12月の株価はどうなる? 上がる日・下がる日の傾向と年末株高への期待
「騰落率」に見る上がる日・下がる日
株を「いつ」購入すればいいのかは悩ましい問題です。「キーッ、あのタイミングで買う(売る)んじゃなかった!」はトレーダーあるあるといってもいいんじゃないでしょうか。
そんな悩ましいタイミングを見極めるひとつの参考になる(かもしれない)のが、一年366日の日経平均株価の「騰落率」です。
「騰落率」とは、戦後に東京証券取引所が再開された1949年5月16日から現在までの、毎日の日経平均株価の日付別の上昇確率を計算したもので、平たく言えば、「この日付の日経平均株価は前日より上がったか、下がったか」を1949年から累計したデータです。
それぞれの日付において、株価が前日より上がった場合を「勝ち」、前日より下がった場合を「負け」として、その勝率(上昇する確率)が算出されています。
《参考記事》その株、いつ買えばいいの? 一年で最も上がる日・下がる日からわかったこと
これが12月の最も上がる日・下がる日
日経平均株価の騰落率は、日経平均株価の様々なデータを紹介するサイト「日経平均プロフィル」で確認することができます。これによると、12月の31日のうちで騰落率が最も高いのは「26日」のなんと72.41%で、最も低いのは「10日」の40.35%となりました(データは2021年11月現在)。
それでは、日別の騰落率を2021年12月のカレンダーに当てはめてみましょう。
勝率7割超えのミラクルデー出現!
本シリーズでは4月から毎月の騰落率を調べてきました。多くの月で見られた「5日以上の上昇」というトレンドは12月にも存在し、なんと8日連続で騰落率が50%以上(つまり半分の確率で上がる)な“アゲアゲ・デイズ”が22~29日にかけて出現します。
なお、騰落率50%以上をキープした日数がいちばん多かったのは9月で、実に10日連続というものでした。12月のアゲアゲデイズは8日間なので9月には及びませんが、12月のアゲアゲデイズは「騰落率」の十の位が9月とは違うんです。
どういうことかと言いますと、まず9月のアゲアゲデイズ10日間を見てみると、騰落率50%台が9日間で1日だけ60%という、「まあ、いちおう上がることは上がるけど……」的な、ほんのり上昇加減だったわけです。
それに対して、12月のアゲアゲデイズ8日間のうち騰落率50%台はわずか3日、60%台が3日あり、なんと70%台が2日もあるんです! 「キープした日数が長い」より「騰落率が高い」ほうに期待しちゃいますよね。
さらに見てみると、騰落率が30%台(=下がる確率が70〜80%)の「かなり売り優勢な警戒日」もなし(4月は0日、5月は3日、6月は1日、7月は3日で現時点で最多、8月は1日、9月は2日、10月は0日、11月は1日)
というわけで、騰落率という観点から12月相場を見ると「超強気!」な傾向が見受けられます。これまで、個性と呼べる個性があるのはかろうじて9月かな……と全体的にぼんやりとした印象だったのですが、12月は「イケイケ」と嬉しいくらいキャラが立っています。
過去3年の12月の日経平均株価の推移
そんな12月相場を、日経平均株価のチャートで見るとどうなのでしょうか。過去3年の12月の日経平均株価の推移を振り返ってみましょう。
2020年の12月は、前年末からジワジワとコロナの影が日本にも忍び寄ってきており、「帰省は控えて」と都道府県知事が訴えるなど年末の浮かれムードは皆無でした。それでも日経平均株価は、騰落率で見たアゲアゲムーブメントとほぼ一致した動きを見せています。
2019年も「後半で上がっていく」傾向はありますが、最後に急落。2018年にいたっては、「後半にかけ上がっていく」ムーブメントとは全く逆の動きをしています。
騰落率はあくまで統計なので、騰落率どおりの値動きが再現される日が連続して何日も続くとは限らないわけですが、それでも、アゲアゲな騰落率を見たあとで過去のチャートと見比べると、毎度のことながらギャフンとなってしまうのでした。
12月の最も上がる日・最も下がる日は、どんな日?
12月の「最も上がる日(前日に買っておけばウハウハ?)」と「最も下がる日(前日に売っておけばウハウハ?)」について、もう少し詳しく見てみましょう。
【トップ】12月26日(42勝16負0分)
12月で最も上がる確率が高いのは「26日」。騰落率はなんとなんとの72.41%で、1949年以降の勝ち負けは42勝16負0分です。
騰落率70%超は、レア中のレア。4月からで言えば、5月4日以来2度目の登場です。しかも、5月4日は現在は祝日(みどりの日)ですから実質使えません。
そんなわけで期待が高まる12月26日ですが、あいにく2021年のは日曜日……涙。でも、大丈夫。2日後の「28日」(2021年は火曜日)も騰落率70.18%の激熱期待デーです。
[この日、何の日?]
- 日産自動車<7201>創業……1933(昭和8)年の同日に、横浜市にて「自動車製造株式会社」という超シンプルな名前で創業。当時の人たちは、その後フランスから社長が来て、その人物が保釈中に海外逃亡するとは夢にも思わなかったことでしょう。
創業当時の主力車は「ダット」。「脱兎のごとく速く」が由来です(脱兎がごとく前社長が逃亡したわけですな……)。なお、新興国に向けては「ダットサン」という車が現在でも販売されています。「ダット」の息子(son)というわけです。
【最下位】12月10日(23勝33負0分)
12月で最も上がる確率が低い(=下がる確率が高い)のは「20日」の騰落率41.07%です。戦後に取引のあった計56日分の勝敗は23勝33負0分、つまりは約59%の確率で下がるということになります。
4月からで見ると、最下位の日は騰落率が30%台にまで月もそこそこあるなか、12月は下がる勢いも弱いようで、やはり「強気月」と言えます。なお、2021年の12月10日は金曜日です。
[この日、何の日?]
- 3億円事件発生……1968(昭和43)年のこの日、府中市の東芝<6502>工場の従業員に向けたボーナスを積んだ乗用車が、白バイ警官に扮した犯人に強奪されました。1975(昭和50)年に時効。犯人はいま、どうしているのでしょう。この事件を機に、給料の銀行振り込みが進んだそうです。
アゲアゲ12月相場、ここに注意
騰落率という観点から12月相場を見てきましたが、「それ以外」の特徴も見ておきましょう。
なお、なんで12月はアゲアゲなのか?については、こちらの記事で詳し~く解説されています。
《参考記事》12月の株価はどうなる? 年末株高への期待とともに急騰する銘柄とは
日本の企業において「1年の終わり」というと、3月をイメージする人も多いかと思います。実際、12月決算企業より3月決算企業のほうがずっと多いです。ですが、12月も大事な節目。それは、税制上では12月が「1年の終わり」だからです。
利益の出ている投資家が、含み損になっていて先行きも明るくないな〜という株を損切りして、他の利益と相殺させて税金を下げる、という節税対策の売りが出やすいことから、12月の前半は株価が下がる傾向にあるそう。なんだ~、みんな含み損を抱えてんだ〜(私もだよ!)と親近感が湧きますね。
確かに、アゲアゲラッシュがやってくるのも、師走も押し迫りすぎた22~29日にかけてです。最後のムーブメントに入る前に、誰もが「身辺整理」をしがちな時期なんだな、というのは頭の片隅においておきたいですね。
「今年は良かった」と高笑いしたい!
コロナ禍でなかなか「年末の華やぎ」というわけにもいかない年が続いていますが、今年はどうなるでしょうか。12月のアゲアゲムーブメントは今年も来るのか。もし来たとして、自分はそれにちゃんと乗れるのか?
12月の傾向や落とし穴を踏まえた上で、「コロナもあったが、いい年だったぜ!」と高笑いしながら新年を迎えたいですね。