3月の株価はどうなる? 騰落率と上がる日・下がる日の傾向を追い続けて見えてきたもの

網代奈都子
2022年2月28日 17時30分

「騰落率」に見る上がる日・下がる日

2021年4月から毎月の「騰落率」に着目してきた本シリーズも、ついに一周しました。締めにふさわしく、多くの日本企業の決算月でもある3月です。企業による決算発表は4月から5月にかけて行われますが、3月時点では株価はどのように動くのでしょうか?

あらためて「騰落率」とは、戦後に東京証券取引所が再開された1949年5月16日から現在までの、毎日の日経平均株価の日付別の上昇確率を計算したもので、平たく言えば、「この日付の日経平均株価は前日より上がったか、下がったか」を1949年から累計したデータです。

それぞれの日付において、株価が前日より上がった場合を「勝ち」、前日より下がった場合を「負け」として、その勝率(上昇する確率)が算出されています。

この騰落率が、先の見えない相場の未来を読み解くヒントのひとつになるのかも?というのが、このシリーズのスタート地点でした。

《参考記事》その株、いつ買えばいいの? 一年で最も上がる日・下がる日からわかったこと

これが3月の最も上がる日・下がる日

日経平均株価の騰落率は、日経平均株価の様々なデータを紹介するサイト「日経平均プロフィル」で確認することができます。

これによると、3月の31日間のうちで騰落率が最も高いのは「15日」の67.27%で、最も低いのは翌日「16日」の44.64%でした(データは2022年2月現在)。いちばん上がる日といちばん下がる日が連続しているところに、3月相場の特徴が隠されているのかもしれません。

それでは、日別の騰落率を2022年3月のカレンダーに当てはめてみましょう。

3月相場は「もや〜ん」とした花曇り?

冒頭にも書いたように、今年の4月から毎月この騰落率について調べてきましたが、多くの月で「騰落率50%以上が5日以上連続する(=5日連続で上がりやすい)」というトレンドがありました(7月、10月以外)。

1月はそれが3度もあるアゲアゲ月間、翌2月も8日連続で騰落率50%以上をキープするところがあるなど、年が明けてからはなかなか景気が良かったのですが、3月は残念ながら「5日以上の上昇(騰落率50%以上)」がありません。

なお、大体の月において「月の最後の5日は堅い(騰落率50%以上が多い)」という傾向もありました。これに関しては3月も、5日すべてとはいかないものの、2831日の4日間で50%超えをしています。

さらに、騰落率が30%台(=下がる確率が7080%)の「かなり売り優勢な警戒日」は、3月にはありませんでした。ここで、12か月の成績をまとめて振り返ってみましょう。

[騰落率30%台(=下がる確率が70〜80%)の日数]
  • 4月:0日
  • 5月:3日
  • 6月:1日
  • 7月:3日
  • 8月:1日
  • 9月:2日
  • 10月:0日
  • 11月:1日
  • 12月:0日
  • 1月:0日
  • 2月:0日
  • 3月:0日

実は、シリーズ初回の4月もあまり特徴らしい特徴のない月だったのですが、この3月も、どこかもやんと、花曇りです(むしろ、騰落率からはっきりとした特徴が見えるのは12~2月くらいで、あまり特徴のない月のほうが多いのですが)。

過去3年の3月の日経平均株価の推移

騰落率上で見ると、1・2月の勢いが一気にしおれたように見える3月ですが、日経平均株価のチャートで見るとどうなのでしょうか。過去3年の3月の日経平均株価の推移を振り返ってみましょう。

2021年は月の真ん中が突出、一時は3万円を超えましたが、その1年前の2020年3月はコロナショックの真っただ中であり、不安な世相を映すようなチャート形状になっています。どちらの年もコロナ禍ではあるものの、状況は全く異なります。なお、2019年は小幅な値動きにとどまっていました。

騰落率と株価チャートを重ねてみる作業も4月から行っていますが、本当に、騰落率からイメージするような値動きになっていることのほうが少なく、ひとつのデータ・情報だけを信じてはいけない、とはしみじみ思います。

月の最も上がる日・最も下がる日は、どんな日?

それでは、3月の「最も上がる日(前日に買っておけばウハウハ?)」と「最も下がる日(前日に売っておけばウハウハ?)」について、もう少し詳しく見てみましょう。

 【トップ】3月15日(3718負0分)

騰落率は67.27%で、「3分の2の確率で上がる(66.66666…%)」をわずかですが超えています。1949年以降の勝ち負けは3718負0分。2022年の3月15日は火曜日です。

[この日、何の日?]
  • 「会いに、走れ。」記念日……3月は別れと旅立ちの季節でもあります。だからこそ大切な人に「走って」会いに行く決意を、と「」のロゴでおなじみのニューバランスジャパンが制定した記念日。

【最下位】3月16日(25勝31負0分)

月で最も上がる確率が低い(=下がる確率が高い)のは、最も高い日である「15日」の翌日「16日」です。騰落率は44.64%で、つまりは約55%の確率で下がるということ。3月の中では「最も下がる日」ではあるのですが、「どちらかといえば下がる日」程度ともいえましょう。

戦後に取引のあった計56日分の勝敗は2531負0分。2022年の3月16日は水曜日です。

[この日、何の日?]
  • 財務の日……語呂合わせと(3・1・6)、所得税確定申告の期限である3月15日の翌日に、企業に財務状態を把握してほしいとの趣旨で、財務コンサルティングの専門会社である戦略財務が制定。

一年に一度のことなので、「わかった!」と思った翌年には「あれ、どうやるんだっけ?」となりがちな確定申告。利益が出た人も、損失に終わった人も、お忘れなく。

《参考記事》確定申告していますか? 実は、納税しなくてもいい場合もあるんです

3月相場は材料がいっぱい

騰落率ではいまひとつ特徴の見えない3月ですが、ファンダメンタル上で見ると材料の宝庫です。3月は12か月の中で最も株価が上昇しやすい月とも言われています。それはやはり3月が「配当・株主優待が最多の月」となり、権利取りのための買いが入りやすいから。

さらには、機関投資家にとっても3月は決算月であり、利益確定の売りが出やすい一方で、運用成績を良く見せるために「ドレッシング買い(期末にかけて自ら株を買って株価を上げる)」に動くなど、さまざまな思いが交錯する月でもあります。

《参考記事》3月の株価はどうなる? 春の配当・優待ラッシュとお花見で急騰する銘柄とは

春を待ちわびて

一年にわたって騰落率を見てきました。この3月はウクライナをめぐる情勢もあり、騰落率のデータがどれほど参考になるかは、まったくわかりません。

人は自分の売買行為について、あとからあれこれ正当化したり、理由をつけたくなるものです。株価が思い描いたような動きをしないからと言って、最初はテクニカル分析で銘柄を見ていたのに、ファンダメンタル上の材料を持ち出して自分に言い訳する……なんてことをしていませんか?(それは私です涙)

自ら決めたルールを貫くのが投資・トレードの理想。相場・株価のありのままを見ること、後出しをしないことを肝に銘じて、本シリーズの終わりとしたいと思います。

世界にあたたかい春が訪れることを願って。

[執筆者]網代奈都子
網代奈都子
[あじろ・なつこ]30代OL。仕事のかたわらトレードを行っており、そのスキルを磨くべく日々勉強中。目下の目標は年間の利益100万円。安定した利益を出し、ペット可物件に引っ越すのが夢。
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