療費控除など他項目で確定申告する場合は、譲渡益についても申告が必要)。

譲渡益には、所得税15%と住民税5%の税金がかかります。したがって、譲渡益が20万円で確定申告をしなければ納税額は0円ですが、21万円の利益があると税額は一気に4万2,000円に! 手元に残るのは16万8,000円となり、「利益20万円の場合より減っている……」なんてことも(申告の際には、さらに所得税額に対して2.1%の復興特別所得税がかかります)。

というわけで、給与所得者の方なら、利益が少額だった年には「税金を払わない」という選択肢もあることを覚えておきましょう。また、NISA口座で行った取引については非課税ですので、確定申告も不要です。

【参照記事】これで納得! 5分でわかるNISAのメリット・デメリット

面倒な人は証券会社に任せるべし

ここからは、納税が必要なケースで考えます。私自身はぶっちゃけ金勘定が好きなので、「確定申告好き好き大好き!」な人間ですが、「確定申告が苦手……(というか嫌い)」という人は本当に多いですよね。そんな人のために、「自分では確定申告をしない」という選択肢が用意されています。

といっても、「納税しない」という意味ではありません。証券口座を開設する際に「源泉徴収あり」の口座にしておけば、取引のたびに証券会社が譲渡益から税金を源泉徴収し、あなたの代わりに税務署に払ってくれます。そのため自分で納税する(確定申告する)必要がなくなるのです。「とにもかくにも楽がいちばん。正しい納税方法を覚える時間があるなら、新しい売買をしたい」という考えの人におすすめです。

【参照記事】言葉がわかれば理解が進む! 最初に覚えるべき投資用語14選

ただし「源泉徴収あり」の口座で取引する場合、一点だけ注意が必要です。それは、前述した「譲渡益が20万円以下の場合は納税しなくていい」という特例が適用されなくなります。本当に“ちょこっとだけ投資”の人なら、この適用枠内だけでやるのもいいでしょう。

それでも、確定申告をしたほうがいいケースもいくつかあります。

確定申告したほうがいい理由

①株式投資のために本を買ったら経費申請できる

確定申告したほうがいい理由のひとつめは、セミナー受講や書籍購入など、株式取引のためにいろいろなコストをかけた人です。こういう場合、これらにかかった費用を「経費」として譲渡益から差し引くことができるのです。それによって納税の対象となる金額を減らし、節税につなげることができます(領収証など経費を証明できるものを残しておくようにしましょう)。

たとえば、課税対象となる譲渡益が100万円ある人の場合、そのまま申告すれば税額は20万円ですが、もし10万円の投資セミナーに参加していたら、(100万−10万)×20%=18万円(いずれも復興特別所得税は含まない)。このように、納税額が2万円も違ってくるのです。これは大きいですよね。

ちなみに、いまや投資にインターネットは不可欠な存在ですが、通信費(回線利用料、インターネット・プロバイダ料金、スマートフォンの月額利用料など)を経費として計上することもできます

ただし、「投資用にスマホを分けている」という人でもないかぎり、ネット利用は株式投資以外の用途のほうが多いはずです。この場合は、「利用料金全体の○割分」といった妥当な割合の金額で申請しましょう。小銭惜しさにやりすぎて税務署職員に目をつけられ、痛くもない腹をさぐられては本末転倒です。自分で「まあ、妥当だわな」と思える範囲にしましょう。

②損を出したときこそ絶対に確定申告!

株式投資に「絶対」はなく、いつでも勝てるとはかぎりません。たとえば、100万円の損失を出して終わった年があり、その翌年は50万円の利益があって、そのまた翌年には50万円を儲けた……という3年間があったとしましょう。このケースで、源泉徴収口座を活用して自分で確定申告をしない場合と、確定申告をした場合とで納税額を比較してみましょう(いずれも復興特別所得税は含まない)。

【確定申告をしない場合】
1年目:100万円の損失 → 納税額0円
2年目:50万円の利益 → 50万×20%=10万円
3年目:50万円の利益 → 50万×20%=10万円
  ↓
合計納税額20万円
【確定申告をした場合】
1年目:100万円の損失 → 納税額0円
2年目:1年目の損失分と相殺 → 納税額0円
3年目:1年目の損失分と相殺 → 納税額0円
  ↓
合計納税額0円

なんと、確定申告をすると納税額が0円になっています。なぜこうなるのかというと、確定申告を行うと、損失分を「繰り越し控除」として翌年以降の利益と相殺することができるからです。20万円の差は大きいですよね。この繰り越し控除は、翌年以降3年間が対象となりますが、その間、連続して確定申告をする必要があります。

大損したときほど確定申告は必須です。「源泉徴収あり」の口座だからといって「確定申告をしてはいけない」という意味ではありません。大損になった年からは3年連続で確定申告すれば、次の年の利益と相殺することで、税金を節約することができます。

利益額や性格にあわせて最良の方法を

以上の話をまとめると、このようになります。

  • 株式取引の利益は配当金と譲渡益に分けられ、配当金は源泉徴収されるため何もしなくてOK
  • 給料所得者で年収が2000万円以内、かつ、譲渡益も含む給与以外の所得が20万円以下なら納税の必要なし(ただし「源泉徴収あり」口座で取引すると20万円以下でも税金は引かれるので要注意)
  • 株式取引のためにお金をかけた場合は確定申告したほうがお得
  • 大損をした年から3年は「繰り越し控除」で確定申告を!

これらのことを考慮したうえで、「源泉徴収あり」の口座で取引するか、なしの口座で取引するかを考えてみましょう。確定申告をした場合としなかった場合とで、どれくらいの差額が出るのかという点も大事ですが、性格が“ズボラ”で、お役所手続きが苦手な人であれば、少々の無駄(税金の払いすぎ)は覚悟で確定申告しない!と決めてしまうのも手です。

iDeCoで節税対策ができる?

しかしそれでも、20%という税率は高い……。せっかく100万円の利益を出したのに、そこから20万円も税金で持っていかれるというのは、なかなかやるせないものです。「不労所得」と言われることもありますが、実際にはさまざまな苦労をして、ようやく稼いだお金です。

もちろん「脱税」はいけませんが、「節税」対策のひとつとして「個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)」があります。ただし、これはメリットもあるけれどデメリットも多い諸刃の剣であり、「万人におすすめ!」と無邪気にご紹介できるようなものでもありません。そんなわけで、くわしくは「光のiDeCo編」「闇のiDeCo編」と題してあらためてご説明しますので、どうぞお楽しみに!

 

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