いま人気の株を「一目で見分ける」ことができるたったひとつの方法(前編)

岡田禎子 2021/01/29

みんなはどの株を買っているのか?

株式投資を始めたばかりの人にとって最大の悩みは、「どの銘柄を買ったらいいかわからない」ということでしょう。そこで気になるのが、「みんなは何を買っているのか?」ということ。

なぜなら、たくさんの人が買っているということは人気銘柄であり、つまりは株価も上がっていく(はず)だからです。ひょっとして、みんなは知っているのに自分だけが知らない優良銘柄があるのかも……そんな不安に陥って、あれこれと情報収集に励んでいる人もいるかもしれません。

でも実は、いま株式市場で人気の銘柄は、誰でも簡単に知ることができます。しかも、たった一目で。

これは、2021年1月28日の「人気銘柄ランキング」のトップ10です。表のいちばん右の欄にある「出来高(できだか)」こそ、いま株式市場で人気を集めている銘柄を見分けることができる、まるで〝魔法〟のような数字です。

と言っても、出来高は決して特別なデータではありませんし、株式に関する情報を見ていれば、必ず目に入っているでしょう。でも、この出来高を自分の銘柄選びや売買のタイミングを計るためのツールとして、ちゃんと活用できていない人も多いように思います。

出来高は、その銘柄の人気度を表すだけでなく、売買を行う場合に参考となる重要な指標でもあります。意外と知られていない出来高の基本から活用法までを解説します。

出来高は取引された株数を表す

出来高は「売買高(ばいばいだか)」とも呼ばれ、その株が売買された取引量を表しています。

株式の取引では、売り手が売りたい株数と希望価格、買い手が買いたい株数と希望価格とが合致してはじめて取引が成立します。この数を表したのが出来高です。

たとえば、A社の株を500株、1,000円で売りたい人がいるとします。そこに、同じA社の株を500株、1,000円で買いたい人が現れて、両者が出会うことで「500株を1,000円で売買」という取引が成立します。このときの出来高は「500株」です。

したがって、上の人気銘柄ランキングに載っている出来高の単位も「株」となります。1位の三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>であれば、この1日で6221万1900株分の取引が成立したということです(ちなみに、この日の東京証券取引所全体の出来高は24億9235万6000株でした)。

こうした出来高のデータは、ヤフーファイナンスなどの情報サイトでもランキングで掲載されていますし、東証を有する日本取引所グループJPX)のホームページでも詳しいデータを見ることができます。なお、JPXでは出来高のことを売買高と表記しています。

(参照)売買高・売買代金等 | 日本取引所グループ – 東京証券取引所

買われた株=売られた株

出来高によって人気の銘柄がわかるのであれば、ランキング上位の銘柄を買えばいいんだ! みんなが買っているということは「いい株」なのだろうし、きっと株価も上がっていくに違いない……と思うかもしれませんが、話はそんなに単純ではありません。

上で説明したように、出来高は取引が成立した株数です。そして、取引というのは売り手の希望と買い手の希望が合致することで成立します。つまり、出来高は「買われた株数」であると同時に「売られた株数」でもあるわけです。

言い換えると、「買いたい人」が多くて出来高が伸びているのかもしれないけれど、それと同時に、「売りたい人」が多くて出来高が大きくなっている可能性もある、ということです。

もちろん、取引が成立している以上、買った人がいることは確かです。ただし、それは言ってみれば「叩き売り」のバーゲンセールに多くの人が群がった状態なのかもしれません。

出来高は株式市場の人気を知ることのできる重要な指標ですが、その人気の理由は必ずしも「いい株だから」とは限らないことを理解しておきましょう。

(編集部注:みんなが売りたい場面で、なぜあえて買おうとする人がいるのか。その謎については、あの暴落の舞台裏をプロトレーダーの視点で検証した記事が参考になるかもしれません)

出来高から「買うべき銘柄」を選ぶには

では、出来高を銘柄選びや売買に活用するにはどうすればいいでしょうか。それには、ランキングではなく個別の銘柄の人気度の移り変わりを見る必要があります。

ヤフーファイナンスなどで株価チャートを見たとき、ローソク足チャートの下に棒グラフがありますよね。あれが、その銘柄の出来高の推移です。取引された株数を時間別に並べて、その数が増えたり減ったりする経緯を確認するのです。

この「株の窓口」のチャートでは、ローソク足の後ろ側にある黄色い棒グラフが出来高を表しています。

出来高が急激に増えた銘柄は要チェック

出来高の推移を見る際に重要なポイントとなるのは、「その数が急激に増えたとき」です。

もともと出来高は一日ごとの推移で比較するのが一般的で、ヤフーファイナンスなどでは「出来高増加率」と「出来高減少率」のランキングも掲載されています。

(参照)ヤフーファイナンスの出来高増加率出来高減少率

実際、出来高というのは、日々増えたり減ったりを繰り返しています。それが、ある日突然、出来高が急に増えることがあります。こうした急激な出来高の増加は、何らかの理由で投資家の間でその銘柄が人気となり、取引が活発化したことを意味します。

では、一体どんなときに人気度が上がり、出来高が増えるのでしょうか。たとえば、こんな状況を考えてみましょう。

  • 著名人が履いていた某ブランドのシューズがSNSなどで注目を集め、急にオークションサイトで活発に取引され始める
  • 100個、200個と高値で飛ぶように売れ出すと、SNSでさらに話題が広がり、市場がどんどんヒートアップ
  • それに伴ってますます取引が活発になり、出来高が大きく伸びていく

株式市場で出来高が急増するのも、これと同じこと。株式相場ではよく「相場のエネルギー」という言葉を使いますが、これは、まさに相場のエネルギーが高まった状態と言えます。エネルギーが高まれば高まるほど、出来高の棒グラフもグングンと上に伸びていきます。

出来高は投資家心理を映す鏡

このように、銘柄への注目が一気に高まることによって取引が活発になり、出来高も急増することになります。ただし、出来高は、単に取引量を表すだけの存在ではありません。実は、出来高の推移には「投資家の心理」が如実に映し出されているとも言われているのです。

先ほどの話題のブランドシューズで考えてみましょう。今度は、自分がそのオークションに参加していたら……と想像してみてください。

  • SNSで見かけた著名人のシューズが欲しくなり、オークションサイトをのぞいたあなた。そこには大勢の閲覧者がいて、どんどん取引されている様子を目の当たりにする
  • 取引価格は、1万円、1万5,000円……と目の前でどんどん上がっていく
  • 「マズい、早く買わないと……」と焦る気持ちが芽生えたあなた。買うつもりだった値段よりも高くなってしまったけれど、「ええい、買っちゃえ!」と購入ボタンを押してしまう

こんな状況に心当たりがある人も多いでしょうが、これが人間の心理というものですよね。

そして、オークション(株式取引)の参加者が増えれば増えるほど、同じように考える人も増えていきます。買い注文がどんどん増えて相場のエネルギーが高まり、その結果として、取引価格(株価)も押し上げられていくのです。

出来高急増は株価が動き出す合図

出来高は、株式市場における「人気度」を表すと同時に「投資家の心理」をもあからさまに映し出します。また、出来高の急増は相場のエネルギーが高まっているということに他なりませんから、それは「いずれ株価が大きく動き出すシグナル」だとも言えます。

ただし、出来高が急増したからと言って、必ずしも株価が上昇するわけではありません。そこで考えなくてはいけないのは、出来高急増の向こう側、つまり、「なぜ出来高が急激に増えたのか?」ということです。それには大きく2つの理由が考えられるのですが……。

それについては「後編」で、コロナ禍の2020年に実際に出来高が大きく増えた、人気テーマの2銘柄を例にとりながら、詳しく解説したいと思います。

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[執筆者]岡田禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP) 株窓アワード2020
 
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