投資詐欺はどれほど広がっているのか? 7000人に聞いた被害の実態
《オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」では、株式投資に取り組んでいる人々を対象として、さまざまなアンケート調査を実施しています。そこから見えてきた、個人投資家・トレーダーの本音とは?》
投資詐欺の被害実態
SNSを使った投資詐欺が大きな問題になっています。「自分は大丈夫」と思っていても、その裏をかくように新たな手口が次々と登場します。
一体どんな手口があり、人々はどんなところで詐欺に遭遇し、どんなふうに騙されてしまったのか。それらを知っておくことは、大切な資金を失ってしまう事態を避けるための、とても有効な予防策となります。
株の学校ドットコムでは、全国の20歳以上の7000人を対象として、投資詐欺被害の実態調査を行いました(インターネット調査/2024年9月28日~10月1日)。
その結果、実際に投資詐欺の「被害」に遭ったことがある人は全体の4.0%に留まりましたが、詐欺の「勧誘」を受けたことがある人とあわせると15.7%になりました。
なかでも20代は詐欺への遭遇率、実際の被害率とともに高く、100万円を超える金銭的被害を受けた人も多数で、投資詐欺をめぐる深刻な実態が浮かび上がってきました。
詐欺被害は20代が最多
投資詐欺の実態を把握するため、まずは、実際どれくらいの人が「詐欺」や「勧誘」に遭っているのかを調査しました。
「これまでに投資詐欺の被害にあったり、勧誘を受けたりしたことはありますか?」という質問に対して、「被害にあったことがある」と回答した人は7000人のうち277人。率にして4.0%でした。
ただ、「被害は受けていないが、勧誘を受けたことがある」と回答した人が11.7%(822人)いるため、両者をあわせると15.7%になります。国民の10人のうち1人から2人は、何らかの詐欺や勧誘に遭遇していることになります。
年代別に見ると、投資詐欺への遭遇率(被害+勧誘)が最も高いのは60代の19.2%で、70代以上の18.9%がそれに続きます。年齢を重ねている分、さまざまな経験を積んできた人が多いことが要因と言えるでしょう。
その一方で、実際に「被害にあったことがある」と回答した人が最も多かったのは、20代の6.9%でした。40〜60代ではおよそ3.3%のため、その倍以上の確率です。
30代も5.2%と高い被害率になっており、年代が若い人ほど詐欺に騙されて被害を出してしまっている現状が見えてきました。
20代は友人・知人も投資詐欺に遭っている
今回の調査では、投資被害の実情をより詳しく理解するために、回答者本人が詐欺や勧誘に遭ったことがあるかどうかだけでなく、友人や知人が同様の経験をしていないかどうかもあわせて調査しました。
その結果、友人・知人の詐欺遭遇率は全体で13.1%(被害5.3%+勧誘7.8%)でした。遭遇率が最も高かったのは20代の16.8%ですが、どの年代でも、本人の場合よりも低い数字になっています。
ただし、実際に「被害にあった」確率は本人の場合よりも高く、60代では6.2%になりました。なかなか人には言いづらい話であることを考慮すれば、この数字は決して小さくないと言えるのではないでしょうか。
半数が金銭的被害。1000万円以上も
投資詐欺ではどんな被害を受けているのか。本人や友人・知人が詐欺や勧誘に遭遇したことがあると回答した600人(各年代の男女50人ずつ)を対象に、その被害内容について聞きました。
その結果、「金銭的被害がある」と回答した人はほぼ半数の48.0%で、「金銭的被害はない」と回答した人の43.5%を上回りました。詐欺や勧誘に遭遇した人の多くが、金銭的な損失を被ってしまっていることがわかります。
さらに、金銭的被害のあった288人にその金額を回答してもらったところ、最も多かったのは「100万円未満」の60.1%(173人)でした。金額が上がるにつれて割合は減っていきますが、それでも、「1000万円以上」の被害を受けた人は全体で8.3%(24人)になります。
「必ず儲かる」は信じてはいけない
一般的には、「お金を持っている高齢者がターゲットにされやすい」というイメージも強く、高齢者向けの注意喚起はさかんに行われています。
しかしながら今回の調査では、実際に投資詐欺の被害にあったことがあると回答した人の割合は20代が最も高く、若い世代のほうが詐欺の危険にさらされている現状が見えてきました。
被害にあった経験をもつ人たちに「具体的にどんな被害にあったのか」を教えてもらったところ、SNSなどインターネットを通じて詐欺に遭っているほか、友人・知人を介して……というケースも多いようです。
〈参考記事〉実例「私はこれで、騙されました」 投資詐欺の被害者がその手口を告白
さまざまな場面で「必ず儲かる」「今だけ」といった煽り文句が使われています。たとえ信頼できそうな相手であっても、常に冷静な視点で判断することを心がけていただければと思います。