北朝鮮のミサイル発射で株価と為替への影響は? チャートから見えてきたもの

網代奈都子
2017年9月12日 8時00分

ミサイル発射で株価はどうなる?

2017年に入ってから、すでに13回も発射された北朝鮮のミサイル(9月10日時点)。さらに9月3日には核実験……。日本は北朝鮮の隣国ですし、ミサイルが上空を通過したこともあります。こうした北朝鮮の動向は、日本の株価や為替にどう影響するのでしょうか?

直後の値動きをチャートで確認

まずは全14回のミサイル発射+核実験の、前後1週間ほどの日経平均株価とドル円相場のチャートを、一気に見てみましょう。

・2017年2月12日(日曜日)前後のチャート

日経平均株価

ドル円相場

・2017年3月6日(月曜日)前後のチャート

日経平均株価

ドル円相場

・2017年3月22日(水曜日)前後のチャート

日経平均株価

ドル円相場

・2017年4月5日(水曜日)前後のチャート

日経平均株価

ドル円相場

・2017年4月16日(日曜日)前後のチャート

日経平均株価

ドル円相場

・2017年4月29日(祝日)前後のチャート

日経平均株価

ドル円相場

・2017年5月14日(日曜日)前後のチャート

日経平均株価

ドル円相場

・2017年5月21日(日曜日)前後のチャート

日経平均株価

ドル円相場

・2017年5月29日(月曜日)前後のチャート

日経平均株価

ドル円相場

・2017年7月4日(火曜日)前後のチャート

日経平均株価

ドル円相場

・2017年7月28日(金曜日)前後のチャート

日経平均株価

ドル円相場

・2017年8月26日(土曜日)&29日(火曜日)前後のチャート

日経平均株価

ドル円相場

・2017年9月3日(日曜日)前後のチャート

日経平均株価

ドル円相場
 

後付けの意見よりも「事実」に着目しよう

こうしてチャートを見てみると、ミサイル発射の後に円高・株安になったこともあれば、反対のケースもある……といった状況で判断に迷います。そこで、「為替王子」こと川島寛貴さん(*)に解説してもらいました。

──北朝鮮のミサイル発射や核実験は、日本の株価へはどう影響するのでしょうか?

川島:専門家のいろいろな分析や推測がありますが、まずは事実として数値を見ていくことをオススメします。「『安全資産』である円が買われて〜」とか「地政学リスクを懸念して〜」などと言われますが、結局のところ、後付けの理由が多いですからね。

13回のミサイル発射と1度の核実験、この14回で日経平均と為替(ドル円)がどう変わったか、まずは確率で見てみましょう(土日の場合は、先週終値と月曜始値の比較)。

■日経平均株価(日足)
前営業日より下落したケース:14回中9回(64%)
前営業日より上昇したケース:14回中5回(36%)

■ドル円相場(日足)
前営業日より円高になったケース:14回中9回(64%)
前営業日より円安になったケース:14回中1回(7%)
前営業日と変動のなかったケース:14回中4回(29%)

──日経平均は下落、ドル円は円高になるのがともに64%ですが、64%だと「高確率でそうなる」とは決して言えないですよね。

川島:この数値をどう感じられるかは人それぞれだと思いますが、統計的には「偏りが顕著に見られるわけではない」程度かと思います。

ちなみに、全14回の曜日を平日と土日で分けると、いずれも7回ずつ(各50%)でした。株式や為替の市場は土日がお休みですよね。そして、ドル円の「変動のなかったケース」では、4分の3が土日の発射を受けて、金曜の終値と月曜の始値の比較した結果になります。

ただし、5月29日(日本の排他的経済水域にミサイルが落下)以降の6件に絞ると、違った見方ができます。同様に、確率を見てみましょう(土日の場合は、先週終値と月曜始値の比較)。

■日経平均株価(日足)
前営業日より下落したケース:6回中6回(100%)
前営業日より上昇したケース:6回中0回(0%)

■ドル円相場(日足)
前営業日より円高になったケース:6回中6回(100%)
前営業日より円安になったケース:6回中0回(0%)

ご覧のように、「日経平均の下落」「円高」ともに100%という結果になりました。

日本経済新聞の記事では、「市場は米朝の軍事衝突が起きることを現実的には捉えていない」というアナリストのコメントもありましたが、実際には、マーケットの変化が数値として見てとれます。市場はその脅威に慣れる(もしくは現実的にはあり得ないと無視する)のではなく、神経質になってきているのかもしれません。

では、なぜ北朝鮮に近いところに位置する日本の通貨(円)が買われるのかと言えば、それくらい円が「安全資産」だとみなされている、という説明をするのが簡単かもしれません。

しかしながら実際は、アルゴリズムトレードで自動的に円が買われたり、円を買い戻す動きがあったりすることなども、大きな要因になっていると考えられます。ひとつ確かなことは、「動いたほうに過剰に動く」ということでしょうか。

予測できなくても確認はできる

──投資やトレードを行うにあたって、わたしたち個人投資家はどのようなことに注意すればいいでしょうか?

川島:ミサイル発射や核実験は予測できませんが、それに対する市場の反応は、このようにデータとして蓄積されます。データは嘘をつきません。ですから、いろいろな専門家の意見や「定説」と言われていることに振り回されるのではなく、きちんと自分の目でデータを確かめてみることが大切です。

株の世界に「絶対」はありません。ただ、ミサイル発射のように予測不能なことであっても、過去のチャートを見れば、わかってくることもあるのです。そうした傾向をもとに投資判断をするべきであり、再現性のない一発狙いは、「投資」でも「トレード」でもありません。


川島寛貴:「みんなの株式(みんかぶ)」創業メンバーとして、多くの億トレーダーやアナリストから豊富な知識とテクニックを吸収。投資アドバイザーとしてセミナー講師などもこなす、通称「為替王子」。「ワールドビジネスサテライト(WBS)」、「よるべん」(TBS)、日経CNBCほかメディア出演多数。

[執筆者]網代奈都子
[あじろ・なつこ]30代OL。仕事のかたわらトレードを行っており、そのスキルを磨くべく日々勉強中。目下の目標は年間の利益100万円。安定した利益を出し、ペット可物件に引っ越すのが夢。 かぶまどアワード2021SNS賞
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