キティちゃん、ラウンドワン、東京メトロ、金… 2024年相場を盛り上げた銘柄たち

かぶまど編集部
2024年12月25日 12時00分

《日経平均株価が史上初めて4万円の大台を突破し、新たな領域に足を踏み入れた2024年。夏の急落はあったものの、今年も多くの銘柄が相場をにぎわせました。2024年相場を振り返って、かぶまど執筆陣の注目銘柄をご紹介します》

祝!キティちゃん50周年

・サンリオ<8136>

世界中から愛されるスーパーアイドル、キティちゃん。2024年はデビュー50周年ということでさまざまな記念イベントが開催され、ファンだけでなくサンリオ<8136>の株価もお祭り騒ぎとなりました。

サンリオの株価が注目を集めたのは、今年2月に発表された2024年3月期の上方修正です。売上・利益ともに大幅に上方修正され、さらに、ハローキティ50周年記念配当(10円)の実施や株式分割も発表。これが好感されて株価は大きく伸びました。

好調な業績の背景には、国内外で店舗やテーマパークの客数が伸びたことに加え、アメリカや中国を中心にキャラクターライセンス事業が好調、さらにキティ以外のキャラクターの人気の高まりなど、複数の要因が挙げられます。

ここにキティ50周年記念が加わり、続いて8月に発表された第1四半期決算では、想定を上回る売上の伸びによる上方修正を発表。増配に加えて、長期保有の株主に限定グッズを贈呈する優待発表もあり、株価はさらに力強い上昇を見せます。

しかし11月、同社は株式売り出しを発表し、需給悪化の懸念から株価は大きく下落します。PERも割高で「サンリオもここまでか」と思ったのも束の間、すぐさま切り返して上場来高値を更新。「推し」の力の偉大さを感じさせる株価展開を見せたのでした。

株式投資は「推し活」と同じといわれますが、まさに、キティちゃんとサンリオがそれを体現してみせてくれた一年でした。

(選・岡田禎子個別株偏愛」)

クレーンゲームが海を渡る?

・ラウンドワン<4680>

2024年は一部のレジャー関連株もにぎわいを見せました。筆者が個人的に注目していたのはラウンドワン<4680>です。株価は2023年末から2倍超と大きく値上がりしています。

インバウンド効果やコロナ禍からの人流回復、また値上げの影響もあって業績が回復している銘柄の多いレジャー関連ですが、ラウンドワンはさらに、業態の転換や海外展開も業績を押し上げています。

そのひとつが、大規模なクレーンゲーム主体の店舗への改装を進めたことです。

クレーンゲームは自由に料金設定でき、収益性も高い事業です。300台以上を並べた世界最大級のクレーンゲームフロア「ギガクレーンゲームスタジアム」は、インバウンドも含めて人気のゾーンとなり、収益拡大に貢献しました。

アメリカをはじめ海外での事業展開も順調です。インフレの進む海外では、強気な料金設定ができることから、国内店舗よりも利益率が高くなっています。

また、アメリカの多くの郊外都市では、これまで若者向けの娯楽施設が少なかったこともあり、ボウリングやゲームコーナー、複合スポーツ「スポッチャ」などが若年層のレジャー施設として人気を博しているのです。

(選・佐々木達也高値更新を追え!」)

2024年を代表する大型IPO

・東京地下鉄<9023>

長年IPOが噂されながら、2024年10月にようやく株式上場を果たしたのが、「東京メトロ」の愛称でおなじみの東京地下鉄<9023>です。

鉄道各社は不動産などの事業多角化による成長を求める中で、東京地下鉄は実質的に鉄道部門のみで収益を上げており、ある意味で「日本最強の鉄道会社」として、10月23日、満を持してIPOに臨みました。

公開価格1200円に対して36%の上昇となる1630円の初値が付いた後、12月半ばからは初値を下回る付近での取引が続いています。

配当や優待も注目されたものの、初値付近の配当利回りは2.4%前後で、配当利回りの魅力はそれほどありませんでした。しかし、株価の下落とともに投資妙味が出てくるため、株価の底堅さに対する期待感もあります。

長くIPOが期待された後、東京地下鉄は2024年を代表する有名銘柄のIPOとなりました。初値付近での攻防の後、2025年は株価が上下どちらの方向に進むか注目されます。

(選・石井僚一IPO通信簿」)

金価格はどこまで上がる?

・三井金属鉱業<5706>

2024年も金価格は上昇を続けました。9月26日にはニューヨーク先物市場で初めて1トロイオンス2,700ドル台を突破し、今年の上昇幅は600ドル以上と過去最大になりました。

主な要因は、アメリカの利下げ、ドル離れ、経済不安です。特にアメリカの財政不安が新たな買い材料となり、金価格は株式を上回る上昇率を記録しています。

買い手は、外貨準備の多様化を進める国々、経済不安から金投資を増やす個人投資家、利下げを機に動く機関投資家に分類されます。

短期的な上昇が中心であるため、地政学的リスクや株式市場の変動が売り圧力に転じるリスクもありますが、そうした中で、分散投資の手段として金関連銘柄や金ETFが注目されました。

(選・山下耕太郎

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[執筆者]かぶまど編集部
かぶまど編集部
無防備なまま株式市場に参加して大切なお金をなくしてしまう人をひとりでも減らしたい──そんな思いから、未来の株価や相場を予測するのではなく、過去の事例やデータといった「普遍的な事実」に焦点を当てた記事を発信します。同時に、株初心者の方や、これから株を本気で始めようとしている方にもわかりやすい解説を心がけています。
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