年利3%以上も! 高配当をゲットできる銘柄の間違わない探し方

かぶまど編集部
2017年6月5日 15時49分

高配当銘柄を探せ!

株式投資における利益のうち、企業が利益を株主に分配するのが「配当」です。配当ゼロという企業もあるなかで、3%を超える高配当利回りの銘柄もあります。「高配当になりがちな銘柄」にはどんな特徴があるのか、また、気をつけるべきポイントにはどんなことがあるのでしょうか。

高配当になりがちな「中小株」

まず答えから。配当利回り(配当金÷株価)が高くなりやすい銘柄のひとつは「中型・小型株」です。

東証1部に上場しているおよそ1700の銘柄について、東京証券取引所は、時価総額(株価×発行済株式総数)の大きさと流動性の高さから3つのグループに分けています。上位100位までが「大型株」、101~400位が「中型株」、それ以外が「小型株」となっています。

「大型株」にはトヨタ自動車、NTTドコモなど、日本を代表する大企業が並びます。それを考えると、中型株や小型株は、そのままでは大型株の知名度と比べて見劣りするため、「高配当にするから買って」という企業側の思惑を感じますね。

【参考記事】「トヨタを買っておけば大丈夫」ってほんと? 銘柄選びの常識・非常識

「流動性」が高くない点に要注意

この際に注意したいことは、中型・小型株は(大型株に比べて)流動性が低くなりがち、ということです。「流動性」とは、簡単に言うと「売りたいときにいつでも売れて、買いたいときにいつでも買える」ということです。

流動性は高ければ高いほどいい」のです。なぜか。流動性が高いということは「この株を買いたい」「売りたい」という人で市場がにぎわっているということ。そういう状況であれば、自分が売りたい(買いたい)価格で、ほぼ希望どおりに売買することができます。

反対に、流動性が低いとどうなるでしょうか。「この株を1500円で買いたい」と手を挙げたところで売ってくれる人がおらず、「1700円でないと買えなかった……」なんてことにもなりかねません。売るときも同様です。

【参考記事】意外とわかっていない!? 「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の違い

売りたいときに売れることが重要

中型・小型株も、その後に企業が順調に成長し、株価や知名度が上がっていけば、流動性は高くなっていきます。よって、「この銘柄は上がる!」(=企業として成長する)と期待して投資し、「5年くらいは保有し続ける」つもりならば、そのうち流動性は改善されることでしょう(もちろん「企業が成長する」という前提あっての話ですが)。

しかし、「配当目的で購入し、かつ、必ずしも長く保有するつもりではない」場合は、いつでも流動性を気にせず売買いできる大型株に比べ、中・小型株は流動性が低くなるため、売りたい価格で売れずに思わぬ不利益を被る可能性があることを忘れないようにしましょう。

「総合商社」も配当利回りが高い

大型株でも、高配当利回りになりがちな業種(セクター)があります。それは、「総合商社」です。大手3社の配当利回りは、以下のようになっています。

銘柄 株価
(2017年5月末日終値)
配当
(会社予想)
配当利回り
三井物産<8031> 1,495.5 60.00 4.01
住友商事<8053> 1,412.5 50.00 3.54
伊藤忠商事<8001> 1,573 64.00 4.06

日本を代表する商社で、おまけに高配当利回り。こんな安心な銘柄はない……と深く考えず買ってしまいそうになりますが、もちろんリスクはあります。

総合商社のリスクとは何か。それは、資源価格が下落することです。総合商社というのは、利益の半分以上を資源(鉱物、エネルギー)から得ています。これらの市況が会社の想定よりも下がると、利益も下振れることになるのです。

「配当性向」をチェックするべし

また、配当を見る場合は「配当性向」にも注目しましょう。配当性向とは、純利益(税引後利益)から配当金をどのくらい支払っているかをパーセンテージで示したものです(配当÷1株当たり純利益〔EPS〕)。したがって、配当性向の高い企業ほど「株主還元が高い」と言えます。

総合商社は配当性向が20~30%と高くないので、要するに「株主還元が低い」ということになりますが、言い換えると、「配当の余力がある」ということになります。つまり、配当が減るリスクが少ないと言うこともできるのです。

反対に、配当性向の高い銘柄は、業績の変化による配当の増減も大きくなります。つまり、多少の業績悪化であっても配当が減ってしまうリスクがある、ということです。

【参考記事】ソフトバンク孫社長は年間94億円! 配当金で儲ける投資方法

常にリスクを考える

配当を狙った投資を行う際には常に「リスクは何か?」を考えることが重要です。各企業が出している決算短信には「事業等のリスク」という項目があるので、ここを必ずチェックするようにしましょう。

このようにリスクを考えて、それを確認して、総合的に判断する……という「頭の体操」をしながら投資をする習慣をつけると、結果が思わしくなくなったときにも慌てなくて済みますし、投資家として成長することができます。

高配当銘柄を探すときの注意点

最後に、重要な注意点をひとつ紹介します。それは、配当利回りの高い銘柄を探すときに使用する「スクリーニング機能」です。

スクリーニングとは「選び出すこと」という意味ですが、会社四季報や証券会社などのウェブサイトでは、銘柄選びのために便利に使えるスクリーニング機能があります。これを使うと、3000以上ある上場銘柄から「配当利回り」「配当金」「業種」「株価」などによって、自分の希望の条件に合った銘柄だけを抽出してくれます。

しかし、こうしたスクリーニング機能で使われている配当利回りは、「前年度の配当金÷現在の株価」で算出されていることがあります。したがって前年度の配当金が高い銘柄では、その後に減配を発表→株価は下落→「見かけ」の配当利回りが高くなる、といったことが起こり得ます。

【参考記事】鍋敷きにしない『四季報』活用法 見るべきはページの“隅っこ”

その配当利回りは“まやかし”かも?

たとえば、株価1,000円で前年の配当実績が50円、つまり配当利回り5%という銘柄が、今期の予想配当を20円と発表したとします。すると、減配を嫌った投資家たちによる売りが出て、株価は800円に下落しました。このとき、今期の予想配当と現在株価をもとに計算すると、配当利回りは20円÷800円で2.5%になるはずです。

ところが、スクリーニング時に前年度の実績数値が使われていると、この銘柄の配当利回りは50円÷800円で6.25%になります。これにより、前年度より配当利回りが上がっているかのように見えてしまうのです。

こういった簡単なミスを防ぐためにも、高配当の銘柄を見つけたら必ず最新の決算短信を見て、今期の予想配当が前期実績から減っていないかどうかをチェックするようにしてください。これを知っているだけでも、知らない人に比べて有利に投資・トレードをすることができます。

損する前に知っておくべきこと

このように、株式投資をするうえで「知っておいたほうがいいこと」は、まだまだたくさんあります。株の売買で利益を上げるためには、持っておくべき知識と経験というものがあるのです。“なんとなく”売買をしていて利益を上げさせてくれるほど、甘い世界ではありません。

投資家として、トレーダーとして、マーケットについて理解をしっかりと深め、リスクとリターンを把握したうえで、大切な資金を投じるようにしてください。

[執筆者]かぶまど編集部
かぶまど編集部
無防備なまま株式市場に参加して大切なお金をなくしてしまう人をひとりでも減らしたい──そんな思いから、未来の株価や相場を予測するのではなく、過去の事例やデータといった「普遍的な事実」に焦点を当てた記事を発信します。同時に、株初心者の方や、これから株を本気で始めようとしている方にもわかりやすい解説を心がけています。
最新記事
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格など投資の最終決定は、ご自身のご判断で行っていただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証するものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等にはお答えいたしかねますので、予めご了承くださいますようお願い申し上げます。また、本コンテンツの記載内容は予告なく変更することがあります。
お知らせ
» NTTドコモのマネーポータルサイト「dメニューマネー」に記事を提供しています。
dメニューマネー
» 国際的ニュース週刊誌「Newsweek(ニューズウィーク)」日本版ウェブサイトに記事を提供しています。
ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
» ニュースアプリ「SmartNews(スマートニュース)」に配信中。「経済」「マネー」「株・投資」ジャンルから、かぶまどをチェック!
SmartNews(スマートニュース)
銘柄選びの教科書
トヨタを買って大丈夫?