株価はこの先どうなる? 初心者が見落としがちな、株価の「3つのトレンド」とは?

岡田禎子
2022年2月22日 17時30分

株価の動きを知るのは簡単?

株式投資になかなか一歩を踏み出せない人がよく挙げる理由として、「株価が将来どうなるのかわからない」という最大の壁があります。どうなるかわからないところに大切なお金を投資するなんて、考えただけでも恐ろしい……そんな声をよく聞きます。

たしかに、株価がこの先どうなるのかは、誰にもわかりません。でも、だからと言って「真っ暗闇の中に飛び込んでいけ!」と言われているわけではありません。霧の中にもわずかに進むべき道が見えるように、この先どうなりそうか、ある程度までは見通すことができるのです。

株価は「上がる」「下がる」、それと…

実は、株価の動きには3つのパターンしかありません。言い換えると、株価がこの先「どうなるか?」の答えは、三択だということです。その3つさえ押さえてしまえば、「この先どうなるんだろう」という不安とは、もうオサラバできます。

上へ下へと小さな(時には大きな)山と谷を作りながら、刻々と変化していく株価。でも、その動きをひもといてみれば、たった3つであることがわかります。

それは「上昇(上がる)」「下降・下落(下がる)」「横ばい(変わらない)」です。たとえば…

  • 新薬が承認されたと発表して、株価が大きく「上昇
  • 前年比で売上が大きくダウンし、株価も「下落
  • 株価に影響を与える材料が出るまで、当面「横ばい」 が続く

言われてみれば当然なのですが、この事実を忘れてしまっている人も多いのではないでしょうか。だからこそ、「この先どうなるかわからない」と心配になるわけですが、株価の向かう先は常に「上がるか、下がるか、横ばいか」しかないのです。

株価は「3つのトレンド」で推移する

そして、株価がこれら3つのどれか一方向に大きく流れることを「トレンド」と言います。引き続き上がっていく場合は「上昇トレンド」、下がり続ける場合は「下降トレンド」、上がりも下がりもしない状態が続くようなら「横這いトレンド」となります。

  • 上昇トレンド……細かく上下しながらも、大きな流れとしては上昇していく状態。基本は「買い」となり、利益を出しやすい状況
  • 下降トレンド……細かく上下しながらも、大きな流れとしては下降していく状態。基本は「売り」となり、利益を出しにくい状況
  • 横這いトレンド……狭い範囲で上がったり下がったりを繰り返しながらも、流れとしては横這いの状態。こういう状況になったときは「様子見」が基本

車でドライブするときは、周囲の流れに乗りつつ意識的に遠く見やり、この先は上り坂だからアクセルを強く踏もうとか、下り坂だからギアを落とそうなど、状況に応じた判断をしながら道を進みます。運転が上手な人ほどその対応はスムーズで、慌てて急ブレーキを踏むようなこともありません。

株式投資もこれと同じです。株価には3つのトレンド(上り、下り、平坦)があるとわかっていれば、「いまはどのトレンドか?」を常に意識しつつ、そのときに必要な対応を、最適なタイミングで行うことができます。初めての道でも安心して前に進めるのです。

つまり、目先の小さな動きに囚われて慌てて売ってしまったり、急いで買わなければと焦って高値を掴んでしまったり……という目に遭わずに済むのです。株価のトレンドを理解すれば、冷静に先を見て、最適な売買のタイミングを計ることができるようになります。

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トレンドはなぜ発生するのか?

株価のトレンドは株価チャートで確認することができます。

ここでは「業務用スーパー」を展開する神戸物産3038>を取り上げましょう。2020年の同社の株価チャートを見ると、「下降トレンド」→「上昇トレンド」→「横ばいトレンド」と3つのトレンドが順に形成されていっていることを確認できます。

ところで、こうした株価の「トレンド」はなぜ発生するのでしょうか?

先ほども説明したように、「トレンド」とは株価が一方向に大きく流れること。上昇トレンド・下降トレンドの場合、トレンドが発生したということは、それまでよりも株価が大きく上方向あるいは下方向に動いたということです。

それは、何かの材料やニュースなどがきっかけとなって、たくさんの投資家がその株に注目するようになり、盛んに売買が行われ始めたことを意味しています(「材料」は、株価の変動に影響を与える出来事などのこと)。

上昇トレンドなら、「ある商品のヒットによって企業の業績が良くなり、それを知った投資家がその株を買い始めた」という具合に、トレンドは自然発生するものではなく、その裏側には必ず何らかの理由があるわけです。

神戸物産の場合、「もともと業績好調だったところにタピオカブームが到来。その波に乗って同社のタピオカ商品がヒットしたことで、さらに業績が良くなり、それに気づいた投資家がこぞって同社株を買い始めた」という理由がありました。

誰でも上昇トレンドに乗りたい!

一方向に動き始めたトレンドは、しばらくの間、続きます。

例えば、神戸物産の業績と株価を押し上げたタピオカブーム。2018年の台湾ブームから発して、渋谷や新宿など若い人の間でSNSやテレビなどで広がり、さらに専門店が全国展開したことで、より多くの人にまで知れ渡りました。最初の発生から考えれば2年以上は続いたでしょう。

株価も同じです。それまでは「知る人ぞ知る銘柄」だったのに、ニュースや材料をきっかけにして「この企業は儲かっているらしい」とマーケットに広く知られるようになると、その株を買いたい人が一気に増えます。

街で人気タピオカ店に大行列ができているのを見かけると、野次馬根性でつい自分も並んで買いたくなるのと同じ感覚ですね。

ただタピオカと違って、株の場合は、買う人が増えると株価も上がります。株価というのは、買いたい人と売りたい人のパワーバランス(つまり「需要と供給」)で成り立っているので、売りたい人よりも買いたい人が多ければ、当然のように値段は上がっていくのです。

また、「自分も飲んでみたい!」という人が増えれば増えるほど、すべての人の欲求を満たすまでには一定の時間が必要になり、その間、ブーム(トレンド)は続きます。

つまり、タピオカブームが続けば神戸物産株を買いたい人も増え続け、株価は上がり続けます。「タピオカはもう飽きたなー」と人々の興味が次に移るまで(=トレンドが転換するまで)、そのトレンドは続きます。

トレンドは転換点の見極めが大切

タピオカブームが永遠には続かないように、トレンドにもまた、いつかは変わりの時が訪れます。

しつこいようですが、トレンドには、「上昇トレンド」「下降トレンド」「横ばいトレンド」の3つしかありません。トレンドが転換するということは、これまで「下降トレンド」だったものが「横ばいトレンド」か「上昇トレンド」に変化する、ということです。

「上昇トレンド」であれば「横ばい」か「下降」に変わる、「横ばいトレンド」なら「上昇」か「下降」に転じることを意味します。これ以外のトレンドに変わることはありません。

この変化こそ、株式相場において最大の儲けるチャンスです。特に、下降トレンドあるいは横ばいトレンドから上昇トレンドに変化するポイントを上手に見つけることができたなら、そこは絶好の買い時となります。

もう一度、神戸物産の株価チャートを見てみましょう。2019年1月に横ばいトレンドから上昇トレンドに転換し、その後、長期間にわたって上昇が続きました。もし、トレンドが転換した1月に買っていれば年末には2.5倍の利益になっていたわけです。

もう「まさか」は怖くない

投資家というのは「変化」が大好きな生き物です。だからこそトレンドが発生し、株価を大きく動かす力となるのです。株価が大きく動けば、大きく稼げるチャンスが生まれます。株価のトレンドを掴み、その転換点を見極めることは、株式投資においてとても有効な手段のひとつです。

株式相場には「3つの坂」があると言われます。「上り坂」「下り坂」、もうひとつは「まさか」──。

たしかに、株価の将来がどうなるかを知ることを誰にもできません。しかし、たとえ「まさか」の事態に陥ったとしても、3つのトレンドを知っていれば恐れることはありません。自分が進むべき方向にしっかりとハンドルを切ることができるでしょう。

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[執筆者]岡田禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP) かぶまどアワード2021大賞・検索賞
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