秋の恒例イベント・日経平均の銘柄入れ替え で、株価への影響は?

株式市場で毎年秋の恒例のイベントといえば、日経平均株価の定期銘柄入れ替えです。2018年はサイバーエージェント<4751>が新規採用となり、古河機械金属<5715>が除外と発表されました。

いくつかある株価指数の銘柄入れ替えの中でも最もメジャーなこのイベントは、機関投資家、ヘッジファンド、個人投資家はもちろん、各証券会社でも事前に予想を行うなど、多くの投資家から注目されています。

日経平均株価の銘柄入れ替えとは?

日経平均株価<N225>は、日本経済新聞社が選んだ東証1部に上場する225銘柄で構成され、日本経済の景気や動向を測ることを目的に算出されます。

毎年1回、日本を代表する指数として適切な構成銘柄を維持するために「定期見直し」を行い、構成銘柄を入れ替えます。経営再編や経営破綻などで欠員が出る場合には、「臨時入れ替え」で銘柄を補填し、225銘柄を維持します。

毎年9月上旬に新規採用銘柄と除外銘柄が発表され、10月の第1営業日に実施されます。ここ数年に新規採用された銘柄と、それと入れ替わりに除外された銘柄は以下のとおりです。

2018年は9月5日の取引終了後に発表され、市場流動性の観点からサイバーエージェント<4751>を採用、業種セクター間の銘柄数の過不足調整により古河機械金属<5715>が除外となりました。そして、10月1日の算出分から入れ替えとなっています。

昨年はリクルートホールディングス<6098>と日本郵政<6178>が新規採用され、北越紀州製紙(現・北越コーポレーション<3865>)と明電舎<6508>が除外されました。

なぜ投資家注目のイベントなのか?

銘柄入れ替えは、日経平均株価に連動するインデックスファンドや株価指数先物・オプションなど影響が及ぶ取引が多く、機関投資家にとっては避けて通れないイベントです。

銘柄入れ替えに伴って、日経平均に連動するようなファンド(投資信託やETFを運用する機関投資家)は、ファンドに組み入れている銘柄を入れ替える必要があります。

採用銘柄については大量の買い注文を、除外銘柄については大量の売り注文を、実施日の前日の大引け(取引所の一日の最後の取引)のタイミングで出さなくてはなりません。なぜなら、指数と同じ値動きを実現させるために、株価の割安・割高にかかわらず機械的に淡々と行う必要があるからです。

銘柄入れ替えを狙った投資法のセオリーとは?

このような事情から、銘柄入れ替え発表により、入れ替え実施の前日の大引けに、以下が発生することが事前にわかっています。

  • 採用銘柄の場合、ファンドの大量の買い注文(インデックス買い
  • 除外銘柄の場合、ファンドの大量の売り注文(インデックス売り

ここでは、株価が割高でも割安でも関係ありません。指数(日経平均株価)に連動させるために、必然的に売り買いが行われるのです。

そこで個人投資家としては、銘柄入れ替えの発表直後に新規採用銘柄を買い、除外銘柄を売却、手元にない場合は信用取引などを利用して「空売り」を行います。そして組み入れ前日の大引けで、採用銘柄を売り、除外銘柄を買い戻します。

そうすれば、ファンドの大量売買により採用銘柄は大きく上昇し、除外銘柄は下がっているはずです。こうして、ほとんどリスクを取らずに利益を手に入れられる……というのがセオリーになります。

では、実際に2017年の入れ替え銘柄について、入れ替え前後の動きを見て見ましょう。

新規採用2社の株価への影響は?

【採用】リクルートホールディングス<6098>

採用が発表された翌日の9月6日は出来高を伴って大きく買われ、株価は2,345円(前日比+169円)まで上昇、その後も上昇基調は続きました。インデックス買いが入る9月29日は2,437円(前日比−13円)と前日比では下落となっています。

【採用】日本郵政<6178>

採用が発表された翌日の9月6日は大きく買われ、1,306円(前日比+24円)となりました。その後、上昇したものの、9月21日に1,443円の高値をつけると政府保有株の売り出しを嫌気して下落基調となりました。インデックス買いの入る9月29日には1,329円(前日比+6円)となりました。

除外2社の株価への影響は?

【除外】北越紀州製紙(現・北越コーポレーション<3865>)

外が発表された翌日の9月6日は出来高を伴って大きく売られて675円(前日比−44円)に下落しました。その後、切り返して、インデックス売りが入る9月29日は703円(前日比+6円)となりました。

【除外】明電舎<6508>

除外が発表された9月6日は出来高を伴って大きく下落し、368円(前日比−27円)となりました。その後はEV関連の出遅れ銘柄として順調に回復し、インデックス売りが入る9月29日は430円(前日比+20円)となっています。

入れ替えを狙うときの注意点

このイベントは投資家には広く知られており、様々な思惑から、必ずしもセオリー通りに株価が動くとは限りません。実際に上のチャートからもわかるように、2017年では、発表後に除外銘柄を空売りしていた場合は損失が発生しています

しかし、投資に制約のないのが個人投資家の強みです。何かイベントが起きたときの株価の動きがわかっていれば、利益をあげられる可能性は高くなります。

例えば除外銘柄は、業績などには一切関係なく、「日経平均株価の構成銘柄から除外される」というだけで、大量の売りによって株価が下落する傾向にあります。日頃から銘柄を見ている個人投資家なら、割安と判断して株価の底ですかさず買い、その後の上昇で利益を手にすることも可能です。

恒例イベントは他にも

日経平均株価の他にも、株式指数の銘柄組み替えイベントはあります。TOPIXとJPX日経400なども同様です。

  • TOPIX
    東証1部に上場している全ての銘柄の合計時価総額を対象としている指数のため、日経平均のような入れ替えではなく、企業が新規上場や他市場から昇格し、1部上場銘柄となったとき(翌月末)に組み入れられます。

  • JPX日経400
    ROEや営業利益、社外取締役の選任などを基準に「投資魅力の高い会社」400銘柄を組み入れる株式指数です。毎年8月第5営業日に入れ替え銘柄を発表し、8月最終営業日に実施されます。

日経平均株価やTOPIX、JPX日経400など株式指数に連動するETFや投資信託などの純資産残高は、日銀のETF買い入れなどもあり拡大を続けています。銘柄組み替えによる売買がもたらす影響は大きく、今後ますます注目されるでしょう。

個人投資家にとっては、利益を手にするまたとないチャンスとなるかもしれません。ぜひ今後は意識してチェックしてみてください。

【おすすめ】なぜ明日上がる銘柄がわかるのか 元手30万を数億円の利益に変えた株の秘密

2018/10/10
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秋の恒例イベント・日経平均の銘柄入れ替え で、株価への影響は?」の著者
岡田 禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。現在テレビ東京系で放送中のドラマ「インベスターZ」の脚本協力もしている。 日本証券アナリスト協会検定会員(CMA) ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
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