在宅勤務でトレーダーデビュー? そんなあなたを待ち受ける3つの罠

網代奈都子 2020/04/09

コロナ禍で株デビューが続出

新型コロナウイルスの収束が見えない日々が続いています。政府の緊急事態宣言を受けて、ついに在宅勤務になった方も多いのではないでしょうか。収入への不安、通勤がなくなって増えた時間……。「よし、いまこそトレーダーデビューしてみようかな!」などと思ってはいませんか?

コロナショックによって株価が大きく下落したこともあり、「いまが株の始め時」と思った方は多いようで、楽天証券では2020年2月の口座開設数が初の10万超え。3月はさらに増えているとの報道がありました。

しかーし! 在宅勤務によるトレーダーデビューには、実は危険がいっぱい潜んでいるのです。

在宅勤務トレーダー3つの罠

罠① 仕事がそっちのけになる

あるプロのトレーダーは、初心者がトレードをする際に守るべきこととして第一に「1日30分以上トレードをしないこと」を挙げました。なぜか。特に初心者がトレードをした場合、チャートが気になって気になってたまらなくなってしまうからです。

出勤しているときなら、職場での周囲の目もあり、勤務中はチャートを見られないはず。しかし、在宅勤務となると「人の目」がありません。そうするとどうなるか。パソコン画面いっぱいにチャートを出し放題。数分おきにチャートを見つめては一喜一憂……という生活が9時から15時まで続くことでしょう。

でも、そもそも在宅「勤務」なのですから、今はトレードではなく仕事をする時間では?

投資やトレードは余剰資金から始めるのが鉄則ですが、同じように、初心者のうちは「余剰時間」で行うくらいが、ちょうどよいのです。トレードに気を取られ、時間も取られ、本業でリストラされようものなら本末転倒です。

「大損しそうで心配だからついチャートを見てしまう」という人は、あらかじめ損切りの注文を出しておけばいいのです。そうすれば「想定以上に損を出す」ということはあり得ません。

ちなみに、会社で勤務中でもチャートが気になってしまい、職場のトイレにこもってスマホでトレードをしている人を「トイレーダー」と呼びます。もちろん、上司や同僚にはバレていますので、ご用心を。

罠② 無駄&余計なトレードが増える

在宅勤務トレードのデメリットは本業がおろそかになることだけではありません。「ついついチャートを見てしまう」生活が続けば、おのずと「無駄&余計なトレードが増えてしまう」ことになります。

「一日中チャートを眺めているだけで僕は幸せです」という人はおそらくいません。チャートを見つめていればいるほど、売買したくなるのが人情というのもの。

ですが、トレードは売買ルールのもとに粛々と遂行していく作業です。自分の中にルールを作り、売買のサインが出たら売買することを繰り返して、そのルールではどうも勝率が芳しくないとなったらルールを変更して……という地道な努力の積み重ねがトレードです。

もちろん、必ずロスカットを事前に決めて、その注文を出しておくなどの徹底したリスク管理も必要です。 そこまで徹底しているから、プロは生き残れるのです。

自分のルールの確立さえまだあやふや、ましてや「ルール」の意識すらない初心者トレーダーが、一日中チャートを見て、興奮し、気まぐれに「イケる!」と思って注文を出し続けていたら……。そして、そんな生活が1か月も続くとどうなるか……。想像するだに恐ろしいですね。

在宅勤務期間が明けたとき、貯金が底を突いていないことを願わずにはいられません。

罠③ 株価は初心者の思惑の逆を行く

最後に、もっとも肝心なことですが、そもそも株価は初心者トレーダーの思惑通りになんて動かないのです。

例えば、鳥貴族<3193>と串カツ田中ホールディングス<3547>は、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐべく、各店舗を休業すると4月2日に発表しました。休業すれば当然、売上はゼロ。業績への打撃は免れません。そう考えると、株価は「下がる」のではないかと思いますよね。

しかし両社とも、週明けの4月6日から株価はむしろ上昇しました。ニュースを見て「イケる!」と売り注文を出し、手痛いビンタを食らった人もきっといたはずです(はい、ここにもひとり……涙)。

なぜこんなことになったのか?

今回のようないわゆる「〇〇ショック」のときは、中長期的に見れば株価が下がっていく銘柄であっても、短期的には「上がったり下がったり」を繰り返し、単純な「右肩下がり」にはならないのです。

株価というのは市場参加者の「思惑」によって形成されますが、こういう混乱した相場では多くの思惑が入り乱れて、あっちに傾いたり、こっちに傾いたり……。だから「失敗したー」と思って手仕舞いした後で自分の思惑のほうに動き、2倍の悔しさに打ちひしがれることだってあるわけです。

こうした相場の傾向を知っていると知らないとでは、打つ手はだいぶ違ってきますよね。プロはもちろん知っています。そして株式市場とは、そんな猛者たちと初心者が同じ土俵で戦う場です。基本的な知識すら持たずに参戦するのは、丸腰で戦場に出るようなもの。命を取られないだけマシかもしれません。

それでも今は絶好のチャンス

「在宅勤務だから」と軽い気持ちでトレーダーデビューをすれば、一日中トレードのことだけが気がかりで本業はおろそかに。無駄なトレードが増えて利益を出せないどころか、乱高下する株価に翻弄されて涙を呑むばかり……という顛末をたどる可能性はかなり高そうです。

本業に差し支えるだけでなく、「トレードにおいて負けやすいことをあえてしている状態」とも言えます。ただでさえ終わりの見えないコロナ禍で精神状態が不安定になりがちなときに、経済的な損失を被ることは、とても危険です。

その一方で、「じっくり学ぶ機会」と捉えれば、いまの暴落相場から学ぶことはとても多いはず。21世紀に入ってからも、リーマンショックだけでなく、ギリシャショックにチャイナショック、トランプショックなどなど、株式市場は数々の暴落劇を演じてきました。

そう、暴落はまたやって来るのです。大切な資産を守るためにも、いま学んでおくべき「対策」とは何かをあらためて考えたいものです。この記事が「転ばぬ先の杖」となりますように。

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[執筆者]網代奈都子
網代奈都子
[あじろ・なつこ]30代OL。仕事のかたわらトレードを行っており、そのスキルを磨くべく日々勉強中。目下の目標は年間の利益100万円。安定した利益を出し、ペット可物件に引っ越すのが夢。【株窓アワード2019】
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