【トレーダーが解説】いつ買って、いつ売るか。絶好のタイミングは「前回安値」「前回高値」が教えてくれる

網代奈都子 2021/01/23

底値で買って天井で売ってウハウハしたい!──そんな思いでトレーダーK氏に教えを請うている私。

前回は「底値」の見抜き方と負けない仕掛け方を学び、トレーダーというのは「獲物を狙う狩人」のようなものだと知り、その慎重な待ちの姿勢にいたく感銘を受けたと同時に、我が身を振り返って軽くめまいを起こした。

(参考記事)そこは本当に「底」なのか? プロが見ている数字と負けない仕掛け方

果たして、コロナショックのような暴落相場でも利益を出せるプロのトレーダーは、一体、何を見て、何を考えて、どう売買しているのか?

プロトレーダーは素人が知らない“魔法”を知っている?

トレーダーK氏:プロトレーダーといえども「百発百中」は不可能です。それができると言っている人は大ウソつきなので注意してください。

案外、このことを知らない方は多いんですよね。プロトレーダーは百発百中の、絶対に失敗しない魔法のような極意を知っているに違いない!と誤解している人が結構います。

でも、そもそもトレードというのは「トータルで勝る」ものであって、「全戦全勝」なわけがないのです。見ているものも、他の人と全く同じ株価チャートです(そう考えると、トレーダーの世界って意外と夢がないかもしれないですね……)。

やっぱり大事な「前回安値」「前回高値」

トレーダーK氏:株の世界には様々なテクニカル指標がありますが、「前回安値」「前回高値」を見るだけでも楽しいですし、いろいろな発見があります。結局のところ、ターゲットは「そこだけ」と言ってもいいくらい重要なポイントです。

これに移動平均線を足す手法などもありますが、それでも、戻るところは「前回安値」「前回高値」。ここが基本なんです。2020年はコロナという稀に見る非常事態でしたが、その中でも結局「前回安値」に忠実だったことがわかります。

日経平均株価を見ると、コロナショックの2・3月において、一瞬、下落が踏みとどまったころの株価は、前年8月9日ごろの安値と重なりますし、その後に落ちていって3月19日に16,000円台になったのも、2016年11月の安値と重なります。

コロナのような非常事態でも「前回安値」というセオリーに添っていたということです。もちろん、これは高値の場合でも同じですし、個別銘柄でもやはりこうしたセオリーに添うケースが多いです。

「富士山の頂上」を探せ!~強い節目・強くない節目〜

トレーダーK氏:もうひとつ、「高値」「安値」の見方のポイントとして、「滞在時間が長いほうが境界として強い」というのがあります。

たとえば、先ほど同じ日経平均株価のチャートで、2016年12月から2017年3月のあたりは、富士山の頂上のように平らになっていますよね。ここは「高値」の集まりです。つまり、ある程度の時間、株価がこの付近にとどまっていたということです。

すると、ここが境界線となって、その後の株価に影響を及ぼすことがよくあります。具体的に言うと、この富士山の頂上は19,700円くらいですが、この付近を安値として何度も株価が上に押し戻されていることがわかります。

よく「上値抵抗線」「下値支持線」と言われますが、当初、上昇局面で「富士山の頂上」として上に行こうとする株価に抵抗していた境界線(上値抵抗線)が、別の局面では、下落を支える境界線(下値支持線)になるということです。

つまり富士山の頂上というのは、「これ以上、上には行かさないぞ」であり、同時に「これ以上、下には行かさないぞ」でもあるんです。このように滞在時間の長い高値(安値も同じ)は、両方の門番になっている、とても重要な節目です。

「Wボトム」でちゃんと勝つ秘訣とは

トレーダーK氏:前回安値を使ったテクニックとしては「Wボトム」がありますね。下落を2回抑えたら、3回目は上抜ける、というやつです。

(網代:でも! これって、上抜けないときもありませんか? あー!って思いを何度もしたんですが……)

もちろん、100%そうなるという話ではありません。その上で言うと、Wボトムは「なんとなくW」ではダメで、Wの文字の書き終わりが書き始めをきちんと超えていることが重要です。たとえば、2019年5月から9月の期間ではきれいにWを描いた後で、実際に上抜けしていますよね。

(網代:でも……これにしても「あとからなら何とでも言えるじゃん」という思いがしなくもないのですが)

たしかに、このチャートでWボトムを形成するときも、いまなら「Wボトムだったね」と言えます。では、まだ「\/\/」になっていなくて、「\/」とか「\/\」みたいな形状のときに、トレーダーたちは「Wボトムが来るぞ!」と思って見ているかというと、それはちょっと違います。

まず、チャートの形が「\/」から「\/\」っぽくなったとき、つまり2つ目の底ができそうなタイミングで、ここから下に行かなければ「今回は強いぞ」という予感は持ちます。言ってみれば、「確変リーチが来たぞ」というわけです。

ただし、この段階ではまだ買いません。私なら、Wの書き始めをちゃんと超えたところでエントリー。

(網代:なるほど。私なら、2回目の底でWボトムが来ると信じて買ってしまいそうです……)

その後しっかり上がっているので、「2回目の底で買っておけば!」という気になるかもしれませんが、それこそ「あとからなら何とでも言えること」で、そもそも2度目の底の時点ではまだWボトムが形成されていないのです。当然、さらに下がる可能性だってあります。

さらに、このときのWボトムの状況をさらに細かく見てみると、「W」の字を形成して、いよいよ株価が上抜ける……となった直後に一瞬下がってるんですよね。

「上抜けると思ったのにー!」というトレーダーたちの悲鳴がチャートの向こうから聞こえてきそうですが、これも「Wボトムあるある」なんですよね。Wボトムを形成しきって、さあ上振れるぞ!というときでも、きれいに上がるわけじゃない。このような〝溜め〟があることも多いんです。

一度お断りされて、いやいやそれでも……というやりとりがあって、そこを経てようやく上振れる。そんなケースが多いですね。

Wボトムでエントリー! で、いつ売るの?

では、こうやってWボトムを抜けたところで買ったら、どこで売ればいいでしょうか?──そう。正解は「前回高値」です。このチャートで言うと、前年10月の24,448円がターゲットになります。

ただ実際には、24,448円までいかずに、その手前の24,115円で止まっていますよね。これは、節目である24,448円を目安にしていて、その手前で売ってしまうトレーダーが多かったためです。だから、その直前を見ると、チャートがなんだか「うじうじ」していますよね。

こういった「うじうじ」が続くと、上に行く力が弱まってしまうんです。そして結局、前回高値を抜けられずに、その後はコロナショックに見舞われて全力で下がってしまった、というわけです。

奥が深いぞ「前回安値」「前回高値」

コロナショック後に「底」を知りたくてトレーダーK氏に教えを求めた私。一度で終わると思いきや、「前回安値」だけでも話は一向に尽きない。私は思わずこう自問してしまった──「私はトレーダーとして、こんなにもチャートを愛しているだろうか」。

  • 暴落相場でも、落ちる先は「前回安値
  • 高値が作る「富士山の頂上」は重要な節目
  • Wボトム」はフライング厳禁。「溜め」もあるので気をつけて!

もちろん今回教わったことも、「絶対の法則」とか「常に100%こうなる」ということではないだろう。そんな売り文句に踊らされるのは危険。

だが、こういうパターンをたどることが多いと知っている投資家・トレーダーたちが、それを目がけて動くことで、実際にこういう株価をたどることが多い、というのもまた事実。もっと愛を持ってチャートと向き合い、そこに隠れているトレーダーたちの心の声に耳を傾けたいと思う。

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[執筆者]網代奈都子
[あじろ・なつこ]30代OL。仕事のかたわらトレードを行っており、そのスキルを磨くべく日々勉強中。目下の目標は年間の利益100万円。安定した利益を出し、ペット可物件に引っ越すのが夢。 株窓アワード2020
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