株で勝てない人の共通点 「一流の投資家」の条件をファンドマネージャーが指南

朋川雅紀
最終更新日:2021-09-10 公開日:2021-08-18

《株で勝てる人と勝てない人は一体どこが違うのか? 30年以上の実績をもつファンドマネージャーは、どちらにも「共通点」があると言います。継続して株で稼ぐ「一流の投資家」になるための条件とは?》

一流の投資家、二流の投資家

私は長年ファンドマネージャーとして株式運用に従事してきましたが、最初からうまく儲けられたわけではありません。今でこそ、個人投資家としても高いリターンをコンスタントに取れるようになりましたが、昔はそんなことはありませんでした。大きな失敗をしたこともあります。

昔の自分と今の自分、一体何が違うのか? このことを考えてみたときに気づいたことがあります。

昔の自分は、ITバブルでハイテク株が上昇したときに、過度にハイテク株を多く組み入れ、ITバブル崩壊時には多額の損失を出してしまいました。その後、株価が底を打ち、上昇局面になってもリスクが取れず、マーケットの上昇についていけませんでした。

ITバブルの例だけではありません。ろくに調査や分析をせず、直近の業績が好調な企業に飛び乗って、根拠も持たずに、その好調な業績がずっと続くことを期待していたこともありました。

ところがその後、期待に反して業績が悪化し大きな損失を抱えてしまうと、次第に含み損のある銘柄ばかりに気を取られるようになり、さらに含み損が大きくなってしまうとその苦痛に耐えられなくなり、楽になりたいという理由だけでその株を売却してしまいました。

これに近いような経験をされた方も少なくないと思います。

株で儲けられない人の共通点

私の体験談からもわかるように、昔の自分のような、つまり株で儲けられない人(=二流の投資家)にはいくつかの共通点があります。

まずは、攻撃あるいは防御一辺倒であるという性質です。わかりやすくいうと、状況をわきまえずに攻めに出たり、逆にチャンスがあっても攻められなかったりする性質です。

そして、市場サイクルや株価評価(あるいはテクニカル分析)を完全に無視してしまうという性質です。目先で上がりそうな人気銘柄に飛びつき、上がってくれとひたすら祈ります。祈ってうまくいけば、こんな楽なことはありません。

さらに、個々の銘柄だけに目が移ってしまい、保有している銘柄全体(ポートフォリオ)で投資を考えられない性質です。損が出た銘柄については、ずっと放置しておいて、最後に投げ売りをします。

株で儲けられる人の共通点

一方、株で儲けられる人(=一流の投資家)はどうかというと、攻守の切り替えがうまく、「ここぞ!」というとき(たとえば相場が下落し、相場全体が悲観ムードで支配されているとき)には攻めに出て、引くべきとき(相場全体が楽観ムードで支配されているとき)にはしっかり引くことができます。

むしろ、相場の局面に関係なく、いつも「攻守のバランス」を考えています。

また、一流の投資家は、数年後の株価のイメージをしっかり描くことができます。リスク要因も事前に把握しています。損が出た銘柄については、株価が下がった理由を分析し、損が出るか出ないかに関係なく、必要な売却は行うことができます。

そして、何が間違っていたのかを深く考え、反省し、その失敗を教訓に変えることができます。したがって、同じ失敗を繰り返しません。同じ失敗を何度も繰り返す二流の投資家とは対照的です。

【一流の投資家】

  • 攻守をうまく切り替えて、攻めるときは攻めに出て、引くべきときは引く
  • 相場局面にかかわらず「攻守のバランス」を考える
  • リスクを事前に把握し、損失にかかわらず、必要な売却を実行する
  • 失敗の要因をしっかりと分析し、同じ失敗を繰り返さない

【二流の投資家】

  • どんなときも攻撃一辺倒、あるいは、どんなときも防御一辺倒
  • 市場サイクルや株価評価・テクニカル分析よりも、目先の人気銘柄に飛びつく
  • 個々の銘柄ばかりを追いかけて、ポートフォリオ全体に目が向かない
  • 損失が出たらとりあえず塩漬けにして、最後に投げ売り

一流の投資家になるために

一流の投資家は、自分の能力を自覚し、自分には何ができて、何ができないかを知っています。さらに、自分は間違えることがあるということを前提に、投資行動をしています。

かつてサッカー日本代表の監督だったイビチャ・オシム氏は、就任直後に「日本人は自分たちがトップの仲間だと勘違いしている。『できる』サッカーと『やろうとしている』サッカーのギャップがありすぎる」という発言をしました。

この発言の中の「サッカー」の部分を「投資」に置き換えると、耳の痛い投資家も多いのでないでしょうか。

「木」と「森」を同時に見る

一流の投資家は、「木」と「森」の両方を同時に見ることができます。リスクを抑えて、安定的にリターンを狙うのであれば、個々の銘柄──「木」──ばかりではなく、その組み合わせ(ポートフォリオ)──「森」──も同時に考えるべきです。

まずは、攻守のバランスを保つことが基本です。バランス感覚は投資をやるうえでとても重要です。ノーガードで打ちまくればKOのチャンスは増えますが、同時に、KOされるリスクも増えます。そのことを肝に銘じる必要があります。

もちろん、ここが勝負と見たときには、リスクを覚悟で積極的に攻めるのも悪くはないですが、これは株式投資の上級者がやることで、投資経験のあまりない人がやるのはお勧めできません。

個々の銘柄でいくら儲けるかではなく、ポートフォリオとしていくら儲けるのか、と考えることが重要です。つまり、資産がいくら増えるかという発想です。20%落ちる銘柄があっても、50%上がる銘柄があればよいわけです。

自分の中にも「木」と「森」を

私自身は、自分の資産がジェットコースターのように上下するのが耐えられないので、「分散投資」を心掛けています。

私自身の苦い体験をお話ししましょう。先ほどもお話ししたように、私はITバブルの崩壊で大きな痛手を受けました。「バブルには乗れ!」というのが私のポリシーで、そのまま乗ったはよいものの、そのときは降り時を誤ってしまったのです。プロとしてのプライド、自信が大きく崩れ落ちました。

この経験以来、私は分散投資を強く意識するようになったのです。現在は、当時よりも投資スキルが向上したこともあって、局面を見極めて集中投資へ傾斜することはありますが、いかなるときでも最低限の分散は維持しています。

「森」と「木」という発想は、投資に対する心構えのようなものにも当てはめることができます。かなり感覚的な話ではありますが、投資をするときは、実際に投資をしている自分──「木」──と、それを冷めた目で見ているもう一人の自分──「森」──が同時に存在することが重要だと思います。

特定の企業を気に入って投資をすることも多いでしょう。それ自体は問題ではありませんが、あまりにも思い入れが強過ぎると、冷静な判断ができなくなり、それが失敗につながることも往々にしてあります。だからこそ、いつも冷めた目で見る「もう一人の自分」を意識することをお勧めします。

自分の投資スタイルを持とう

一流の投資家は、独自の投資スタイルを持っているという特徴もあります。「どの銘柄を選ぶか」は、投資スタイルによっても違ってきます。人それぞれ性格が違うように、投資スタイルも違って当然です。

そうは言っても、最初から自分独自のスタイルを持てる人はいません。まだ投資を始めて間もない方は、誰かの考えを真似ることから始めるのもいいでしょう。著名な投資家の本などから自分が共感できる投資スタイルを見つけ、それを真似するのです。独自色は、追々出していけばよいと思います。

継続的に結果が出せれば何でもあり

野球で言うと、ピッチャーの投球フォームのようなものです。メジャーリーグで大活躍中の大谷翔平投手(ロサンゼルス・エンゼルス)のようにダイナミックに上から投げ降ろす方法もあれば、阪神タイガースのエース・青柳晃洋投手のようにサイドや下から投げる方法もあります。

どちらの方法が優れているかは一概には言えません。重要なことは、「継続的に結果を出せるかどうか」です。別の言い方をすれば、継続的に結果が出せるなら何でもあり、ということです。

青柳投手も、いきなりあの投げ方になったわけではなく、試行錯誤の中で生まれたはずです。監督やコーチなどのアドバイスも大きかったのではないでしょうか。結果を出せるようになるには、自分の能力や実力を客観的に知ることも必要です。

また、他人のスタイルはあくまでも他人のものなので、それを真似てうまくいく保証はありません。したがって、いきなり大金を注ぎ込むようなことはせず、少しずつ試していくことが大切です。

バフェットを真似てもうまくいかない理由

自分の投資スタイルに納得できるかどうかも重要なポイントです。それを信じることができるかどうか、と言っていいかもしれません。

たとえば、私はウォーレン・バフェット氏の投資哲学・スタイルのすべてに共感を持つことはありません。参考にすべき点は多くありますが、私の投資スタイルとは違います。一方、ピーター・リンチ氏の投資哲学・スタイルにはかなりの部分で共感を持てますが、決して100%受け入れることはできません。

カリスマ投資家に向かって偉そうに聞こえるかもしれませんが、納得できないものはどうしても受け入れることはできないのです。それに、自分が納得できないやり方をどんなに続けても、継続的な結果に結びつくことはありません。

誰かを真似る場合でも、自分が納得できるスタイルから選んだほうがいいですし、やっていく中で納得ができない部分があれば、そこを修正していくことで、納得感を持ちながら結果の出る独自スタイルを見つけていくといいのではないでしょうか。

投資スタイルに正解はない

継続的に株で儲けられる「一流の投資家」になるには、自分だけの投資スタイルが欠かせません。今すぐには持てなくても、じっくり勉強しながら、自分が納得できる投資スタイルを確立していきましょう。

ご参考までに、私の投資スタイルの基本は「長期国際分散投資」で、銘柄選択の考え方は「GARP(=Growth At Reasonable Price)」です。

これは、企業の成長性を重視しつつも、実際の購入には株価の割安さ度合いも考慮するスタイルです。極端に高成長銘柄に偏ったポートフォリオを構築して失敗した経験をもとに、高成長株と安定成長株をバランスよく持つポートフォリオへ変化して、このスタイルに至りました。

投資スタイルに唯一絶対のものがあるわけではありません。結果が出せて、自分が納得できる(=理にかなっている)投資スタイルをぜひ見つけてください。

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[執筆者]朋川雅紀
[ともかわ・まさき]個人投資家・株式投資研究家。大手信託銀行やグローバル展開するアメリカ系資産運用会社等で、30年以上にわたり資産運用業務に従事。株式ファンドマネージャーとして、年金基金や投資信託の運用にあたる。その経験を生かし、株価サイクル分析と業種・銘柄分析を融合させた独自の投資スタイルを確立する。ニューヨーク駐在経験があり、特にアメリカ株式投資に強み。慶応義塾大学経済学部卒業。海外MBAのほか、国際的な投資プロフェッショナル資格であるCFA協会認定証券アナリストを取得。著書に『みんなが勝てる株式投資』(パンローリング)がある。
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