いま大注目の高配当株 最新事情とトリセツ(2)負けない高配当株の選び方
高配当株が投資家の人気を集めています。アメリカの利上げが長期する影響で株式相場に不透明感が増す中、下落相場に強く、業績も良くて配当利回りも高い銘柄が、過去最高レベルでゴロゴロと転がっているのです。
いま大注目の高配当株 最新事情とトリセツ(1)その高配当にはワケがある(最新・配当利回りランキングつき)
高配当株の上手な選び方
ひと口に高配当株投資といっても、投資家の好みによってさまざまな選択肢があります。定期的に一定額が欲しいのか、それとも利回り重視なのか、中長期で保有して配当に加え値上がり益も狙いたいのか……。
いずれにしても「減配」(配当が減ること)のリスクはできるだけ避けたいもの。そこで銘柄選びの際には、自己資本比率や配当性向などで配当を維持できる体力はあるのかを、まずはチェックするのが定石です。
自己資本比率とは財務の健全性を表す指標です。自己資本比率の数値が高いほど倒産のリスクが軽減され、減配のリスクが低いと考えられます。
配当性向は、純利益の中からどれくらい配当金を支払っているかをパーセンテージで表したものです。この配当性向が高い水準にある場合、業績が悪化すると一転して減配となるリスクが高まっていきます。
こうした点を踏まえると、高配当株の銘柄選びでは以下のような条件が考えられます。
- 予想配当利回りが3%以上の銘柄
- 時価総額3000億円以上の大型株
- 自己資本比率が50%以上
- 配当性向が50%以下
実際にスクリーニングをかけてみたところ、条件付きの配当利回りランキングは次のようになりました。
さらに割安度という観点も加えるならPERや移動平均線などを見て「割安で信用倍率1倍以下の銘柄」、あるいは成長性で選ぶなら「利益の伸び率が10%以上期待できる銘柄」というように、自身の投資方針に合わせてカスタマイズしていくと良いでしょう。
安定の連続増配銘柄にも注目
手堅く高配当株を狙うなら、連続増配銘柄にも注目してみましょう。
どんな環境下でも連続で増配し続けるということは株主還元への強い姿勢の表れであり、安心感があります。また、長期で保有することで買い値から見た利回りも魅力です。
10年以上の増配を続ける企業に絞った配当利回りランキングは、次のようになっています。
例えば三菱HCキャピタル<8593>は23年連続で増配をおこなっている企業。足元の配当利回りは4.17%程度ですが、10年前に購入していたら7%以上の利回りになります。長期で持つことで高配当株になる、というわけです。
連続増配を続けることは並大抵のことではありません。それができる企業は、どんな状況でも稼げる能力が高く、財務体質も強い実力ある企業だといえます。
現在のように不透明な環境下では、連続増配銘柄は今後も増配を続ける可能性が高く、減配リスクも少ない、安心して持てる投資先といえそうです。
みんながNISAで保有している銘柄は?
株式投資をしていると「みんなは何を買っているのか」が気になるものです。そこで参考までに、NISAも確認してみましょう。証券会社のサイトでは、NISA口座での買付金額や保有金額をランキングで掲載しているところもあります。
ここではSBI証券の週間買付ランキングをご紹介します。
知名度の高い代表的な高配当株に加えて、直近では日本製鉄<5401>や日本郵船<9101>などのトレンド銘柄がよく買われていることがわかります。
危ない高配当株の見抜き方
高配当株への投資では「減配リスクを避けること」が最も重要なポイントになります。
減配・無配に陥る企業にはいくつか兆候がみられますので、危ない銘柄を掴まないよう、事前にチェックすることが重要です。たとえば、次のような点が挙げられます。
- 業績が悪化傾向にある
- PBR(株価純資産倍率)が1倍を割り込んでいる
- 本業からの現金収入を占める営業キャッシュフローが悪化している
- 株価が過去半年で急激に下落している
また、減配・無配の発表は期初ではなく期中に、業績予想の下方修正とともに発表する企業が多いという傾向があります。購入後も安心せず、その兆候であるシグナルを見逃さないよう監視を怠らないことが大切です。
今のマーケットは、優れた高配当株を拾う絶好の機会。銘柄選びのポイントや注意点を参考に、ぜひ、自分の好みに合った高配当株を見つけてください。