世紀の大暴落! そのとき投資家・トレーダーは何を見たのか
コロナショックの今こそ…
新型コロナウイルスのおかげで不安な日々が続いていますが、金融市場も荒れています。みなさんと、みなさんの証券口座は大丈夫でしょうか?
こんなときこそ、過去から学ぶときです。過去の暴落相場、いわゆる「●●ショック」が起きたとき、何が起きて、投資家・トレーダーのみなさんはどんな失敗をして、そこから何を得ていったのか。
株式市場で投資家が唯一コントロールできるもの
かつては富裕層が利用するものだった株式投資は、インターネットの普及に伴い、多くの人が手軽に利用できるようになりました。しかしそれは一方で、投資のプロと、投資教育を受けていない素人が同じリングで殴り合いをすることでもあるのです。
2006年のライブドアショック、2008年のリーマンショックで大きな損失を経験したトレーダーの高野譲氏は、当時若者だった平成の自分をこう振り返ります。
何も知らない若者は、お金を失うことにすら何ら抵抗がない。いや、現実を受け止めることしか為す術がなかったと言うべきだろうか。だが、持ち株の全てが上場廃止になった時、アルバイト先の廊下で一人めまいを起こしたことは、今でもハッキリと覚えている。
株券が紙切れに。まだ未来の時間が長い若者であっても資産を失う恐怖はめまいを起こしてしまうもの。これが子どもの教育資金であったり、自身の老後資金であったりしたら……。
ギャンブル的な取引に反省した高野氏は、「未来に金を投じるこの世界で、投資家が唯一コントロール可能なものが『リスク』であることを忘れてはならない」と警鐘を鳴らします。
2つのショック相場から高野氏が痛感した7つの教訓はこちら!
【株と平成と私】ライブドアショックとリーマンショックが教えてくれた真実
6日連続のストップ安──手放したいのに手放せない!
ショックは相場全体だけでなく、個別銘柄でも起こりえます。2016年、失明の可能性もある難病の治療薬開発を進めるバイオベンチャー、アキュセラ・インク<4589>に惹かれた金融会社勤務のヒロさん(仮名)。同業者も注目の銘柄だったそうです。
大手製薬会社との共同開発のもと治験は順調に進み、期待から株価は4か月であれよあれよと7倍に。しかしその期待は「開発が頓挫した」のニュースひとつで一変します。7倍にまで積みあがった株価は、わずか6日で7分の1。元に戻ってしまったのです。
当然ヒロさんも保有分を手放そうと売り注文を出すのですが、6日連続のストップ安で、まったく「売れる」気配が見えなかったそう。このとき、ヒロさんの中に渦巻いた思いは、怒りでも絶望でもなく、「噂には聞いていたけど、ストップ安ってほんとに売れないんだ」という素朴な驚きだったそう。
相場は「売りたい人」だけでは成立しないのです(もちろん「買いたい人」だけでも)。
生々しいデータ付き。ヒロさんの体験談全文はこちらから!
【株式残酷物語】アキュセラ大暴落のさなか、投資家が思ったこと・学んだこと
またもバイオベンチャー──「一撃退場」にならない極意とは?
前出の「アキュセラ事変」は2016年。もうバイオベンチャーなんてコリゴリ……という投資家ばかりかと思いきや、喉元過ぎればなんとやら、2019年1月には「サンバイオ事変」が勃発します。サンバイオ<4592>は慢性期脳梗塞の新薬を開発していました。
2018年11月頭には4,000円程度だった株価は、約3か月後の2019年1月29日の終値でおよそ3倍の11,710円まで上昇します。当時サンバイオは東証マザーズの時価総額トップ銘柄でした。
しかし残念ながらサンバイオも「新薬開発の計画未達(つまり頓挫)」。このニュース発表後、怒濤の4営業日連続のストップ安。2月5日にようやく2,440円で寄り付きました。
億を稼ぐプロトレーダーでもあり、オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」の講師を務める窪田剛氏は、このサンバイオ事変時に、メールマガジン読者に対して「3つのポイント」を伝えました。そのうちのひとつ「資金管理はしっかりと行う」を引用します。
最後に言いたいのは、やはりトレードにおいては資金管理がとても大事ということです。
これは、私が身をもってお話しできることですが、アキュセラの時に大きく損失を出しましたが、総資金に対しては大きなダメージはありませんでした。もちろん、出してはいけない損ではあったのですが、それでもすべてを失うというところからは遠いところにありました。
これは、資金管理のルールを守ってトレードをしていたからこそ。
だからこそ、その後も、トレードで稼ぐことができています。これまでも、資金管理に関しては何度も口を酸っぱくして言っていることですが、自分でも実行してきて本当に大事だと考えています。ですから、ぜひこの機会に、くどいようですが、お伝えしておきます。
アキュセラもサンバイオも、この1銘柄だけで投資家・トレーダーとしての生命を絶たれてしまったと思しき人のブログやつぶやきなどをネットで多く見かけます。「一撃退場」とならないためには、損切り(ロスカット)をはじめとした資金管理が非常に重要なのです。
プロトレーダー窪田氏が掲げる3つのポイントはこちらから!
【相場の舞台裏】サンバイオ暴落の陰で、プロが見たもの・気づいたこと
ショック相場で唯一できること
新型コロナウイルスの脅威がいつ終結するのか、そして、それによって相場はどう変わっていくのか、未来のことは誰もわかりません。
ただし、この状況下においても「資金管理」だけは今すぐに、確実にできるのです。本来であれば普段から徹底しておかないといけないことですが、ショック相場の今だからこそ、肝に銘じておきたいですね。
うがい手洗い資金管理。体と資産をきちんと守っていきましょう。