「自社株買い」とは?

・自社株買い[じしゃかぶがい]

上場企業が発行し市場で流通している株式を、その企業自身が市場で買い付けること。確実な買い手が現れることで、基本的に市場にポジティブな影響をもたらし株価は上昇しやすくなる。

・さらに詳しく

自社株買いは取締役会にて決定され、買い付け前にいつから、どれだけ買い付けるかなどを公表する。

【公表される内容】
  • 取得対象の株式の種類
  • 取得する株式総数
  • 取得価格の総額
  • 取得期間
  • 取得方法:市場買付 or 自己株式立会外買付

(※自己株式立会外買付は機関投資家や大株主などから取引時間外に取引にて取得するため、価格への影響はない。 自社株買いの発表だけ行い、実際には買付が行われないというケースもある。また、買い付けが終了した場合も公表される)

買い付け後の株式は以下の3つのパターン。

  • 金庫株とする:会社が保有し、ストックオプションなどとして付与
  • 償却する:株式を破棄する

自社株を償却すると、発行済み株式数が減り、株式の希少性が高くなる。

【自社株買いを行う理由】

上場企業が自社株買いを行う理由には、株価対策と、流通株式を減らすことによるM&A対策がある。 具体的には、主に1株当たりの利益を増やすこと、また、配当金を払う株式が減ることから、配当金の支払い総額を減らすことができ、利益率アップにつながる。

そして、1株当たりの純利益(EPS)や自己資本利益率(ROE)が増加。投資家にとっては発行済み株式数が減ることで、株式の希少性が増すことによる価格上昇が見込め、1株当たりの配当金の増加も期待できる。

【株価への影響】

自社株買いが発表されると、株価が上がる可能性が高くなると言われる。買い付け額はもちろん、買い付け期間が短いと短期間での買い需要が集中して発生するため、インパクトが大きくなるからだ。理論的な株価の上昇率は、発行済株式総数に対する割合で計算できる。

たとえば、発行済み株式総数の2%を買い付ける場合。

実際に上限株数を買い付けると、発行済株式総数が2%減少。すると、1株当たり利益が大体2%増える。新規事業や新商品などの業績に与えるインパクトある材料がない場合、自社株買いによって1株当たり利益が2%増加し、株価を2%程度上昇させられるというわけだ。

【参考記事】

・短期トレードの現場から一言

投資家にとっては、自社株買いをしそうな企業をいち早く見つけ、発表前に先回りして仕込むことでチャンスをつかめる。

自社株買いをする可能性が高い企業は、以下の3つの条件でスクリーニングできる。

  1. 現金を豊富に持っている
  2. 株式分割や株主優待などの株主還元を積極的に行っている
  3. 過去に自社株買いの実績がある

まず、資金がないと自社株買いは行えない。

そして、上場して歴史の浅い企業が最初の株価対策として、いきなり自社株買いを行うことはまずない。大抵は、株式分割や株主優待を先に発表するものだ。そのため、株価を意識しているか、株主還元に積極的な企業かどうかを知ることがまず大切だ。

これらの企業は、証券会社のスクリーニング機能で調べることもできるが、親切にもSNSでつぶいてくれている企業が増えているので、それを参考にすることもできるだろう。

ただし、そもそも有望株であれば、その観点から見ている投資家や機関投資家も先回りして買っている可能性が高く、いざ自社株買いが発表されると上ヒゲを付けて、当面の高値となることも十分考えられる。


*「現場から一言」は、株式市場に真摯に向き合う投資家・トレーダーの視点から、初心者が特に勘違いしやすい側面について、経験を積んだ人々の知見をお届けします。ただし、これは絶対的な「正解」ではなく、あくまで一個人の見解である点にご留意ください。

[執筆者]かぶまど編集部
無防備なまま株式市場に参加して大切なお金をなくしてしまう人をひとりでも減らしたい──そんな思いから、未来の株価や相場を予測するのではなく、過去の事例やデータといった「普遍的な事実」に焦点を当てた記事を発信します。同時に、株初心者の方や、これから株を本気で始めようとしている方にもわかりやすい解説を心がけています。
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