株式投資で「着実にお金が入る」たったひとつの方法

岡田禎子 2020/09/11

個人投資家Hさんは、いつものんびりハワイに行ったりゴルフをしたりと、一向に売買をしている気配がありません。「何もしなくても着実にお金が入ってくる」と余裕の笑顔を浮かべるHさん。一体どんな投資を実践しているのでしょうか?

株式投資の利益には2つある 

株式投資で得られる利益には、大きく分けてふたつあります。ひとつは「キャピタルゲイン」と呼ばれるもので、株を売ったり買ったりすることで得る利益のことです。 

もうひとつは「インカムゲイン」と呼ばれるもので、株を保有することにより受け取ることのできる配当や株主優待による利益です。

冒頭のHさんは、この「インカムゲイン」のうち配当金を狙った配当株投資の投資家だったのです。

株式投資の一般的なイメージといえば、株の売買によるキャピタルゲイン狙いの投資法かもしれません。この方法であれば、投資額の何倍、何十倍と大金を得られる可能性があり、たとえば、10万円が100万円になるケースもあります。

ところが、Hさんのように配当狙いの投資だと、投資額の約1~5%程度しか狙えず、10万円投資したとしても、1~5万円ほどしか手に入らないかもしれません。

それでも、日々パソコンやスマホに張りついて株価を追うことなく、着実かつ安定的に利益を得ることができるのです。

著名経営者たちの配当収入額

配当金は、株式をたくさん持っているほどより多く受け取ることができます。したがって、創業者など企業経営者の多くは多額の配当収入を得ています。なかでも有名なのが、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング<9983>の柳井正会長兼社長。配当収入だけで約101億円あるとのことです。

ソフトバンクグループ<9984>の孫正義会長兼社長は約104億円、ZOZO<3092>創業者の前澤友作氏はZOZO株を売却する前の配当収入が約26億円もありました。これだけの配当金が毎年入ってくるのであれば、宇宙にも行けるはずですね。

いくらの配当をもらえるのか

では、配当株投資で株主はどれくらいの利益を手にすることができるのでしょうか。とあるパン屋を株式会社として考えてみましょう。

このパン屋は、9月末と3月末に年2回の配当を行っています。それぞれ1株につき50円、年間合計では100円の配当になります。

パン屋の株価は2,000円。株式は通常100株単位からの売買なので、株価2,000円×100株=20万円で、パン屋の株主になるには20万円の投資金額が必要です。

そして、100株保有の株主がもらえる配当金は、100円×100株=1万円。つまり、20万円を投資することで、年に1万円の配当金を受け取れるということになります。この場合、5%の利回りで配当がもらえる計算です。

  • 1株あたりの配当金額÷購入株価×100=配当利回り(%)

現在、東証1部上場企業の配当利回りの平均は2.7%ですが、6%以上の銘柄もたくさんあります。20万円の投資で利益は1万円程度か……と思うかもしれませんが、銀行の定期預金の金利が0.001%程度であることと比べれば、とてもお得な資産運用法と言えます。

ちなみに、配当を得るためには決められた期日に株式を保有していることが条件となりますので、購入するタイミングには注意が必要です。

株価が上がっても下がっても利益になる

今後このパン屋が順調に経営を続けて、毎年100円の配当を出してくれたとしたら、株式を10年間保有すればトータルで10万円の配当を得られます。さらに、その間に株価が値上がりしていれば、売却時にはその分の利益(購入時株価との差額=キャピタルゲイン)も上乗せされます。

たとえ株価が値下がりしていたとしても、20年間保有すれば、受け取る配当の合計金額が20万円となり、最初に投資したお金(購入金額合計の20万円)を回収することができます。その後も株式を保有し続けるなら、入ってくる配当はまるまる利益になります。

このように配当株投資は、長期の視点で取り組むことで、株価の上下とは関係なく利益を得られる投資法なのです。

株主が配当金を得られる理由

ところで、「株式を持っている」というだけで、なぜ企業は株主にお金を配るのでしょうか? この問いに答えるには、まず「株式会社」の成り立ちから考える必要があります。

株式会社の誕生から利益分配が始まった

世界初の株式会社は17世紀の大航海時代に誕生した「オランダ東インド会社」です。当時、ヨーロッパではアジアの香辛料(胡椒)が珍重されており、金と同じくらいの価値で取引されていました。そこでオランダ人は、大勢でお金を出し合って船を作り、アジアから香辛料を輸入しようと考えたのです。

オランダ東インド会社への出資権を一口ずつ「株式」という証券に分けて、少額でも出資できるようにしました。少額であれば、万が一航海が失敗し、出資者のお金が海の藻くずとなった場合でも、一人ひとりの損失は小さくなります。

こうして「株式会社」が誕生し、無事に航海が成功して利益を得た場合に、リスクを承知で出資してくれた人=「株主」にその利益を分配する仕組みを作ったのです。

配当が出るか出ないか、それが問題だ

このように、株式会社とは本来、事業を行うために必要なお金を出資した人(株主)のものです。会社はそのお金で事業を行い、得た利益の一部を定期的に配当として株主に恩返しする仕組みとなっています。

再び、パン屋の株式会社で考えてみましょう。

パン屋は、株主から出資してもらったお金で小麦粉やバターなどの材料を買い、パンを作り、それを売って稼ぎを得ます。売り上げたお金から材料費、人件費、家賃などを引いた残りが儲け(利益)です。その一部を、パン屋の株を持っている人、つまり株主に「配当」として配ります。

このとき、配当を出すか出さないかは、パン屋(オーナー)の考え方次第です。たとえば、「店舗を改装しよう」「もっとたくさんのパンを焼けるオーブンを買おう」など、店を大きくするための投資資金としてお金を使おうと思えば、どんなに儲けていたとしても配当は出しません。

それに対して、いまは十分な設備投資も出来ているし、利益を分配することで出資者(株主)をつなぎとめたい、さらには新しい出資者も募りたい、といった場合には配当を出すことを選択します。

配当株投資のリスクと注意点

配当を出すか出さないかは企業の経営判断ということになりますが、なかには、株主に配当を出したくても、赤字続きで配当を出せない場合もあります。

また、配当額も企業の利益や方針によって毎年変わります。パン屋で言えば、新商品のヒットで利益が増えれば配当を増やしたり(増配)、売上が落ち込んで利益が減れば配当を減らしたり(減配)します。もしもパンがまったく売れずに業績が悪化した場合には、配当を全く出さない場合(無配)もあります。

日本企業の場合、一般的には利益の20~30%を配当として株主に還元しているようです。

甘くて美味しいパンに隠された罠

投資家の立場から見れば、安い値段で株式を購入して、より多くの配当を得たいと思うものです。そんな株価に対して配当額が大きい、つまり配当利回りが高い銘柄を「高配当銘柄」と言います。個人投資家にとても人気がありますが、そこには落とし穴もあります。

業績が良くて、配当額が年々アップしているような場合ならいいのですが、実は「創立〇周年の記念配当」などで一時的に高配当になっている場合や、業績が良くないために株価が下がり、結果として配当利回りがアップしてしまっている場合もあるからです。

株価が下がって配当が変わらないなら美味しいのでは?と思うかもしれませんが、業績悪化で株価が下がっているのなら、いずれ減配や無配となる可能性が高く、そうなった時点で株式を手放そうとしても、同じように売りに出す投資家が多ければ株価はさらに下落することにもなります。

高配当を狙ったばかりに結果的に損失になってしまう……ということです。

さあ、おこづかいをもらおう

配当株投資は株価の上下に関係なく利益を得られるとは書きましたが、だからと言って全くの無関係ではありません。たとえ配当が目当てであったとしても、リスクゼロの投資というものは存在しないのです。

それでも、長期の資産形成として株式投資をしたい人にとっては、やはり配当は魅力的です。リスクを理解した上で、毎年もらえる〝おこづかい〟を探してみるのもいいのではないでしょうか。

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[執筆者]岡田禎子
岡田禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)【株窓アワード2019大賞】
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