9月の株価はどうなる? 上がる日・下がる日の傾向と連勝への期待
銘柄よりも大事な「タイミング」
株は「いつ」購入すればいいのか? 年間で見たら大幅にプラスとなった銘柄でも、買うタイミングが悪ければ大損になってしまうことも。そんな悔し〜い経験をしたことがある方もおおいのではないでしょうか?
悩ましいタイミングを見極めるひとつの参考になる(かもしれない)のが、一年366日の日経平均株価の「騰落率」です。
戦後に東京証券取引所が再開された1949年5月16日から現在までの、毎日の日経平均株価の日付別の上昇確率を計算したもので、平たく言えば、「この日付の日経平均株価は前日より上がったか下がったか」を1949年から累計したデータです。
それぞれの日付において、株価が前日より上がった場合を「勝ち」、前日より下がった場合を「負け」として、その勝率(上昇する確率)が算出されています。
〈参考記事〉その株、いつ買えばいいの? 一年で最も上がる日・下がる日からわかったこと
長年のデータから、9月のベストな買い時・売り時を探してみましょう!
これが9月の最も上がる日・下がる日だ!
日経平均株価の騰落率は、日経平均株価の様々なデータを紹介するサイト「日経平均プロフィル」で確認することができます。これによると、9月の30日のうちで騰落率が最も高いのは「13日」の66.07%で、最も低いのは「4日」の33.33%(データは2021年8月現在)。
それでは、日別の騰落率を2021年9月のカレンダーに当てはめてみましょう。
ついに初の「10日連続」の上昇あり!
4月からのシリーズ企画として毎月この騰落率を調べてきましたが、9月はこの6か月で「初」となるうれしい事態があるようです。なんと「8日」から「17日」まで、10日連続で騰落率が50%以上をキープしているのです。つまり、10日連続で上がる(確率が高い)ということ。
これまでの月でも連続上昇はありましたが、長くても5日程度でした。それが一気に2倍の10日連続! さすが9月は収穫の季節、ということなのでしょうか。特に「12日」から「15日」の4日間は騰落率が55%以上となっており、さらにアツいことになっています。
また、4〜8月にかけては「月の最後の5日は堅い」という傾向が続いていたのですが、9月の最終5日間を見ると騰落率50%を下回る日が2日あって、3勝2敗。「最後の5日は堅い」とは言いがたい感じになってきましたが、引き続き、来月以降も着目したいと思います。
ちなみに、9月において騰落率が30%台(=下がる確率が70〜80%)の「かなり売り優勢な警戒日」は2日(「4日」と「26日」)。これまでは、4月が0日、5月が3日、6月が1日、7月が3日(現時点で最多)、8月は1日でした。
過去3年の9月の日経平均株価の推移
9月相場は、怒濤の「10連続上昇デー」という一大トレンドがあるものの、4月から比較的顕著な傾向であった「最後の5日は堅い」の法則が崩れてしまいました。ということは、これまでの5か月間とは相場の様相も変わってくるのでしょうか。
9月の騰落率を踏まえた上で、過去3年の9月の日経平均株価の推移を振り返ってみましょう。
2019年と2018年は中旬あたりからきれいな右肩上がりとなっており、騰落率のデータどおりと言えそうです。それに対して2020年は、コロナ禍ということもあってか、ひと月を通して株価が上下し、月末には大きく下げています。
9月の最も上がる日・最も下がる日は、どんな日?
9月の「最も上がる日(前日に買っておけばウハウハ?)」と「最も下がる日(前日に売っておけばウハウハ?)」について、もう少し詳しく見てみましょう。
【トップ】9月13日(37勝19負0分)
9月で最も上がる確率が高いのは、怒濤の10連勝(騰落率50%以上が連続10日)の中盤にあたる9月13日。騰落率は66.07%で、1949年以降の勝ち負けは37勝19負0分です。
2021年の9月13日は月曜日で、週の始めとなることから様子見となるのか、それとものっけから飛ばすのか、楽しみです。
[この日、何の日?]
- プログラマーの日……この日は一年の256日目。データは8ビット(1バイト)単位で処理されますが、1ビットでは「0か1か」のみを表現します。よって、8ビットで表現できるデータの数は2の8乗の「256種類」。256という数字はパソコン好きにとってはちょっと特別な数字なんですね。なお、この日を定めたのはロシア情報技術・通信省だそうです。
なお、令和の時代ではギガバイトのデータをやりとりすることも一般的になってきましたが、1ギガバイト(GB)は1,000,000,000バイト。とどのつまり、データとは0と1の組み合わせなのです。
【最下位】9月4日(19勝38負0分)
9月で最も上がる確率が低い(=下がる確率が高い)のは、4日の騰落率33.33%です。戦後に取引のあった計57日分の勝敗は19勝38負0分、つまりは約67%の確率で下がるということになります。
3回に2回は下がるので、結構カタめの「売ったらイケそうデー」ではあるのですが、2021年の9月4日は土曜日で相場はお休みでした。
[この日、何の日?]
- くしの日……髪を梳く櫛の日でもあるし、食べ物などを刺す串の日でもあります。由来はもちろん語呂合わせ。個人的には、串といえば串カツ田中ホールディングス<3547>。コロナが直撃して大変しんどい状況下にある外食産業ですが、明るい兆しは見えるでしょうか……?
機関投資家の売りにも要注意
7〜9月の株式市場は「夏枯れ相場」と呼ばれていますが、7月8月ほどにはノンビリもしていられなくなってくるのが9月です。というのも、日本の上場企業の大半は3月期決算。9月は上期(中間決算)の締めにあたる月なのです。
上場企業は、「売上高」が当初予定から10%以上、「経常利益」「当期純利益」の場合は当初予定から概ね30%以上、それぞれ増減することが判明した時点で、業績予想を修正する必要があります(実際はより細かい条件があるのですが、ここではざっくりとした目安にとどめています)。
思いがけない上方修正・下方修正によって、株価にも影響が出るケースもあるかもしれません。ただし、業績修正が「発表」されるのは、中間決算を締めたあとの10月に入ってからのほうが多くなります。
企業と同様に、投資信託などの機関投資家は、前半戦の運用結果を投資家に報告する必要があります。この先の解約につながり兼ねないため、ここで良好な運用成績を涼しい顔で出せないとマズいわけです。
そこで、9月末時点での運用成績の「映え」を狙って、手持ちの株の中で利益が出るものを売って数字を「盛る」傾向もあるとか。この動きによって売りが優勢になることから、9月は下がりやすい傾向にあるとも言われます。月末の騰落率が良くないのも、これが要因なのかもしれません。
思惑が乱れ飛ぶ秋の空
騰落率で注目すると中旬に「10連フィーバー」がありますが、一方、世界的な動向を見ると欧米の投資家たちは依然バカンスを愉しみつつも、3月期決算のが多い日本では「上期の締めくくり」であり、機関投資家も「映え」を狙う……
暦の上ではすでに秋を迎え、高くなった空に様々な思惑が行き交うのが9月の株式市場のようです。収穫を焦ることなく、地道に相場に挑みたいですね。