外国株投資の魅力と落とし穴 本当に怖い手数料リスクとは

山口 伸 2020/08/04

外国株投資の魅力と落とし穴

株のインターネット取引が浸透して以来、以前よりも外国株がより身近な存在になりました。

アメリカには、いわゆるGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などの世界的企業が集中しており、中国にもアリババ、テンセントといった先端企業が存在します。また、ベトナムやインドネシアといったアジア新興国はGDPで年5%以上の成長率を維持しており、株価の成長も期待されます。

外国株に投資すれば、日本株よりも大きなチャンスに巡り会えるかも!と、いますぐ外国株投資を始めたくなるかもしれませんが、日本株にはない注意点があることを理解しておく必要があります。

なぜ外国株は魅力的なのか

外国株投資を考える方の中には、アメリカ株投資から始める人が多いでしょう。たしかに、アメリカ株に投資すると何だかビッグなチャンスをつかめそうな気がします。では、アメリカ株のどこに魅力があるのでしょうか。

先端かつ世界的企業の存在

アメリカにはGAFAをはじめとして、インターネットの普及と共に成長した先端企業が数多く存在しています。また、コカ・コーラやナイキのような誰もが聞いたことのある世界的企業も、アメリカにはたくさん存在しています。数十年以上も続いている企業は、やはり安心感があります。

先端企業にせよ、老舗の巨大企業にせよ、一時的に株価が下落しても、きっと回復するだろうという期待を抱かせてくれることは、銘柄選びにおける大きな魅力のひとつとなります。

また、現在は無名な企業でも、近い将来に世界的企業になるのではないか、という期待を抱かせてくれる点もアメリカ企業ならではでしょう。

日本よりも高い配当性向

配当性向とは、純利益の中で配当金が占める割合のことです。配当狙いや長期保有を目的とする場合には、銘柄選びの際に配当性向を重視する個人投資家も多いでしょう。

日米の配当性向を比較してみると、日本株は平均で30%前後なのに対して、アメリカ株は平均40%弱。つまり、アメリカ市場のほうが配当利回りの高い銘柄を見つけやすいということになります。

配当性向の差は、企業の存在目的の違いにあります。日本では会社は経営陣のものという意識が高いのですが、アメリカでは株主のものという意識が浸透しているため、重要な株主還元策である配当を手厚くする傾向にあるのです。

外国株はアメリカ株だけじゃない

魅力の大きいアメリカ株ですが、もちろん、世界の株式市場はアメリカ株だけではありません。各国の特徴を見てみましょう。

・中国株

世界をリードするのはGAFAだけではなく、中国の先端企業も負けてはいません。ファーウェイやシャオミといったスマホで世界シェアの高い企業は中国には存在しています。

そんな中国株は、2つの市場で取引することができます。まずは上海や深圳といった中国本土の市場です。A株とB株に分かれており、一般的にB株が外国人投資家に開かれた株です。また、香港市場でも買うことができます。中国本土に登記を置き、香港市場に上場している株はH株と呼ばれます。

中国株の特徴は、政府資本に支えられている企業が多いという点です。安定している銘柄もある一方、政府の方針転換によって株価が下落するリスクがあります。

・ヨーロッパ株

主に、ロンドン市場、パリ市場、フランクフルト市場に上場しているが対象になります。BMWやダイムラーといった伝統ある世界的企業が多い点が特徴で、信頼があり、安定した値動きの銘柄が多いという傾向にあります。ただ、米中と比べると、日本からはなかなか細かな情報を得にくい点がネックと言えます。

・東南アジア株

タイ、インドネシア、ベトナムなどの高成長率の国も投資先として魅力です。特に都市部以外ではインフラがまだ整備されておらず、先進国ではなじみの財・サービスがまだ普及していないため、先端分野だけでなく、手堅い分野においても今後の高成長を期待できる企業もありそうです。

外国株のリスクを考える

株式投資にリスクは付き物ですが、それが外国株ともなれば、日本株にはないリスクも当然発生します。主なリスクとしては「為替リスク」「信用リスク」「地政学的リスク」が考えられます。

・為替リスク

外国株は日本円では取引できません。日本円を現地通貨に交換してから、株を買う必要があります。売る際も同様に、現地通貨を日本円に換えて初めて利益を得ることができます。

特に新興国の場合、その国の株式市場が全体的に下落しているようなときは、外国人投資家が資金を引き上げたいがために通貨をドルに換えようとします。すると、現地通貨の価値が下がるため、株価は額面以上に下落してしまうこともあります。

・信用リスク

倒産や債務不履行によって株価が下落もしくは無価値になってしまうリスクは、外国株の場合、日本株以上に大きいと言えるでしょう。特に新興国の企業では、財務諸表の信憑性についても不透明な部分があると言わざるを得ません。

また、現地のニュースを得にくく、インターネットで懸命に情報を得ようとしても言葉の壁があるため、事前にリスクを察知するのが難しい点も、念頭に置いておく必要があるでしょう。

・地政学的リスク

外国株投資には、治安に基づくリスク、政治に由来するリスクもあります。例えば、失業率の上昇による暴動や選挙期間中のクーデターで株価が下落してしまったということは、過去の実際に起きました。

外国株に手を出す際には、その国の政局や外交の状況も把握しておくことが賢明です。特に国政選挙や国家的な重要行事の前後は、何らかの事件が発生するリスクが高まりがちですので、その期間中は控えておいたほうがいいかもしれません。

本当は怖い、外国株の手数料リスク

ここまで3つのリスクをあげましたが、外国株投資の隠れたリスクが「手数料リスク」です。場合によっては手数料が売買額の10%を超えることもあり、これを考慮しないと痛い目にあってしまいます。

外国株を取引する際の手数料は、証券会社によって異なりますが、いずれにしても、日本株の場合よりも高くなります。80万円で株を購入する際の手数料の違いを見てましょう。実はこんなにも違います。

A証券の場合 手数料 80万円購入時の手数料
日本株 売買額50~100万円は一定 535円
アメリカ株 売買額の0.49% 3,920円 
アジア株 売買額の1.1% 8,800円

そして、この手数料の本当の怖さは、株価上昇時には気づきにくいものの、株価が下落して売却するときに重荷としてのしかかってくる点です。

このA証券で80万円分の株を購入し、70万円まで下落したため損切りで売却する場面を想定しましょう。ここでは為替リスクをゼロと仮定します。損失額に手数料を含めて考えた場合、以下のようになります。

損失額=(購入額−売却額)+購入時手数料+売却時手数料
  • 日本株の場合  :100,000円+535円+535円=101,070円
  • アメリカ株の場合:100,000円+3,920円+3,430円=107,350円
  • アジア株の場合 :100,000円+8,800円+7,700円=116,500円

アジア株の場合が特に顕著です。損を広げないように株を売ろうとすると、1万円近くもの手数料がかかってしまうのです。この手数料の存在が損切りを控えさせる要因となり、株価下落局面でさらに損失を拡大させてしまいかねません。

チャンスも多いが慎重に

外国株は、日本株と同じように、日本の証券会社を通じてインターネットで取引できます。しかし、全世界の市場を網羅している証券会社はなく、証券会社によって取り扱い可能な銘柄が異なりますので、自分の投資したい国の銘柄を購入できる証券会社を選ぶ必要があります。

外国株投資には様々な魅力があり、株式投資における視野を広げることにもつながります。しかし、チャンスあるところにはリスクあり。日本株にはない落とし穴もあることを理解した上で、くれぐれも慎重な姿勢を忘れないようにしたいものです。

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[執筆者]山口 伸
山口 伸
[やまぐち・しん]化学メーカー勤務の研究開発職。平日は研究に没頭するが、お金や資産運用にまつわる話が好きで、休日は資格を活かした副業と株式投資にいそしむ。趣味は街歩きと読書。 →この執筆者の記事一覧へ

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