円高・株安から円高・株高へ 日本市場は新たな時代を迎えるか

山下耕太郎 2021/01/02

大きく動いた2020年の日経平均株価

1月17日に24,115.95円をつけていた日経平均株価は、コロナショックにより3月19日に16,358.19円まで下落。下落率は32%に達しました。しかし、世界各国の金融緩和や財政出動により、4月から6月にかけて世界の株価が上昇。日経平均株価も6月9日に23,185.85円の戻り高値をつけました。

その後も、経済再開や新型コロナワクチンへの期待でしっかりの展開。ダウ平均株価が過去最高値を更新するなどアメリカ市場がしっかりだったこともあり、日経平均株価は、11月17日に26,014.62円で取引を終了し、1991年5月14日以来、約29年半ぶりの高値を更新しました。

日経平均株価は12月に入っても堅調な展開。30日(大納会)の終値は27,444円と、2019年末に比べて3,700円あまりの上昇。年末の株価としては1989年以来、31年ぶりの高値となりました。

ただ、それでも日経平均株価の史上最高値38,957.44円にはまだ1万円以上の差があります。日経平均株価が3万円の大台を突破する日は来るのでしょうか。

日経500は9月に史上最高値を更新

日本株の強さを表しているのは、日経平均株価だけではありません。

実は、日経500種平均株価は9月に史上最高値を更新しているのです。日経500種平均株価は、日経平均株価と同じように日本経済新聞社が算出・公表している株価指数ですが、より幅広い業種や銘柄を採用しているのが特徴です(ちなみに日経平均株価は225社の平均株価)。

日経平均株価は1989年末につけた史上最高値38,957.44円に遠く及びませんが、日経500種平均株価は9月28日に2,430.70円と1989年末の2,406.47円を抜いて、31年ぶりに史上最高値を更新したのです。

この日経500種平均株価には任天堂<7974>やキーエンス<6861>、日本電産<6594>、ニトリホールディングス<9843>など、日経平均株価に採用されていない好業績銘柄が入っており、成長期待が高い銘柄を多くカバーしていることから、指数が押し上げられているのです。

史上最高値が視野に入る「ドル建て日経平均」

日経平均株価も、ドル建てで見ると景色が変わります。ドル建て日経平均とは、日経平均株価を米ドル(円)で割った値で、米ドル換算の日経平均株価になります。海外の投資家が日本株に投資するときの参考になる指標なのです。

ドル建て日経平均株価は12月17日に260.17ドルと、心理的な節目である260ドルを一時上回りました。1989年末の史上最高値は約272ドルなので、史上最高値更新も視野に入ります。

日経平均株価は、12月17日時点で13%程度の上昇なのに対し、ドル建て日経平均株価は約20%上昇。2019年末時点で109円程度だったドル円相場が103円まで上昇したことが、ドル建て日経平均株価の好調につながっているのです。

ドル円相場と株価の関係が変わる?

これまで円高が進むと日経平均株価は下がる傾向にありました。しかし、2020年は円高が進んでも日経平均株価は上昇しました。もちろん、為替要因だけで株価が動くわけではありませんが、ドル円と日経平均株価の相関関係は低下していることは確かでしょう。

相関関係が低下している理由の1つは、企業業績の為替感応度の低下。2008年のリーマンショックを契機に、日本の輸出企業は為替の影響を減らすために現地生産を進めてきました。

そして2つ目は、世界中で進む低金利です。かつては日本だけが低金利政策を取っていましたが、コロナ禍以降は主要国の中央銀行が低金利政策を進めています。以前なら低金利の円を調達して海外資産に投資する「円キャリー・トレード」が積極的におこなわれてきましたが、最近は減っています。

(参考記事)為替が動けば株価はどう動く? 円高と日経平均株価の意外な関係とは

円キャリー・トレードの取引残高が大きければ、投資家がリスク回避する「リスクオフ」のときにはその巻き戻しで株安と円高が同時に進行していましたが、アメリカもゼロ金利政策を進めている中で、こうした動きがなくなってきているのです。

1990年代後半は円高・株高の時代

2020年は円高・株高が進みましたが、このような構図は今回が初めてではありません。2000年代に入るまでは、円高・株高が何回か起きているのです。

たとえば、1997~98年は日本が金融危機を乗り越え、日本経済の回復を期待した外国人投資家の日本株買いによって、円高と株高が進みました。そして日経平均株価は、1999年の春から1年ほどかけ13,000円台から2万円の大台に乗せたのです。ドル円相場も、120円台から102円まで上昇しました。

日経平均株価は3万円に届くか

今回も新型コロナのワクチンへの開発期待が高まる中、欧米に比べて新型コロナウイルスが抑制されている日本にマネーが流れ込む可能性もあります。リスクオンの株高が進み、ドル建てが史上最高値の272ドルを超えてくれば、2021年に日経平均株価も3万円の大台が視野に入るでしょう。

ただし、日本企業の為替感応度が低下しているといっても、1ドル100円を突破すれば投資家は警戒感を強めるかもしれません。100円を超える円高となっても日経平均がしっかりの展開なのか、はたまた外国人投資家の日本株への買いは続くのか。

2021年の日経平均株価は、こうしたドル円相場とドル建て日経平均の推移もにらみながらの展開になると考えられます。個人投資家としても幅広い視野を持って、その行方を注視しましょう。

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[執筆者]山下耕太郎
山下耕太郎
[やました・こうたろう]一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴20年以上。現在は、日経225先物・オプションを中心に、現物株・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。趣味は、ウィンドサーフィン。ツイッター@yanta2011 先物オプション奮闘日誌 株窓アワード2020大賞
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